読売新聞『消費税率アップ駆け引き 「引き上げありき」払拭狙う』

20141007読売新聞

 安倍首相が12月上旬にも判断する消費税率10%への引き上げを巡り、政府・与党内で駆け引きが始まっている。予定通り2015年10月から引き上げるべきだとの意見が強いが、自民党内からは先送りを求める声も上がり始めた。首相はギリギリまで熟慮する構えを崩しておらず、議論はさらに活発化しそうだ。
 公明党の山口代表は6日、都内での同党議員の会合であいさつし、「経済が思い通り運んでいると言えない状況もある。しかし、消費税は社会保障に対する役割が重要で、(引き上げに向けた)国民の気持ちは強いと思う」と語り、予定通り消費増税を行うべきだとの考えを示した。自民党の谷垣幹事長も「将来への安心感という観点からも、法律上からも、引き上げは自明」との考えで、首相に引き上げの決断を促している。
 こうした流れに異論を唱えているのが、自民党の山本幸三衆院議員だ。2日の岸田派の会合で、「今の(経済)状況で予定通りやるのは無理だ。引き上げは1年半くらい延ばした方がいい」と訴えた。6日にも、「雰囲気に流されず、(経済指標を)見極めた冷静な議論が必要だ」と記者団に語った。
 山本氏は首相に近く、首相の経済政策「アベノミクス」の立案者の一人とされるだけに、「首相の意向を代弁しているのではないか」(若手)との受け止めが出ている。菅官房長官が6日の記者会見で、「党内の様々な意見にも耳を傾けていくのは当然のことだ」と語り、山本氏の言動を容認したことも、そうした見方に拍車をかけている。
 菅氏の発言には、与党内に漂う「引き上げありき」の見方を払拭し、首相が最終判断するに当たってのフリーハンドを確保する狙いがあるとみられる。山本氏は今月中に、自身を中心とする経済政策に関する党議員連盟の会合を開き、引き上げの是非を巡る議論を始める方針だ。
 政府は、11月上旬にも民間のエコノミストや大学教授などの専門家から景気の現状や増税の是非について意見を聞いた上で、7〜9月期の国内総生産(GDP)などを分析し、12月上旬にも最終判断する方針だ。
 首相は6日の衆院予算委員会で、「経済は生き物だ。引き上げで経済が腰折れしたら、財政再建にマイナスになる」と語り、先入観を持たずに判断する考えを強調した。10%とする場合の国会審議については「引き上げない場合は法改正が必要で国会で審議いただく。引き上げる場合はすでに法定で決まっている」と述べ、不要との考えを示した。