平成27年2月4日 予算委員会

平成27年2月4日(水) 予算委員会議事録

大島委員長 この際、山本幸三君から関連質疑の申し出があります。平沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山本幸三君。

山本(幸)委員 自由民主党の山本幸三でございます。

 まず初めに、ISILと呼ばれる非道なテロ集団によって非業の死を遂げられました湯川遥菜さんそして後藤健二さんの御冥福を心からお祈り申し上げ、そして、御家族の皆様に哀悼の誠を表したいと思いますし、政府におかれては、こうしたことが二度と起こらないように全力を挙げていただきたいということをお願いし、その上で、経済問題に入りたいと思います。

 総理、私は二年前、この場、予算委員会の集中審議の場におきまして、安倍総理は日本経済の救世主であるということを申し上げました。それは、長きにわたるデフレでまさに日本経済は沈没しかけていたわけでありますが、これをまさに救っていただいた、そういう意味で救世主であるということを申し上げました。

 今回、私はもう一度、その救世主という言葉を使わせていただきたいと思います。それは、アベノミクスが始まって、ずっと順調に日本経済は進んでおりました。株も上がり、円も異常な円高が是正されて、そして経済も、消費もふえてきた、生産もふえということで順調に来ていたわけでありますが、昨年の四月の消費税の第一弾の引き上げで急激なブレーキがかかってしまいまして、ちょっとこれは危険な状況になったわけであります。

 四―六は仕方がないにしても、それ以降の七―九もマイナス経済になるというような状況でありまして、これは日本経済、またデフレに逆戻りして、そして悪夢を引き戻すのではないか、そういう心配をしたんですが、それを避けるためには、私は、あの時点で消費税の再増税は延期するしかないというふうに思っておりまして、それを決断できるのは安倍総理しかおられないわけでありまして、それを敢然と決断していただきました。

 最近、私のところに、かなり著名なアメリカの経済アナリストがやってまいりまして、こういうことを聞いてきました。自分たちは、今まで、日本というのは官僚が全部決める社会である、そういうふうにずっと思っていた、今回も、ニューヨークでもワシントンでも、日本の官僚、そして日本の経済界、マスコミも含めて、いや、もう決まった路線だから、必ず消費税の再引き上げはありますよという話を聞いて、そうかなと思っていたんだと。ところが、安倍総理は、そうした官僚の抵抗を排して、敢然と消費税の再増税は延期するという決断をした。自分は初めて総理大臣らしい総理大臣を見た、どうしてミスター安倍は総理大臣らしいそういう決断ができたのか、そういう質問を私は受けました。

 総理、その質問に対してどのように御自身でお答えになるでしょうか。

安倍内閣総理大臣 長い間、山本委員は、日銀前総裁とこの予算委員会の場において日本銀行の金融政策について議論をしておられました。その際、当時の日本の経済の低迷の元凶はデフレであり、デフレ脱却に資する大胆な金融政策をとるべきだ、こう主張してこられたわけであります。当時は、残念ながら我が党においても、山本議員の主張は主流的な議論ではなかったわけでありますが、しかし、国際的にはまさに主たる手段であったと言ってもいいのではないかと思います。

 そこで、私が政権を獲得したときに、山本委員がまさに主張しておられた、大胆な金融政策によってデフレマインドを打ち砕く。マインドを変える、マインドをリセットするのはそう簡単なことではないわけでありますから、まさに異次元の政策でそこに挑んだわけであります。幸いその成果も出てきたところでございますが。

 今回も、既に法定されている消費税の引き上げ、これを変えるというのはそう簡単なことではないわけでございますが、まさに、デフレ脱却、そして私たちが進めてきたこのアベノミクスを成功させるためにはこの道しかない、こう判断したところでございます。また、事前に山本議員からも、ここは一年半延期すべきだと、強い御進言もいただきました。そういう皆様の御意見を参考にさせていただき、今回そう判断したところでございます。

山本(幸)委員 まさに、最終的な決断ができるのは総理しかおられないわけでありまして、本当に勇気ある決断をしていただいた、改めて、日本経済を救っていただいたという意味で、救世主であると申し上げたいと思います。

 その上で、アベノミクスについて、アベノミクスは失敗したんじゃないかというような議論をする方がいます。選挙のときも、民主党の議員の方々はそういう話をしておりました。その最大のポイントは、格差が広がったのではないかということでありましたが、私はちょっとお門違いの議論ではないかというふうに思いました。

 それはなぜかというと、格差というのはデフレのときの方が広がるんですね。デフレというのは、金持ち、現金を持っている人が、何でも買えますからどんどん豊かになる。一方で、デフレでは、企業がリストラをする、賃下げをする、そして解雇をするという意味で仕事も失っていくわけですから、下の方はどんどん下がっていく。まさに、デフレこそが格差を広げるものなんです。

 これを直すのは、逆に、格差をなくそうという政策でありまして、現に、格差が広がったと批判している民主党の皆さん方の議論の根拠になるデータは、全部アベノミクスが始まる前のデータを示して、日本では格差がこれだけ広がったじゃないかと言っているんですね。この前の長妻さんのデータもそうでした。唯一、最近のデータを使っているのは、昨年の春から実質賃金が下がったではないかというときに使っていますけれども、まさに、この実質賃金が下がったのは、昨年四月の消費税の引き上げによって下がったわけでありまして、これをなくそうということを言っているわけであります。(発言する者あり)前と言っていますが、たった一カ月だけです。そういう意味で、データをしっかり見て議論した方がいいと思いますけれども。

 いずれにしても、そういう、デフレが格差を広げてきたんだという意味で、私は、アベノミクスは逆にデフレを縮小する政策だというふうに思っているんですね。

 なぜならば、現金だけを持っている人は損をする。そしてまた、仕事をどんどんつくっていくわけです。失業率がどんどん下がってきたわけです。そして、まさに賃金を上げようという政策なんですね。まさに、これをしっかりやっているわけです。

 先般来て、格差の問題を言っているピケティという人がいますけれども、私は、あの人の理論は理論的にはちょっとおかしいと思っているんですが、きょうは時間がありませんからそれは申し上げません。ただ、格差について重要だということはそのとおりだと思いますし、彼も、格差をなくすためには、一番大事なことは賃金を上げることだとしっかり言っているわけですね。国家公務員の賃金は率先して上げなきゃいけないぐらい言っていますよ。どこかの党と全然違う主張をしていると思いますけれども。

 そういう意味で、まさにアベノミクスこそ格差をなくす政策であって、これを我々は敢然として進めなければいけない、そういうふうに私は思っているんですけれども、総理の御見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに委員御指摘のとおり、デフレ下においては、現金を持っていればその価値が上がっていくわけであります。デフレ下においては、物の値段が下がっていくよりも、賃金の方が下がっていく、このスピードの方が速いし、幅も大きな幅になっていくわけでありまして、そこに大きな問題があるわけであります。

 そこで、私たちはデフレから脱却をしなければいけない。つまり、物の値段が下がっていく、現金を持っていればその方が利益が出るということであれば、人にも投資をしませんし、当然設備投資もしない。結果、日本の名目GDPが大きく下がったのは事実であります。私たちが政権をとってからこの傾向を反転させまして、名目GDPは大きく前進をすることになりました。

 そこで、格差の問題でありますが、安倍政権が政権をとって、昨年、二%賃金が上がりました。そして同時に、平均の賃金だけではなくて、最低賃金も二年連続大幅に上げることができました。パート労働者に対しての報酬もそうであります。そして、非正規、正規の差、この収入の差も、実は私たちが政権をとってから縮まり始めているわけであります。

 さらには、昨年度から、働き盛りの五十五歳以下で見てみますと、正規の方が非正規になってしまう数と、非正規から正規になる数、これが逆転をしたわけでありまして、つまり、非正規から正規に移っていくことができる経済状況をつくったことによって、まさにその希望をかなえることができる、そういう経済状況をつくることができた、こう思うわけであります。

 デフレ下においては新たな果実は生まれない。しかし、デフレから脱却をしたことによって、新たな果実を生み出していかなければ企業は存続することができない、イノベーションは活発になり、そして新たに生み出された収益をいわば従業員なり社会に均てんしていくということが可能になっていくんだろう、こう思うわけでございます。

山本(幸)委員 おっしゃるとおり、そういう意味で、アベノミクスこそ格差をなくす政策ですから、しっかりと自信を持って進めていっていただきたいと願う次第であります。

 次に、黒田日銀総裁においでいただいておりますので、日銀総裁にお伺いしたいと思います。

 二年前のこの予算委員会で、私は黒田総裁に、総裁、あなたは安倍総理からデフレ脱却という重大な使命をいただいたので、もう全てをそれにかけて頑張ってもらいたい、これからいろいろ批判や誹謗中傷があるかもしれないけれども、一切耳をかしてはならない、敢然とその目標だけに向かっていってもらいたい、そういうお願いをし、黒田総裁も、命がけでやるというお答えをいただきました。

 なぜ私がそういうことを言ったかというと、いわゆる日本銀行の独立性、中央銀行の独立性についてしっかり理解していない議論が横行するからなんですね。例えば、金融政策で円が安くなり過ぎているから問題じゃないか、あるいは国債を買い過ぎているから問題じゃないか、あるいは出口戦略を何で言わないんだ、そういう議論が横行してくるわけであります。しかし、それは、従来から先進国の間で慣行として築かれてきた中央銀行の独立性の議論を理解していない議論なんですね。

 先進国でインフレ目標政策というのが導入されて、それ以降、中央銀行の独立性は整理されました。それはどういうふうに整理されたかというと、達成すべき目標については政治も政府も物を言う、そして中央銀行と政府、政治と一緒になって決めよう、しかし、そこから先は全て日本銀行に任せるんだ、中央銀行に任せるんだ、その上で、万一目標の達成ができなかった場合には説明責任を問おうということでありまして、一旦目標が決まったら後はくどくど言っちゃいけないんです。それはもう全て中央銀行に任せなきゃいけないんです。

 そのことが非常に大事なんですけれども、黒田総裁、どういうふうにお考えでしょうか。

黒田参考人 委員御案内のとおり、二〇一三年の四月に、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に達成するということ、それを目標にして量的・質的金融緩和を導入したわけでございます。

 先ほどの委員と総理との対話の中でも出ていましたように、デフレのもとでは、自己実現的にいわばデフレが続き、経済の低迷が続くという状況があったわけですけれども、それを打破するためには、やはり、異次元といいますか、思い切った金融緩和を打ち出し、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという強いコミットメントをすることによってデフレマインドを脱却するということでありまして、その目標に向かって着実に進んできているというふうに思います。

 今後とも、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということをしっかりと守って、目標達成に向かって邁進していきたいと思っておりますが、御承知のように、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという、これはもちろん日本銀行が二〇一三年の一月に決定したことでありますけれども、同時に、これは日本銀行と政府との共同声明の中ではっきりとうたわれていることでもございます。

 そういった意味で、この共同声明に沿って、まさに日本銀行として、自己の責任において二%の物価安定目標を達成してまいりたいというふうに思っております。

山本(幸)委員 雑音に耳を傾けないで、出口戦略とかそんなことを気にする必要はないんです、無視して、そして敢然とデフレ脱却の政策を進めていただきたいと思います。

 最後に、そういう中央銀行の独立性、政府、政治と中央銀行との関係をきちっとするためには、やはり私は法律でこれを制度化した方がいいと思っているんです。各国もそういうふうにしています。今は口約束、まあ、協定ですから文書ですけれども、ですから、これは総裁がかわったらどうなるかわからないという不安感もある。

 そういう意味では、きちっと法律でインフレ目標政策というものを入れるようにした方がいいし、これは今の黒田体制のうちに始められるようにした方がいいと思いますので、遅くとも来年の通常国会では法案が通って、そして実現されるということが望ましいと思いますけれども、時間がありませんので、最後に総理の御見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私も、委員と同じように、いわば政策目標については政府と中央銀行が同じ目的を共有する、同時に、その目標に向かって進んでいく手段については、日本銀行がその手段を専門家としてしっかり決めていくことでなければならない。

 そこで、安倍政権が発足以来、政府と日本銀行の間で緊密な意思疎通を行いました。その中で、日本銀行は、政府との共同声明において、二%の物価安定目標をみずから設定したところでございます。まずは、この目標に向けて、日本銀行が今後とも大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待しています。

 なお、具体的な金融政策の手段については、もちろん日本銀行に委ねているところでございますが、その中において、私は黒田総裁を信頼しております。

 日本銀行法の改正については、将来の選択肢として、引き続き視野に入れていきたいと思います。

山本(幸)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

大島委員長 これにて平沢君、山本君の質疑は終了いたしました。