平成29年3月08日 参議院本会議

平成29年3月08日 参議院本会議

○国務大臣(麻生太郎君) 古賀議員からは、財務大臣として配偶者控除など九つの点、金融担当大臣としてNISAに関する三つの点、合計十二の点についてのお尋ねがあっております。
まず、国有地の売却についてのお尋ねがありました。
国有財産につきましては、いずれの場合においても適正な価格により処分を行うことが定められておりまして、時価による処分がなされております。本件につきましては、発見された地下埋設物に対応するため、近畿財務局と大阪航空局とで協力し、国有財産法等の法令に基づき適正な手続、価格によって処分されたものであり、問題はないと考えております。
次に、配偶者控除の見直しの効果についてのお尋ねがありました。
今般の見直しにより、女性を含め、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる仕組みの構築に寄与できるものと考えております。実際、民間企業の配偶者手当についても見直しが検討され始めているものと承知しております。一定の効果があるのではないかと考えております。
他方、就業調整の問題につきましては、税制や社会保障制度のみならず、民間企業の配偶者手当の支給基準や、また家事や育児に時間を要するなど複合的な要因が存在をいたしております。このため、配偶者控除の見直しのみで就業調整問題が解消されるものと考えているわけではなく、その効果を定量的に見積もることは困難であると考えております。
なお、今般の見直しにおける配偶者の収入制限の引上げにより負担減となる人数は、約三百万人程度と考えております。
次に、配偶者控除における二重の控除と事実婚等への拡大についてのお尋ねがあっております。
二重の控除の御指摘につきましては、配偶者の基礎控除はあくまでも配偶者自身の負担を調整する仕組みである傍ら、納税者本人の配偶者控除は一定の収入以下の配偶者がいる方の税負担能力に配慮する仕組みであります。したがって、それぞれ別の目的を有しており、これらが併存していることには合理性があるものと考えております。
また、配偶者控除の対象を事実婚等へ拡大することにつきましては、事実上の婚姻関係にあるのかそうでないのかを統一的に判断することは極めて困難であることなどを踏まえますと、一律かつ強制的に徴収をいたします税制の下では、民法上の婚姻関係を基礎とせざるを得ないものと考えておるところであります。
次に、移転的基礎控除についてのお尋ねもあっております。
いわゆる移転的基礎控除は、配偶者が控除し切れなかった基礎控除の額を納税者本人に移転する仕組みであるため、その配偶者の所得を適時、正確に把握することが必要になるものと考えております。この点、御指摘のありましたマイナンバー制度というものを仮に導入したとしても、課税最低限以下の方々については、そもそも申告義務がなく、その所得を把握することはできないことには変わりがないことなどから、配偶者の所得の適時、正確な把握にはなお困難があるものと考えております。
次に、いわゆる夫婦控除についてのお尋ねもあっております。
御指摘のいわゆる夫婦控除につきましては、具体的な控除の額がどの程度に設定するのか、全ての夫婦世帯を対象にするのかどうかなど多様な論点がありまして、具体的な制度設計が固まっていなかったことから、必要な財源の試算は行っておりません。
また、昨年末の与党税制改正大綱におきましては、仮に夫婦世帯の所得に上限を設ける場合、世帯単位で所得を把握することが難しいとの問題があると指摘をされております。この点につきましても、先ほど申し上げたとおり、マイナンバー制度を導入いたしたとしても課税最低限以下の方々の所得を把握できないことなどから、世帯単位で所得を把握することにはなお困難があるものと考えております。
次に、NISAに関する三つの点についてのお尋ねがあっております。
第一に、積立NISAの利用人数と市場規模についてですが、お尋ねのように、制度開始後の年数に応じた個別の試算は、これは困難でありまして行っておりません。
なお、現行NISAにおいて現状約五百三十万件の非稼働口座があり、これらの利用者はまとまった資金がないことなどを理由に投資を行っておられないのではないのかと考えられます。少額で利用可能な積立NISAに関しては、まずこれらの利用者が活用することを考えるほか、その他の投資未経験者層も含め、幅広く利用していただけるものと考えております。
第二に、積立NISAと既存NISA及びiDeCoとのすみ分けについてですが、iDeCoは御存じのように老後の備えを目的といたしました私的年金制度であり、原則として六十歳になるまで払出しができない仕組みになっております。これに対して、積立NISAや現行NISAは、老後に限らず、様々なライフイベントに備えた家計の資産形成を促す仕組みであり、払出しの制限はありません。また、積立NISAは、現行NISAと異なり、特に投資初心者を念頭に、少額の積立・分散投資に限ることといたしております。
最後に、既存NISAの非課税期間及び制度自体の恒久化又は延長についてお尋ねがあっておりますが、平成二十九年度与党税制改正大綱におきましては、制度の簡素化や税制によって政策的に支援すべき対象の明確化の観点から、複数の制度が並立するNISAの仕組みについて、少額からの積立・分散投資に適した制度への一本化を検討することとされております。
今後のNISAの制度の在り方につきましては、こうした考え方や積立NISAの制度開始後の政策効果も踏まえつつ、今後検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、所得拡大促進税制についてのお尋ねがありました。
安倍政権において、経済の好循環を達成する上で、賃金引上げは重要な課題であり、このため、政労使会議などの取組のほか、所得拡大促進税制の創設、拡充といった対応を進めてきております。この税制も一つのきっかけとして、三年連続二%台の賃金引上げが実現したものと考えております。
企業がどれだけの賃金引上げを行うかは、これは税制のみならず労働市場の状況や労使交渉、また企業の収益状況等々、様々により決まりますので、経済全体の賃金引上げの中で、今般の税制改正の効果のみを切り出してお答えすることは困難でありますが、今回の改正では、中小企業について、現行制度による賃金引上げ支援に加え、平成二十九年度に二%以上の高い賃金引上げを行う企業に対する税額控除率を大幅に引き上げるなど、インセンティブ機能を強化することといたしており、一定の効果があるものと考えております。
次に、地域経済を牽引する事業に対する設備投資促進税制及び中小企業向け設備投資促進税制についてのお尋ねがあっております。
今回の改正の効果につきましては、所管省庁であります経済産業省においては、地域経済を牽引する事業に対する設備投資促進税制は二百社、約一千億円程度の投資、また、中小企業向け設備投資促進税制は、件数ベースで見込みは行われてはおりませんが、対象設備の拡大により約三千億円程度の投資が、それぞれ新しい制度の要件に該当することになると見込んでいるものと承知をいたしております。
こうした税制面を含む取組を通じまして、地域経済を牽引する中核企業による積極的な投資やサービス業を含めた中小企業による投資が進むことを期待をいたしております。
最後に、自動車関係諸税についてのお尋ねがありました。
自動車関係諸税につきましては、これは、消費税率を一〇%に引き上げる予定であります平成三十一年十月に、自動車取得税を廃止するとともに自動車税等において環境性能割を導入することといたしております。一方で、道路特定財源の一般財源化後も、自動車の走行が道路損壊等の社会的費用を発生させております事実、また、自動車ユーザーは道路整備等による利便性向上の恩恵を受けているという考え方に変わりはありません。
今後の自動車関係諸税の在り方につきましては、こうした考え方や国、地方の厳しい財政事情なども踏まえて検討する必要があるものと考えております。(拍手)
〔国務大臣山本幸三君登壇、拍手〕

○国務大臣(山本幸三君) 森友学園への国有地売却に関連して、公文書管理についてのお尋ねがありました。
公文書管理法は、公文書が、国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、現在と将来の国民への説明責任を全うすること等を目的として、行政文書の適正な管理に関するルール等を定めております。
行政文書の保存期間については、例えば法令の制定等、全行政機関で共通した保存期間を適用すべきもの以外は、行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じて各行政機関が定めることとされており、御指摘の件については、財務省において、公文書管理法及び財務省行政文書管理規則等に基づき、適切に判断されたものと考えております。
内閣府としては、引き続き、政府における公文書管理の取組全体の質を向上させていくことは重要であると考えており、行政文書の管理に関するガイドラインの継続的な見直しや、各府省の職員の公文書管理に対する意識を高めるための研修の充実等を着実に進めてまいります。(拍手)
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