山本幸三地方創生探訪記録@奈良 (2017.7.17)

 

 

今月17日は、奈良県斑鳩町、桜井市、明日香村、五篠市を訪問してまいりました。一部抜粋

し、本HPでご報告致します。

 

 

 

 

ー 斑鳩町 ー

・和CAFE 布穀薗

 

今回訪問いたしました和CAFE 布穀薗は、地元企業・斑鳩産業株式会社が運営するカフェで、地

域活性化プロジェクトの一環として、特に法隆寺門前の活性化のため、築140年の古民家を改装

した、まちあるきの拠点施設としてのカフェであり、平成26年11月29日に開店しています。

こちらは、斑鳩町のまちあるき観光拠点整備事業として、長屋門(約56㎡)を改装したもので、斑

鳩名物竜田揚げランチなどを提供しているほか、食器は赤膚焼、家具は吉野産木材を使用し県産材

にこだわり、奈良の魅力を感じる空間づくりに努めています。

(和CAFE内で、この地域のまちづくりを引っ張る地元の斑鳩産業の井上社長(右)と小城・斑鳩町長より取組のお話を伺います。)

この法隆寺周辺の地域はかねてより、空き家・空き地の増加という慢性的な問題とともに、法隆寺

に観光に来る観光客が他に見る(お金を使う)ものがなく、滞在時間が短いという問題があり、その

現状を打破するために、町や商工会、地元企業や商店が協力し合い、「まち歩きしたくなる」まち

づくりを進めています。(和CAFEもこの取組の一つです。)

例えば、この法隆寺の門前町を盛り上げるために、斑鳩町商工会が旗を振り、斑鳩でしかできない

「体験プログラム」、「ぼっくり寺」で有名な吉田寺での「御朱印帳づくり」のプログラムがつく

られています。これは、色とりどりの千代紙からお気に入りを選んでオリジナルの御朱印帳をつく

り、それをもって本堂で木魚をたたきながら念仏を唱えるというもので、これを機に女性の参拝客

も増えたといいます。この他にも、斑鳩特産の山芋入り「大和麩」の手焼き体験、奈良漬づくりな

ど17の体験プログラムがあるといいます。こうした地域資源をいかした観光事業が立ち上がって

くれば、新たな雇用が生まれさらには、高齢者の仕事づくりにも期待ができるでしょう。

 

ー 桜井市 ー

・奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校

(フードクリエイティブ学科の安倍校舎の様子です。HPより引用)

奈良県立なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)は、奈良県の農業振興に資する県産農産物の

活用促進や6次産業化などの高付加価値化の取組をさらに推進するために、奈良県農業大学校を再

編し、昨年4月より開校している、「農」と「食」のプロを養成する、県立の教育研修施設です。

同校は、「農に強い食の担い手」を養成するための「フードクリエイティブ学科」と、生産から流

通、販売まで幅広い知識と実践力を養い農業経営のプロを養成する「アグリマネジメント学科」

二つの学科から構成されています。

奈良県の農業振興を図るために、これまで県では、農業6次産業化による農産物の高付加価値化、

例えば、県内レストラン等における県産農産物の活用促進など、農産物の高付加価値化に向けて、

奈良の美味しい「食」づくりを進めてきましたが、この取組をさらに推進するためには、農業の6

次産業化の実践を担える人材の育成・確保が必要との課題が見えてきたため、今回の開校に至って

います。農産物はどのように育ち、どのように流通し、加工・調理され、食卓へ届くのか、という

一連の流れに精通し、安心と信頼をもって食と農の世界を支える人材を育てることがNAFICの使命

だといいます。

 

(厨房の中の様子です。一人に一つコンロがある環境はかなり珍しいようです)

次世代の人材養成のため、「アグリマネジメント学科」は県内での就農を目指す人に入学者に限定

している一方で、「フードクリエイティブ学科」では県内就労の条件はなく、多くは20代~30

代の若手で東京や大阪からの大都市圏からだといいます。地域に根差した人材育成と、それによる

日本全国、もしくは世界展開が期待できる枠組みとなっています。

「アグリマネジメント学科」では 農業経営のプロになるために、生産から流通、販売まで幅広い知

識と実践力を養います。その農業経営ビジョンを実現するためには、1人1ほ場による実習や先進

農家の下での長期実習などを取り入れるほか、経営やマーケティングなどあらゆる分野の専門家や

経験豊かな農業技術者によるカリキュラムを設定されています。さらに、地域農業の特色、食の知

識を習得し、農産物の商品化についても学ぶことができ、奈良県の農業に根付いた即戦力の人材を

育てます。

 

さらに、NAFICでは、民間の調理師専門学校や公立高校の調理師免許コースのように、一般的なシ

ェフの養成ではなく、調理技術だけでなく、「農」に関する深い知識を持ち、経営やマーケティン

グのスキル、おもてなし力も備えるプロフェッショナルの輩出を目指しています。そのため、教育

は極めて実践的であり、学校内に「オーベルジュ」という宿泊施設を備えたレストランを設置し、

一般のお客様を迎えながら料理やサービスに関する実習を行うほどです。(この「オーベルジュ」

は指定管理者制度により、東京を中心にレストランやカフェなどを展開する株式会社ひらまつ

「オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井」として管理運営しています。ミシュランにも掲載される

ほどの盛況ぶりのようです。)

オーベルジュは客室数9室の小さな宿で、地元奈良の大和野菜や大和牛などの地域の食材を活かした

フランス料理を提供しており、ひらまつグループから選りすぐりのシェフやソムリエが、オーベル

ジュの運営と実践実習を担当しています。特に、調理だけでなく、料理提供やフロント業務、宿泊

サービスなどの幅広いスキルを学ぶこともでき、実際のお客様を相手にして、緊張感を持って経験

を積み、一流レストラン・ホテルのサービスや経営を学ぶことができるのです。

(校内の実習農場の様子です。将来の奈良県の農業を担う学生達が活動しています)

一方で、一流のシェフを育てるため、つまりは、「農業に関しても深い見識を持ち、現場で生産者

と密にコミュニケーションをとりながら良い食材を選んでいく」というプロの人材を育てるため

に、校内実習農場で大和野菜や県特産のイチゴ、西洋野菜などの栽培実習を行い、食材の育て方や

旬などの知識や、安心安全の重要性を学ぶこともできます。そして、これにはじまり、製菓や製パ

ン、ソーセージづくりなどの食品加工のノウハウも身につけることができます。例えば、イチゴジ

ャムの加工です。食材の酸味や糖度でジャムの味がどう変わるかなどの技術に加えて、実際の販売

のためのパッケージ制作や原価計算、マーケティング戦略も考えさせ、最終的には学生マルシェで

販売しています。

学習だけではなく、経営力を重視した実践の場として、調理、加工、販売などをする環境があり、

まさに、公設教育訓練機関の枠にとらわれない素晴らしい取組みです。

卒業後の学生たちには、学校内で学んだことを充分に活用し、奈良県に限らず、日本全国や世界に

ビジネスを展開してもらい、そこでより一層奈良の食材や魅力を広め、地域にブランドをつくり

、地域で稼げる枠組み作りとともに、雇用を生み、交流人口の拡大にも繋げていくことを期待した

いと思います。地域資源を活用した地域活性化と次世代のために業界の底上げにつなげる、奈良県

とNAFICによる革新的な取組でありました。

今後は、地方創生拠点整備交付金で隣接地にセミナーハウスを設置し、食と農に関する多彩なセミ

ナーや知的・文化的な催しを実施することで、更なる地域の交流人口の増加や中山間地域の活性化

につなげていくそうです。

 

 

ー 明日香村 ー

・農家民宿 とまりゃんせ

 

「農家民宿 とまりゃんせ」は見晴らしのいい明日香村真弓丘に建つ古民家を活用した農家民宿

「民家ステイ」を提供しています。昔ながらの四間取りと土間が広がり、懐かしい家具や古道具が

そのままの姿で使われており、村の文化を体験することができます。旅の仕方で自炊、素泊まり、

食事付きを選ぶことができ、かつ郷土料理や農業体験もできるとあって、全国の子供たちや、海外

からのお客に大人気のようです。特に、外国人向けに日本滞在プランとして、ロジを含めて農業体

験などの体験学習を盛り込んだ特別なプランを紹介しており、よりオープンな形で扉を開いていま

す。

かつては、村全体が古都保存法などにより開発抑制をしていて、歴史的な景観を保存しているため

大規模なホテルを建てることができない問題があったそうですが、村商工会などが、平成23年に

協議会を立ち上げ、ホームステイの形で一般の民家に国内外の学生たちを受け入れることにより、

地域の人々との交流や文化を体験する「飛鳥の民家ステイ」を実施しています。(今回、訪問した

「農家民宿 とまりゃんせ」もそのうちのひとつで、このほかにも簡易宿泊所の許可を得て、個人

客を受け入れる施設ができています。)

協議会では、ホームステイの質を高めるため受入家庭への講習会を継続して開催しているほか、利

用者もあらかじめ講習を受けて登録した地域の一般家庭に滞在するようになっています。

「とまりゃんせ」の昨年28年度の利用状況は、598泊(内 インバウンド243泊)となって

います。

古民家を改装し、農業や郷土料理体験など文化という地域資源を活用して、日本全国、世界からお

客を呼び込み、「稼いでいる」素晴らしい取組みでありました。こうした明日香村のような日本の

地方の美しい風景を、世界には伝えていくために、どんどん発信していっていただきたいと思いま

す。

(民宿内で、森川村長より取組の状況を伺います。)

 

 

 ー 五條市 ー

・柿の専門 奈良吉野いしい

(石井社長より、製造工程や地方創生への想いを聞かせていただきました)

「奈良吉野いしい」は、日本有数の柿の生産地(奈良県は全国2位)である五條市西吉野で、柿加

工品、葛餅等の製造販売を営んでいます。謙遜もあると思いますが、柿は「地味な存在」であると

いわれる中で、身体に良い成分がギュッと詰った健康フルーツであると、柿を広めようと様々な加

工品に挑戦されています。これまでに、「柿ケーキ」や「柿バター」、「柿茶」など、革新的な商

品を開発されています。

(当時の授賞式の様子です。HPより引用。)

中でも、「柿バター」(上写真)は私が審査員を務めてたふるさと名品オブ・ザ・イヤー2016

の地方創生大賞を受賞しており、大変美味であったと記憶しています。特に「キズ柿は、安く取引

されてしまい、農家の経営を圧迫している。付加価値をつけるための商品を作ることができない

か」「柿をより身近な食材として日頃から接する機会を設けることができないか」という日本唯一

の柿専門店ならではの視点で商品開発したところが、大変評価を受けているところです。実際に

「柿を日常に取り入れる」ことを一番の目的に作られたこの商品は、奈良特産の「柿」を世に広め

ていくとともに、地元の農家の経営をも救う商品となっているようです。

また、平成18年には「柿ケーキ」が、全国商工会会頭賞第二位を受賞しているほか、平成21年

度に経済産業省元気なモノ作り中小企業300社に選ばれています。

(職員の皆様と。今回のトップ画にも使用させていただきました。)

 

以上。