自民・山本幸三氏:消費増税先送りならアベノミクス吹き飛ぶ

2013年9月10日 ブルームバーグ

自民党の山本幸三元経済産業副大臣(党税制調査会幹事)は「デフレ脱却と消費税率引き上げは関係ない」と述べ、安倍晋三首相は予定通り2014年4月からの税率8%への引き上げを早期に決断するよう求めた。先送りすれば外人投資家が日本株や日本国債の売りに走り、株安・債券安・円高を招いてアベノミクスが市場に与えた効果が「吹き飛んでしまう」と警鐘を鳴らした。

9日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。山本氏はデフレ脱却のために日銀が通貨供給量を増やすよう長年主張してきたリフレ派の代表的論客で、安倍首相とは野党時代に金融政策の勉強会を重ねてきた。首相のブレーンである浜田宏一内閣官房参与らはデフレ脱却途上での8%への増税に慎重な発言を繰り返しているが、山本氏がこれに異論を唱えた形だ。

山本氏は「デフレは貨幣現象であり、貨幣を増やせば自動的に脱却する。日銀が一生懸命にやっているのでそれを進めればいい」と増税慎重論をけん制。その上で、「何かショックが出てきそうだったら日銀の追加緩和、それが基本だ。日銀が十分にお金を出しさえすれば経済が悪くなっていくことはない」とも述べた。同氏は8日、首相に電子メールを送り、早期の増税決断を求めたという。

浜田氏は8月27日に開かれた「今後の経済財政動向等についての集中点検会合」に提出した資料で「消費増税は障害のきっかけになり得る」と指摘し、増税の1年延期か、引き上げ幅を縮小するよう提案。本田悦郎内閣官房参与も31日、引き上げ幅縮小を求めていた。

5兆円 

甘利明経済再生相は9月9日、首相は日銀の企業短期経済観測調査(短観)が発表される10月1日に消費増税の是非を決断すると語った。仮に予定通り増税する場合は2兆円超の対策が必要となる可能性も指摘した。

山本氏は消費増税に合わせて実施する対策のための補正予算の規模について「4兆-5兆円くらいはやればいい」と提唱。具体的な対策として低所得者向けの給付金支給や公共事業に加え、税制面での対応を挙げた。財源には12年度決算剰余金や景気回復による税収増などを充てれば新規に国債を発行しなくても十分な補正予算を編成できるとの見方を示した。

山本氏は8月下旬に香港、9月上旬にシンガポールを訪問し、投資家らと意見交換した。同氏は首相が消費増税判断の方向性を明示していないことについて「投資ファンドの人たちは日本は財政再建をちゃんとやる気があるのか、と疑心暗鬼に陥っている。予定通りやらないと構造改革に反すると判断して日本への投資を増やすどころか引き揚げる可能性が高い」と述べた。

仮に増税計画を変更した場合の党内情勢については「自民党の中は政局になる。今度の国会が消費税国会になったら求心力がなくなり、安倍さんは危なくなる」と語った。

首相は10日午後の閣僚懇談会で、今月末をめどに成長戦略を含めた「経済政策パッケージ」を取りまとめるよう指示した。甘利氏によると、首相は消費税を予定通りに引き上げる場合には経済への影響もあるため、十分な対応策が必要になる、とも発言したという。