山本幸三地方創生探訪記録@和歌山 (2017.7.11-12)

 

去る7月11、12日は、和歌山県の高野町、白浜町、広川町、有田市、和歌山市を訪問してまい

りました。一部抜粋し、本HPでご報告致します。

今回のトップ画は、高野町の金剛峰寺での様子です。こちらの「高野・熊野」地域は、地域活性化

総合特区の指定を受け、通訳案内士にかかる規制の特例措置等を活用し、「高野・熊野特区通訳案

内士」を要請して外国人観光客の受け入れ態勢を充実させています。

一昨年の高野山開創1200年誘客キャンペーンや昨年の大河ドラマ「真田丸」・戦国わかやま誘

客キャンペーンにより、国内外に魅力発信を行うとともに、昨年度から関西国際空港と高野山を結

ぶリムジンバスを運行し、近年観光客が大幅に増加しているとのこと。

また、そうした中で、今度は、観光客の滞在時間を延ばし、地域経済への好循環をもたらすため

に、高野町が整備する「高野町ビジターセンター」において、高野山ならではの新たな観光サービ

スの開発や、一元的な情報発信・プロモーションを展開する「高野町DMO」を設立しています。

ー 白浜町 ー

・ITビジネスオフィス

白浜町は、地域若年者の雇用創出や町内活性化を目的として、民間企業の保養所を買取・改修し、

平成16年にIT関連企業等が入居できる「白浜町ITビジネスオフィス」を開設しています。現在、

10社が入居しており、満室とのことで、二か所目のオフィスの整備に取組んでいるようです。

また、この場で、実際にこちらに入居している、サテライトオフィスを構えている (株)セールスフ

ォース・ドットコムより、取組を伺いました。こちらは、総務省が実施した「ふるさとテレワーク

推進のための地域実証事業」に参画しており、平成27年10月より白浜サテライトオフィスを開

設しています。地域と密接に繫がりながら生産性の高い働き方を実現しており、サテライトオフィ

ス開設後商談数も20%アップしたほか、社会貢献活動も計1200時間以上行われているとのこ

とで、会社としてではなく、個人として地域にとけ込みアイデンティティを確立でき、モチベーシ

ョンも上がるとお聞きしました。吉野・白浜オフィス長によれば、都市部に比べ通勤時間も減った

ことで家族と過ごす時間も増え、活力が生まれ、生産性も向上していると伺いました。また、地域

の子供たちにプログラミング教育を普及させる活動も行っており、これまで400名以上の成果を

上げているとのことです。

この実証事業の終了後も、同社のパートナー企業4社とともに「Salesforce Village」での業務を

継続しています。

 

ー 田辺市 ー

・中田食品株式会社

(中田社長(奥)に、施設内を案内して頂きます。視線の先は加工場です。)

今回訪問いたしました、みなべ・田辺地域は日本一の梅の産地で、全国総出荷量の6割以上(平成2

7年産)を占めており、その中でも、「南高梅」は有名で、平成18年に地域団体商標制度の第一弾

として認定されています。

「中田食品株式会社」は紀州梅干のトップメーカーとして、梅干・梅酒をはじめ梅関連製品の全国

販売を展開しており、2009年元気なモノ作り中小企業300社「日本のイノベーションを支え

るモノ作り中小企業」部門に選定されています。

「みなべ・田辺の梅システム」が平成27年12月に世界農業遺産に認定されたことを契機とし、

梅産業全般のグローバル展開を図るとともに、地域の魅力・価値を再発見、再構築し、その魅力・

価値を充分に理解して発信できる人材を育成していくことを通じて、梅(UME)産業のイノベーショ

ンの実現を目指しています。

「みなべ・田辺の梅システム」とは・・・養分に乏しく礫質で崩れやすい斜面を利用して薪炭林を

残しつつ梅林を配置し、400年にわたり高品質な梅を持続的に生産してきた農業システムです。

里山の斜面を利用し、その周辺に薪炭林を残すことで、水源涵養や崩落防止等の機能を持たせ、薪

炭林に住む二ホンミツバチを利用した梅の受粉、薪炭林のウバメガシを活用した製炭など、地域の

資源を有効に活用して、梅を中心とした農業を営んできています。

 

ー 有田市 ー

・株式会社早和果樹園

(秋竹社長より、取組についてお話を伺います。)

有田みかんは、和歌山県のブランドみかんとして広く知られていますが、現在和歌山県は13年連

続で全国1位のみかんの生産量を誇るようで、有田市は県内の60%以上を占める最大のみかんの

産地です。

株式会社早和果樹園は、みかんの生産・選別出荷はもちろんのこと、農産加工品の製造・販売を行

っている、みかんの生産者が立ち上げた農業生産法人です。その法人の強みを活かし、他にはない

美味しいみかん商品を開発し、国内外へ販売を展開しています。

(こちらでは、いち早くドローンを導入しています。和歌山県HPより引用)

こちらでは、地方創生交付金を活用し、生産の効率化や高付加価値化、ブランド力強化等の取組を

支援し、海外へ(中国、オランダなど十数か国以上)の販路拡大を強化しています。生産の効率化と

いう意味では、富士通と県の果樹園試験場とタックを組んだ「ICT農業システム」を導入しており、

「勘と経験の農業」から、データ活用のきめ細かいスマート農業へと変革しています。これは、富

士通のシステムをプラットフォームに、ITセンサーによって糖度や酸度、水分の状況など果樹園か

らあがってくる栽培のデータを収集し、園地や品種ごとに栽培や生育を見える化しています。こう

した情報は、iPhoneなどのデバイスで各自逐一共有できるそうです。一方でこうした情報を県の果

樹試験場と共有することで、栽培の最前線の情報に触れながらアドバイスをもらうことなどが可能

になります。このようなデータを収集・蓄積、分析してモデルづくりをおこなっているのです。そ

してこちらでは、いち早くドローンも導入し、広く急な斜面が続くみかん畑でありますが、歩かず

とも安全に畑の端から端まで生育状況や病気などチェックできるようになったといいます。

(こちらも、メディアでよく取り上げられている新商品「みかんケチャップ」。「メーカーは新商品が出せなくなったら終わり」との気持ちの下、続々と新商品が開発されているそうです。)

また、地域活性化という意味で、近隣のみかん農家からの受け入れも積極的にされているほか、本

来安値である加工用みかんを付加価値の高い商品を開発することにより、高価で買取をすることで

所得の向上とともにみかん需要の拡大にも貢献しています。

加えて、地元志向の新卒大学生等の受け皿(従業員の3分の1が20代とのこと)やシルバー人材の

雇用など、積極的に地域人材採用・育成を行い、仕事場の創造と所得の向上に繋げ、みかん産地で

の雇用を創出しています。

こうした素晴らしい取組みはモデル企業として全国的に評価されており、2014年には、「6次

産業化優良事例表彰(農林水産大臣賞)」を受賞したほか、2015年に「ディスカバー農山漁村の

宝」に選定されています。今後も更なる経営規模拡大による地域雇用への貢献を期待したいと思い

ます。

 

 

ー 和歌山市 ー

・水辺座

今回訪問した和歌山市全体の人口は、産業構造の転換等により、昭和60年をピークに約9%減少

し、空き家の増加が問題となる中で、市内の空き家の実態把握や空き家等の活用を促進するための

取組を進めています。この和歌山市では、リノベーションまちづくりを進めていくために、平成2

5年度から短期集中合宿「リノベーションスクール」を開催し、遊休不動産の再生とまちづくりの

担い手の育成を図っています。受講生が実在する遊休不動産を再生させるための事業計画を不動産

オーナーに提案し、事業化を目指しています。空き家、空き地の活用に向けて、官民の遊休不動産

を活用したまちづくりを推進しており、市街地再開発とリノベーションを組み合わせて、エリアの

課題解決・価値向上を目指しています。

今回お邪魔した「水辺座」(上写真)もその一つであり、スクールの受講生3人が(株)宿坊クリエイテ

ィブを立ち上げ、南海和歌山市駅近くの空き店舗を建物の裏側を流れる市堀川や対岸の酒蔵「世界

一統」をいかし、川をのぞむ日本酒バーとしてリノベーションしオープンさせたものです。この他

にも、低コストで民泊用に供して、外国人のインバウンドの方々に、泊まってもらえるよう取組を

やられています。

 

 

・総務省統計局移転、データ利活用推進センター

 

今回の視察では、総務省統計局の一部移転先の「南海和歌山市駅ビル」も視察いたしました。こち

らは、東京一極集中の是正を目的とした政府関係機関の地方移転の一環として、総務省統計局

立行政法人「統計センター」の一部機能を和歌山市内への同ビルへ移転するものになります。現在

は、南海電鉄和歌山市駅に隣接した同ビルへの入居に向けて、準備が進められており、平成30年

度より、統計局と統計センターの職員十数人が常駐し、「統計データ利活用センター」として業務

を開始します。今年度中は、和歌山県などと連携し、ここを拠点にデータサイエンス普及や人材育

成を柱にしたプロジェクトを実施するほか、公務員を対象にしたデータ分析などの研修、企業や自

治体がどのようなデータを求めているかといった調査などを進めます。

和歌山県も、この移転に合わせて、「データ利活用推進プラン」を策定し、統計局が設置するセン

ターに隣接して、同ビル内に「和歌山県データ利活用推進センター」設置し、データを利活用した

県内企業の支援や行政課題の研究等に取組んでいく予定であり、効果的な連携が期待されます。

今後、政府は統計改革を行っていくわけですが、EBPM(証拠に基づく政策決定)を定着させるために

も、この統計センターの取組は政府関係機関の移転の中でも大変重要であると考えております。

 

以上。