山本幸三地方創生探訪記録@佐賀  (2017.6.18-19)

 

昨月、6月18日、19日は、佐賀県有田町、武雄市、鹿島市、佐賀市を訪問してまいりまし

た。一部抜粋し、本HPでご報告致します。

 

今回のトップ画は、有田町にて人間国宝、井上萬二氏の工房、ギャラリーにお邪魔をした際の様子

です。井上萬二氏は重要無形文化財「白磁」の保持者であり、有田焼の伝統の中で「白」のもつシ

ンプルさゆえの美しさに魅せられ挑戦を続け、白磁製作技法を極め、後進の指導にも注力されてい

ます。今回は、山口・有田町長から昨年の有田焼400年の取組を伺いました。この他にも、こう

した焼き物や街並みを案内して頂ける、観光協会や商工会議所の男性職員有志からなる「うつわ男

子」の方々にもご説明をいただきました。陶磁器などの「やきもの文化」こそ、佐賀県の代表的な

地域資源のひとつであり、特色をいかした地方創生のため「稼ぐ」取組を見させていただきまし

た。

 

 

ー 有田町 ー

・シェアハウス&シェアアトリエ「コネル」

(地域まちおこし協力隊の佐々木様、有田町長山口様より取組の説明をいただきます)

シェアハウス&シェアアトリエ「コネル」は、有田町地域おこし協力隊の佐々木元康氏が、有田焼

作家を志す若い世代を応援するため、空きスペースとなっていた陶磁器商店の倉庫を地域住民と一

緒にセルフリノベーションし、シェアハウス&シェアアトリエとして今年の6月4日にオープンし

たものです。有田町、特に内山地区は人口減少と高齢化とともに、空き家数の増加にも悩まされて

いる中で、佐々木様より、この「コネル」がもつ、3つの、ミッションについて伺いました。まず

は、「有田に移住してくる若者(主にクリエイター)の移住・定住促進」です。佐賀大学(有田キャン

パス)との連携を強化するなど、移住体験ツアーや移住相談会などにより、有田には「コネル」のよ

うなヨソ者を迎え入れる場があることを伝えていきます。また、2つめは、「空き家・空き店舗の

リノベーションによる活用促進」です。「コネル」は一つの空き家活用モデルであり、空き家とそ

の活用希望者(カフェ・レストラン・ゲストハウスなど)とのマッチングを加速させることで、暮ら

して楽しい賑やかな内山地区をつくります。最後に、3つめは「有田・内山地区の活性化」です。

若者と地区の人たちとのコミュニケーションの場として活用し、エリア全体で、移住してきた若者

を応援できる関係性づくりをしています。

 

現在は、シェアハウス整備の4室中、3室が入居中になっており、1階には作品の展示・販売スペ

ースが用意されています(写真)。以上、地域の資源である陶磁器「有田焼」と、地域に根付いた古

民家を活用した、移住政策でまちおこしの取組でありました。

 

ー 鹿島市 ー

・肥前浜宿

肥前浜宿は江戸時代から酒造業で栄え、白壁土蔵の酒蔵やかやぶき屋根の家並みが残る地域です。

鹿島市内の6つの酒蔵によって、平成23年度より全国に先駆けて「鹿島酒蔵ツーリズム※」が開

催され、平成29年度には約8万人の集客を誇るイベントに成長しております。

例えば、今回訪問しました呉竹酒造(上写真・鹿島市観光協会HPより)は、昭和初期の建築で、国の

登録有形文化財(建造物)に登録されています。30年ほど前に、まちの衰退に危機感をもった地元

の人々が立ち上がり、酒蔵コンサートなど肥前浜宿のまちおこし活動がはじまっています。

(NPO水とまちなみの会中村局長よりお話を伺います。蔵内はコンサートが行えるほど広いです。)

また、同じく訪問した旧筒井家(下写真)は、明治時代に建築されたといわれる木造で茅葺の町家で

すが、地方創生拠点整備交付金事業として、移住促進コミュニティとしてリノベーションされてい

ます。

こちらは、肥前浜宿への移住希望者が増える中で、定住促進施策の一環として、肥前浜宿内の伝統

的町家をお試し移住の施設として整備を行うものです。一定期間移住体験を行うことで、コミュニ

ティに対する不安等を解消し、安定した定住につなげます。

※酒蔵ツーリズム…鹿島市の登録商標であり、酒蔵をめぐりながら、その土地ならではの食や文

化、歴史を楽しむ旅のスタイルです。

 

 

 ー 佐賀市 ー

・わいわい!!コンテナ2

(本当に、普通の空き地に「どこにでもある」コンテナを活用しています。)

わいわい!!コンテナ2は、故郷の市街地の空き地化に危機感を覚えた佐賀市出身の建築家、西村

浩氏が率いる(株)ワークビジョンズが提案する、街なかの空き地を逆に人々が集まることのできる

空間にするという試みです。5年ほど前から、中心市街地の空き地に住民の手で芝生を張り、低コ

ストの中古コンテナを活用したコミュニティスペースや図書館等を設置し、広場周辺に新規店舗が

10店舗出店しています。また、中には、チャレンジショップなる出店やギャラリーとして活用で

きる場所もあり、スタートアップの場所としても適しているようです。

こちらを拠点に、周辺の空き店舗等が様々な店舗、シェアハウス等に生まれ変わる連鎖が引き起

り、空き店舗と企業家のマッチングもはじまり、まちの回遊性の向上や民間事業者による周辺の空

き店舗の再活用等、様々な波及効果にもつながっています。こちらは、中心市街地にとって厄介と

もいえる遊休不動産である空き地を有効に活用した、地域価値向上の好事例であり、内閣府がとり

まとめた「地域のチャレンジ100」にも選定をされています。

今後は、佐賀市特有の風景であるクリーク(水路)という水辺空間との調和を図り、魅力を高めてい

く取組を行うようです。

 

・柳町エリア

 

柳町エリアは、佐賀市のまちなか、長崎街道沿いの明治・大正期の建築が立ち並ぶ趣のある地域と

なっています。佐賀市の古民家再生プロジェクト(地方創生加速化交付金を利用した佐賀県の交付金

事業を活用し、歴史的建造物活用のブランディング化・メディア事業を実施)により旧森永家、旧久

富家を若者の起業支援のためのスペースとして改修し、テナントを募集しています。(現在は、計9

つのテナントが入ります)旧森永家、旧久富家は、平成28年に歴史的観光資源の有効活用を図り、

文化の向上及び観光の振興に資することを目的とする佐賀市歴史民俗館と位置づけられています。

旧森永家(下写真上 佐賀県HPより)は、明治期にたばこ製造・販売業を営んでいた町屋建築で、北

蔵に和紅茶専門店、居宅に「鍋島緞通※」の工房(織ものがたり)、南蔵に工芸品が入っています。

※鍋島藩の御用品で、江戸時代初期発祥の緞通(中国・インド・ペルシアから渡来した、敷物用織物

の一種)

 

(旧森永家の中の様子です。)

旧久富家(下写真、佐賀県HPより)は大正期の履物問屋で、1階にカフェと写真館、2階に和装販

売、くみひも屋、ステンドグラス工房等が入っています。

 

 

・マイクロソフトイノベーションセンター佐賀

(館内で、司会に架空の3D映像を映し出すゴーグル型端末「ホロレンズ」を体験しました)

マイクロソフトイノベーションセンター佐賀(MIC)は、IT関連の人材育成を目的に平成28年10月

1日に開所された西日本初のイノベーションセンターです。産学官5者、(日本マイクロソフト

(株)、(株)パナソニック、佐賀県、佐賀大学、佐賀市)が連携協定を締結し、MICの運営を行っていま

す。なぜいま佐賀なのかといえば、九州佐賀国際空港へのアクセスの良さにはじまり、税制など立

地企業に対する優遇策や補助金等支援の手厚さも手伝ったほか、佐賀県がICT教育の先進的取組(全

県立高校生へのタブレット導入など)を行っていることや、幕末佐賀藩の先進的なものづくり、葉隠

武士に代表される勤勉さがマイクロソフトの求める人材像と一緒であること、などから誘致を含

め、プロジェクトが決定したといいます。

こちらでは、日本マイクロソフトから最新の機器やソフトウェアの提供を受けて、専門の講座(女

性、学生、社会人向けなど多種開催し、ICTスキルやリテラシー等を高める場を作ります。昨年10

月より半年間で約1100人が講座を利用)を開くほか、佐賀大学は新科目を設けて学生を指導

し、地場産業及び誘致企業への人材供給をはかり、地元からの人材流出に歯止めをかけています。

また、地域課題解決ワークショップとして、私共内閣府の方で提供している、RESASを活用したソ

リューション開発などをテーマにプログラムも行われているようです。

MICでは、セミナールーム、シェアオフィス(下写真)、コワーキングスペースからなり、これらが三

位一体となってIT人材の育成拠点となることを目指し、隣接するインキュベートルームと連携し、

新規事業への取組についての相互連携が図りやすい環境を整備しています。そのコワーキングスペ

ースでは、個人スペースの他に対話を創出しやすいオープンスペースがあり、Skypeなどができる

Phoneブースなども設置されておりました。すでにインキュベートルームへ移り、本格的に起業に

取組む事例も2件ほど出てきているようです。また、「佐賀で働ける」シェアオフィスとして、

企業用の個室タイプのテレワーク環境の整ったオフィススペースを提供しており、現在4室中2室

に企業が入居しています。

(「炭化」の入江社長より、MICを活用した取組とともに、鮮度保持剤をご紹介いただきました)

※(株)炭化は、地域資源を活用して海外への販路拡大に取組む企業で、過去にインキュベートルー

ムを活用していました。世界における「食品ロス」の問題に着目し、九州地区の放置竹林の炭化使

用や、佐賀県嬉野3番茶の活用、県の窯業技術センターの技術指導などといった地域資源を活用し

た鮮度保持剤とともに、佐賀県特許である酸化チタンを使用した光触媒を上記の保持剤と掛け合わ

せた鮮度保持システムを開発しています。青果物などの鮮度保持に抜群の効果を示し、収穫後か

ら、貯蔵や輸送、加工現場や店舗まで様々な場面で活躍しており、まさに佐賀発の地域資源を活用

し、海外へ進出し競争できる素晴らしい取組であり、技術があれば東京でなくてもやれる産業

で、地方創生の大きなエンジンになりうると感じました。

 

 

また、MICが入るフロアは、佐賀市の産業支援・創業支援の拠点の拠点と位置付けており、上記の

MICのほか、インキュベーション施設、経営相談・創業相談窓口の機能も有しています。これによ

り、MICの受講者が、コワーキングスペースで交流し、産業支援相談室が助言・支援を行う中で、

インキュベートルームにてスタートアップが誕生し、シェアオフィスで進出、もしくは誘致した企

業と連携し、新規事業につなげていくという取組が期待できます。

以上、県と市が企業とともにICT分野の人材育成に取組み、大学との連携を含めて成果が出ているこ

とは高く評価できるのではないでしょうか。このMICの取組によって、地方創生の理念である「し

ごと」と「ひと」の好循環が生まれ、産業の振興とともに雇用を創出しIT人材を中心にU・I・Jター

ン等移住を促し、地域振興につなげていただきたいと思います。

 

以上。