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「高速道路は公共財」をお忘れでは?


 米国留学中のY男君は、ノーベル経済学賞受賞のS教授に突然呼び止められた。

(S教授) Y男君。最近日本では、「高速道路建設は民間会社に任せろ」とか、「採算の合わない路線は凍結せよ」とかいう議論があるようだが、本当かね?

(Y男) そうです。小泉総理が選んだ、作家や行政学者、会社経営者なんかが、しきりに、そういう議論を展開しています。

(S教授) どうも経済学を良く分かった人達じゃなさそうだね。経済学を理解していないと、物事を「常識」で判断するしかないことになるのだが、この「常識」というやつが曲者でね。

(Y男) どういうことですか?

(S教授) うん。民間会社が提供している物、例えば、車とかパソコンなど、これを「私的財」と言うのだが、これは、採算を考えて、その供給量が決まる。これが常識だね。しかし、道路とか公園とかは、「公共財」と呼ばれて、私的財の常識が通用しないのだよ。

(Y男) それは、なぜですか。

(S教授) 車とかパソコンなんかは、ある人が使っていると、他の人が、同時に、それを使うことは出来ないよね。これに対して、高速道路などは、一度に多くの人が共同して使うことが可能だ。このため、公共財の供給量を決めるときには、一人だけの満足度だけではなくて、多くの人の満足度を同時に考慮しなくてはいけないのだよ。その結果、採算だけを考える民間会社では、社会的に最適な量の公共財を提供することは出来ず、結局、政府が決定するしかないのだよ。

(Y男) でも、伊や仏では、上場した民間会社に任せていると言われてますが?

(S教授) 伊や仏では、高速道路網は既に完成してしまっているのだよ。それに、新路線の決定権は、政府に残されているはずだよ。この最も大事なポイントを忘れてはいけないよ。

(Y男) 道路公団への批判が強いのですが。

(S教授) 政府が供給量を決定した後、資金調達や料金設定などをどうするかは、全く自由だよ。本来は、税金で作るのが筋だが、道路公団が借入れして料金で返していくという方式も別に悪い訳ではない。勿論、経営をもっと合理化、効率化しろということは、徹底すべきだがね。もし、借金が大き過ぎるというのなら、もっと税金を投入すればよいことだよ。料金については、混雑に応じて変えるとか、もう少し柔軟に考えた方がよいかも知れないね。

(Y男) 教授のお話は、マスコミ論調と大分違いますね。

(S教授) 経済学で大切なのは、「まず、常識を疑え」ということだよ。安易な論調・ポピュリズムに流されてはいけない。株を上場すると言うが、ハゲタカ・ファンドに買い占められたら、どうするのだろうね。大体、コマ切れの高速道路ほど、馬鹿げたものはないのだから、デフレで金利の安い今こそ、どんどん高速道路を作るべきだ。国債が増える訳でもなく、減税の倍以上の効果があるはずだよ。

(Y男) なるほど。日本の皆様に、よく伝えておきましょう。  

 

 



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