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1. 副大臣というのは想像以上に忙しく、メール・マガジンの原稿書きもままならず、タイミングがずれたことをお詫び申し上げます。このところ、休み無しの睡眠不足気味ですが、気力は充実、仕事に精を出しています。
さて、前回の続きでアメリカ出張の報告をまず致します。
トヨタのNUMMI工場見学の後、サンフランシスコ市内に戻り「ビズ・メディア」という会社を訪ねました。ここは、講談社と集英社が出資して作った日本の漫画を英語にして売り出している出版社です。代表作は「少年マガジンの英語版」です。今は、日本の漫画も人気上昇中なのです。ご承知のように日本のアニメは、世界を席巻しています。宮崎駿の名を知らないのは少ないのです。「スターウォーズ」をはじめとしてハリウッドのヒット作はその原型を日本のアニメに依拠しているのが多いのです。ディズニーの「ライオンキング」が手塚治の「ジャングル大帝」の盗作であるのは明らかです。しかし、これまで日本の著作権などの権利は無視されるか、僅かな配当しか得られてきませんでした。アメリカ側の代理店などに、いいようにされてきたのです。これでは駄目だということで、直接アメリカ市場に乗り込もうとしたのがこの会社です。これは、成功しているようです。アメリカという社会は、自分の権利は自ら守らなくてはならないのです。
アメリカは今、中国などに知的財産権保護などといって要求を突きつけていますが、アニメや漫画のようにアメリカ自身が侵害している例も多いのです。日本の漫画も発表されると二週間もしない内に海賊版が出回るそうですから、要注意です。インターネット上ではもっと激しいそうです。
面白かったのは、アメリカでは学校の先生方が漫画を奨励しているということです。子供達が言葉を覚えるのに興味を持つなら何でも大歓迎という訳です。それ位「文盲対策」が必要だということのようです。従って、少年マガジンの読者層も日本よりは少し年長の15歳位だそうです。
漫画の成功を受けて、今度は別会社で日本映画の配給を始めたそうです。元々日本映画は、黒澤監督を始めハリウッド映画に大きな影響を与えてきました。現代の日本映画の良さをもっと知ってもらおうとの試みです。どこまで受けるのか楽しみです。
経済産業省としても、知的財産権保護は大事な政策課題なので、この「ビズ・メディア」の活躍は頼もしい限りです。
2. 「ビズ・メディア」の見学が終わる頃には美しい夕焼けがサンフランシスコの丘を照らし始めていました。「ビズ・メディア」の社長さん、マイクロソフトの日本の代表者、ジェトロの大塚副理事長、そして私達日本からの出張者達で海沿いのレストランに出かけ夕食を取りました。勿論私は、アメリカン・ステーキを選択し久し振りにUSビーフを堪能しました。早く日本国内でもUSビーフが食べれるようになるといいなと願いつつ。
夜遅く翌日のセミナーがあるシリコンバレーのホテルに入りました。そこで秘書官から9日の本会議がセットされたので、国対の命令により翌日はスピーチしたら直ぐ飛行場に向かい帰国しなければならないと告げられました。もう一日は滞在して幾つかのIT企業を回りたかったのですが、仕方ありません。こんなことでは、副大臣制度を創設した意味がないし、日本外交の本気度が疑われるという国益にも反すると思うのですが。
3. 翌朝は、後の時間が無いのでアメリカのAPEC担当大使のマイケル・マハラックさんと朝食を取りながら意見交換することにしました。彼は、昨年まで東京のアメリカ大使館の公使を勤めていたので日本通です。彼の最大の関心事は、「三角合併」でした。私は、「経団連が特殊決議や上場を義務付けるべきと主張しているのは筋が悪い。甘利大臣も経団連との朝食会で、「国際基準の枠内で」と明言された。私も、このことをはっきりと確認したので心配しないで欲しい。国際基準から外れるような変なことはしないから。」と伝えておきました。マハラック大使は、「それを聞いて安心した。経団連がそういうことを言い出すので、日本の市場は中国以上に閉鎖的なのではないかという意識がアメリカ人の間に広がっている。是非頑張ってもらいたい。」とのことでした。
「APECでアメリカは、APEC内でのEPA(経済連携協定)を提案するそうだが、どこまで本気なのか」と聞きますと、「直ぐに成果を望むということではない。ぼちぼち議論しながら、そういう空気が醸成されてくればという程度だ。」とのことでした。APEC後日本に立ち寄るとのことなので、東京での再開を約束して朝食会を終えました。
4. 9時から「対日投資促進のためのセミナー」が始まり、私とマハラック大使が15分ずつ位の簡単な基調講演を行いました。私からは日米関係の重要さを述べ、「日本市場は開かれていると同時にアジアへのゲートウエイとして重要であること、日本には、人材、技術、高度に洗練された消費者がいて、ここで成功すれば世界中どこでも成功することが出来る。」などと日本市場の魅力を強調しておきました。マハラック大使も、日本への投資の成功例を挙げ、応援してくれました。
この後、シリコンバレーで日本へ既に投資している企業などによるパネル・ディスカッションが開かれました。そこでは、日本市場は、確かに開かれているが日本企業や消費者との信頼関係を築き上げるにはかなりの時間がかかること、一旦信頼を得ればその関係は強固なものになることなどが指摘されていました。
ただ私は30分程で飛行場に向けて立たざるを得ず、全ての議論が聞けず残念でした。一つ気になったのは、多くの企業に取って「日本も悪くはないが、直接中国市場に入り込んだ方が時間もかからず実入りも多いのではないか。」という感触があるように思えたことです。日本人が想像する以上に中国の存在感、魅力はアメリカ人にも高くなっているようです。こんな時に「三角合併」で日本市場が閉鎖的なイメージを与えるのは愚の骨頂です。さらに、当日11月7日に行われたアメリカの中間選挙で民主党が上下両院で過半数を獲得しアメリカ議会の民主党支配が決まりました。民主党は、労働組合に近く、保護主義的ですから、これからは日米貿易摩擦の再燃が危惧されます。そういう時にアメリカ議会を刺激するような経団連の主張は、「自分で自分の首を絞めることになる。」のではないでしょうか。これからのアメリカ議会の動向は要注意です。
5. 帰りの飛行機の中で「プラダを着た悪魔」という映画を観ました。最近映画を観に行く時間が無いので久し振りの映画鑑賞でした。たわいも無いファッション界のドタバタ劇ですが、それなりに楽しめました。「ボーグ誌」の女編集長がモデルだということですが、メリル・ストリープの悪女振りが見事です。私は、「ソフィーの選択」以来、彼女のファンなのです。一緒に写真を撮ったこともあります。これは偶然で、北九州市の国際センターの竣工式に出た時、メリル・ストリープも来ていたのです。彼女の旦那さんが鉄の彫刻家で、センターの玄関を飾るモニュメントの制作を担当したからです。パーティで高校の先輩の女性から「メリル・ストリープの大ファンなので写真を撮りたいのだけど。」と乞われ、「それでは、私が頼んであげましょう。」と言って、メリルに話かけたのです。「私は、「ソフィーの選択」を観て感動した。是非一緒に写真を撮らせて欲しい。」とお願いしたら、快諾してくれました。いよいよ彼女のファンになったことは、言うまでもありません。
映画の中で一番印象に残ったのは、彼女が秘書に洋服とベルトの組み合わせを選ばせるところです。秘書は、同系色の組み合わせを選ぶのですが、メリルは黒と鮮やかなブルーというギョッとするような組み合わせを選ぶのです。これこそ私が最も好む組み合わせで、欧米の洋服文化のなかでは有り得ないのですが、日本の歌舞伎では当たり前の配色です。いよいよ欧米のファッションに歌舞伎の影響が及びつつあるということでしょうか。ファッションに興味のある方には、必見の映画でしょう。
6. 慌しいアメリカ出張から戻ってきた翌週の月曜日(13日)の夜、安倍総理と副大臣達との夕食会がありました。新しい官邸の大食堂で初めて行われた会食だそうです。料理は、安倍総理のお好きな中華料理でした。フカフィレの姿煮に北京ダックとなかなかのご馳走でした。ただワインは、普通のシャトネフ・パープで、少し悪酔いしました。
副大臣それぞれから一言ずつ発言をということで、私は、次のようなことを申し上げました。「来年の参議院選に勝つ方法は一つしかない。それは、日本経済を絶好調にすることだ。そのためには、日銀の金融政策が大事で、デフレ脱却を確かなものにし、成長を促すためには金利の拙速な引上げを避けるべきだ。どうも日銀は、また失敗を犯しそうなので、十分注意しておかなければならない。もう一つ気を付けておかなければならないのは、日米関係だ。民主党が議会の多数派を占めると日米貿易摩擦が再燃しかねないので、これをマネージする人脈を今のうちから築いておかなければならない。それにしては、国対は外交音痴で海外出張は制限すればよいと考えているようだ。官邸から国対に善処するよう申し入れて欲しい。」と。
「参議院選に勝つ方法は」と言った途端、安倍総理が眼を見開いて私の発言に注目したのには、驚きました。余程、来年の参議院選のことが気になっているということでしょう。私の申し上げたことを受けて、日銀を牽制してくれるとよいのですが。
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