財政及び金融に関する件(2012.2.29) 財務金融委員会 質問議事録

【財政及び金融に関する件】
答弁者:財務大臣・日本銀行(白川方明総裁)
資料

山本(幸)委員  自由民主党の山本幸三でございます。

 まず最初に、こういう質問の時間をとっていただいて、委員長初め与野党の理事の皆さん方に心から御礼を申し上げたいと思います。

 デフレの問題は私のライフワークともいうべきものだと思っておりまして、私は予算委員会にも属しているんですけれども、その予算委員会の審議を聞いていても、財政再建、年金問題、消費税の問題、円高問題、いろいろありますけれども、最後はデフレ脱却ができるかどうかに帰着するというようにつくづく感じます。

 デフレ脱却について、長年執念を持ってやってきたわけでありますけれども、まだまだ十分ではないということで、ずっと日本銀行総裁ともやりとりをしてまいりましたが、この席でいろいろ間違いを正したと思っているのにもかかわらず、相変わらず間違ったことをいろいろなところで平気で言っているということで、大変残念であるというふうに思っておりまして、その辺をきょうはしっかり詰めていきたいなと思っているところでございます。

 最近は、エルピーダという会社が倒産いたしまして、そのほか、日本の電機産業初めいろいろ、苦境に陥っているわけですね。彼らの話を聞くと、超円高ではとてもやっていけない、韓国の企業と競争なんかとてもできないというようなことをいろいろおっしゃっているわけでありまして、これは、しっかりと我々も、どこが問題なのか、どうしたらいいのかということをたださなければ、国家国民、日本経済の立て直しができないというふうに感じます。そういう意味で、そうした点の議論をしたいと思います。

 安住財務大臣、午前中の予算委員会のおさらいになりますけれども、二月十四日に日本銀行が新しい金融政策のやり方を打ち出したわけでありますが、そのときに安住大臣は、実質上のインフレターゲット政策であるとして歓迎の言葉を述べられましたけれども、そもそもインフレ目標政策というのはどこに意義があるのかということを、もう一度きちっとおさらいしたいと思いますので、よろしくお願いします。

安住国務大臣  先ほどは予算委員会でありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。

 インフレターゲットという言葉にはさまざまな考え方があって、何か一定の決まった定義があるというふうになっているとは思っておりませんが、私なりに判断するところでは、先ほども申し上げましたが、中央銀行が一定の物価上昇率の目標を設定し、その達成を優先する金融政策を行うことということは一つ言えるのではないかと思っております。

 先般、日銀は、先生今御指摘のように、金融政策決定会合において、中長期的な物価安定のめどを日銀として機関決定するとともに、当面、物価上昇率一%を目指して、強力に金融緩和を推進していくという方針をお示しになりました。ここでは、目指す物価上昇率と時間軸を明確にしておりますので、私は、デフレ脱却に向けた積極的な措置として評価をするというコメントを発表しまして、今私が申し上げましたように、目指す物価上昇率と時間軸というものを明確にしておりますので、実質的なインフレターゲットというふうな言葉を使わせていただきました。

山本(幸)委員  目標が出て、そしてある程度の時間軸があることがインフレ目標政策の本質じゃないんですね。

 インフレ目標政策には、おっしゃるように、これだというのはありませんが、エッセンスは共通しているわけでありまして、それは、責任が明確になるということと、政策運営、政策のやり方の透明化が図られる、そのことによって政策の妥当性が判断できるということであります。

 要するに、各国のインフレ目標政策の中のエッセンスというのは、これは誰もが認めているものですけれども、物価の安定というのを客観的な数字であらわす、そしてその上で、その達成に向けた金融政策運営をしっかりとやるんだとコミットする、そのことによって金融政策の透明性が図られ、そして達成責任、説明責任というものが明らかになる、そのことによって金融政策に対する国民の信認が高まる、そういう金融政策運営の枠組みをいうんですね。これは、誰もが認めているインフレ目標政策の本質であります。

 したがって、大臣が説明したように、数値があって、ちょっと時間について言っているからだけじゃだめなんですね。責任を持ってやるということをコミットしているかどうか、それから、本当に時間軸なりあるいはやるべき政策のやり方なりが透明になっていて、妥当性があるというふうに判断できるかどうかなので、そのことは大臣はぜひ認識しておいていただかないと、簡単に数字が出てきて、ちょっと時間みたいなことを言えばインフレ目標政策だと言ってもらったら困るんですね。

 そこで、きょうお配りさせていただいた資料の表紙の裏ですが、ページ一。

 それから見ると、日銀と米国FRBのやり方は極めて違っている。大きく違うわけであります。これは、いろいろな講演資料等から私がつくったわけでありますから、責任は私に属しますが、評価についてもそうです。ただ、学習院の岩田規久男先生にはチェックをお願いしましたので、その先生の評価も雲泥だというふうに理解してもらって結構だと思います。いろいろな講演を読んでつくったので、大変苦労した資料ですから、引用は自由ですけれども、出所だけはきちっと言ってもらいたいと思います。

 そこで、一番大事なことは、責任が明確になっていないんですよ。日銀は、目標ではなく、めどなんです。めどというは何だ。国語辞書を見ると、大体の見当。つまり、責任回避のために、目標じゃなくて、大体の見当と言って逃げている。それに対してアメリカは、はっきりとゴール、目標と。記者会見では、はっきりとターゲットと言っていますよ。

 それから、ちゃんと責任を持ってやるということもバーナンキは言明している。FRBは責任を持って達成するんだ、みずからに責任を課しているんです。日銀総裁なんか全然ない。

 だって、日銀総裁は、デフレ脱却は金融政策だけで実現するとは考えていない、中央銀行がお金を供給するだけで物価が上がるわけではないと繰り返し繰り返し言ってきた。それに対して、FRBあるいはイングランド銀行は、バーナンキやキング総裁は、インフレ率は金融政策で決められるとはっきり言っているんですよ。

 世界じゅうの中央銀行、世界広しといえども、物価をコントロールできないと言っている中央銀行総裁は白川総裁しかいませんよ。なぜそういうことになるのかというのは後からゆっくりやりますが、理論が間違っているんだ、理論が。

 だけれども、大臣、これだけで、責任をとろうとしていない。大問題でしょう。しかも、金融政策だけでデフレ脱却できないというのは、そもそも日銀法二条の物価の安定は自分はできませんと言っているんですよ。こんな無能な総裁、いいんですか。大臣、どう思いますか。

安住国務大臣  先生のおつくりになった資料を今かみしめながら読んでおりますけれども、目標ではなくめど、広辞苑まで紹介をいただきました。

 ただ、私が日銀から聞いているのは、これを英訳すればゴール、オブジェクティブ、ゴール、バーナンキの使っているゴールと一緒であるというお話、説明だったと思いますので、そうした点では、ターゲットという言葉がふさわしいかどうかは別にして、やはり一%というものを目標に金融緩和を一生懸命やっていくということをお示しになられているのではないかと思います。

 先生御指摘のとおり、英国では、私もメキシコでキング総裁にもお会いしましたけれども、日本とは違って、財務大臣にその目標達成についての公開書簡の提出等を義務づけたりしておりますから、それぞれの国によって責任や情報の開示の仕方は違うということは御指摘のとおりでございます。

 日銀についてでございますけれども、やはり大きな権限があって今そうした金融緩和等を行っているわけですから、その裏返しで言えば、当然、それぞれの政策決定や金融緩和策について、総裁を含め日銀として責任をとってやっておられると思いますので、今、白川総裁のいわば適格性について御疑問が先生の方から寄せられておりますが、私は大変よくやっていただいているのではないかと思っております。

山本(幸)委員  ちっともよくやってないじゃないの。

 また、もう一個問題は、めどというのを英語でゴールと訳しているんだね。今度は逆に英語辞書を見ると、ゴールの訳は目的か目標ですよ。それがない。

 これは、白川総裁、二枚舌を使っているんですか。海外ではゴール、日本では責任を伴わないめど。どうですか。

白川参考人  お答えいたします。

 日本銀行は、日本銀行法におきまして、金融政策の使命というのが定められております。物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということが明確に法律にうたわれております。日本銀行は、このことを強く受けとめまして金融政策を展開しております。

 御質問の件でありますけれども、我々自身、当面、一%を目指して金融政策を運営していくということを申し上げておりますけれども、ターゲットという言葉をなぜ使わないのかというお尋ねですと、これは、ターゲットという言葉が時として、これは必ずしもいつもそうだというわけではありませんけれども、しかし、時として、機械的に、一定の物価上昇率を目指して運営していくというふうな意味合いで使われるケースが日本では多いように感じております。

 そういう意味ですと、これはインフレーションターゲティングの国も含めて、実はそういうふうな運営をしておりません。そういう意味で、日本銀行あるいは多くの国が運営しています金融政策のやり方ということを考えた場合に、日本語の語感に一番合う言葉は何だろうかということを考えた結果、私どもは、めどという言葉を使いました。

 めどに対応する一番近い英語は何かということを考えた場合に、その場合には、私どもはゴールという言葉を使いました。もちろん、各国の言葉はそれぞれの文化を反映していますから、全く同じだというわけではありませんけれども、日本語で言うとめど、英語でいくとゴールというふうに考えました。

山本(幸)委員  私は、明らかな二枚舌だと思いますね。

 ゴールを使うのなら、目標と言えばいいじゃないですか。機械的にやるというようなことを考えている人は誰もいませんよ。それはそう説明すればいいんだから。インフレターゲット政策といったって、機械的にやるなんて思っている人は今誰もいませんよ。そういうふうにやりますと言えばいいんですよ。

 では、めどというのをやめて、目標にしなさいよ。どうしてそれを変えないんだ。ゴールといったら、日本語訳は目標しかありませんよ。

白川参考人  インフレーションターゲティングという言葉をめぐって、これは先生がおっしゃっているのも一つの解釈でしょうけれども、しかし、いろいろな人がいろいろな意味合いで使っております。私どもとしては、金融政策の運営という非常に大事なことを説明するときに、できるだけ誤解のないような形で表現をしたいというふうに思いました。

 そういう意味で、日本銀行の行動として、当面、一%を目指して金融政策を運営していくということを述べると同時に、物価の数字をあらわすときの言葉として、一番我々が考えていること、あるいは多くの中央銀行が考えていることを表現するときに、ターゲットという言葉はどうしても語感として合わないなというふうに思って、ただし、私の本意は、言葉に関する論争をするということではなくて、日本銀行を含めて多くの中央銀行が実際に行っています金融政策のやり方というのは、これは非常に近いというふうに感じております。

 繰り返しになりますけれども、私どもとしては、物価の安定ということを強く意識して金融政策をしっかりやっていきたいと思っております。

山本(幸)委員  別にターゲットを使えと言っていないんだよ。ゴールでいいから、ゴールの日本語訳は目標なんだから、日本語で目標と言いなさい。どうしてそれができないんですか。どうしてできないんだ。目標と言えばいいじゃないか。

 それをあなたはめどと言って、めどと言えば、逃げているとしか思えないんですよ。そう思われたくないんだったら目標にしなさいよ。どうですか。

白川参考人  同じようなお答えになって恐縮でございますけれども、日本銀行として、物価安定を目指して政策をやっていくという姿勢には全く変わりはございません。

 不幸にしてこのインフレーションターゲティングという言葉がいろいろな意味合いで使われている、そういう実績、経緯がございます。そういう中で、日本銀行として、誤解をできるだけ与えないような表現は何だろうかということでこの言葉を使いました。しかし、どういう言葉を使っても、日本銀行が行おうとしていることは、当面、一%を目指して強力な金融政策を運営していくということでございます。

山本(幸)委員  全く逃げているとしか思えない。何で目標という言葉ではいけないんですか。それは責任をとりたくないからですよ。

 では、あなた、これを達成できなかったら、これはまた期間とも関係するからあれだけれども、責任を持って一%をやる、できなかったら責任をとるんですね。

白川参考人  いわゆるインフレーションターゲティングを採用している国の中央銀行も、あるいはそうでない国の中央銀行も、金融政策の運営の仕方という点では非常に似通ってきております。先生はもう十分御存じのことだと思いますけれども、四つの点で収れんをしてきているというふうに思っております。

 一つは、先ほど来先生がおっしゃっていますように、物価安定をあらわす何らかの数値を示しているということでございます。第二は、先行きの経済、物価見通しを公表しているということでございます。第三に、これらを用いながら、物価の短期的な変動を機械的に抑えるのではなくて、中長期的に見た物価や経済、金融の安定を重視した金融政策を行っているということであります。それから四番目に、物価について、物価の変動の原因、背景、あるいはそのもとでの金融政策運営を説明していくということでございます。

 日本銀行も、この四点において、ほかの中央銀行と非常に似通っているというふうに思います。

 中央銀行の金融政策運営の責任ということでございますけれども、先ほど申し上げた四つの点をしっかり行いながら、金融政策運営をしっかり説明していくということを通じてその責任を果たしていくというふうに理解をしておりますし、日本銀行も、その点については誠実にその背景を説明し、金融政策の運営についても説明をしていきたいというふうに考えております。

山本(幸)委員  いろいろほかのところの背景説明をするんだけれども、責任をとるかどうかと聞いているんだよ。責任を持って達成しますと言えないじゃないか。だから信用できないんですよ。バーナンキは責任を持って達成すると言っているんだよ。あなたは何でそれが言えないんですか。
白川参考人  お答えいたします。

 日本銀行も、金融政策の使命をしっかり受けとめて、誠実にこれを遂行していくということでございます。

 それで、多くの中央銀行、現実の物価上昇率は必ずしもターゲットどおりではございません。英国のインフレーションターゲティングも、二%から上下一%以上乖離した場合には、その理由をしっかりと大臣に説明していくというたてつけになっております。そういうもとで、例えばイングランド銀行は、この二年近くずっとターゲットの上限からさらにまた上回っているという状況が続いておりますけれども、その背景をしっかり説明しております。

 日本銀行も、物価がなぜこういうふうな水準であるのか、あるいは、そういうもとで金融政策をどう運営していくか、これをしっかり説明していくつもりでございます。そういう形で、誠実に、責任を持って金融政策運営に当たっていきたいというふうに思っております。

山本(幸)委員  説明する説明すると、できないことの説明ばかりやっているだけでしょう。

 イングランド銀行は、今、四・五だよ、目標は二だ。だけれども、去年、消費税を上げたんだから。それから、輸入価格、エネルギー価格が上がっているんだから。きちっと説明できるんですよ。しかし、年末にはちゃんとターゲットにはおさまると言っていますよ。

 そういうことがどうして言えないのか。つまり、キング総裁は、責任を持って自分たちはそのターゲットを達成すると。それは、一々、きちっとやれなんて言っていませんよ、当然ラグがあるんだから。中期的に、一年半か二年だ、そのときにはちゃんとターゲットを責任を持って達成すると言っているんですよ。あなたとは全然違う。

 それが、イングランド銀行は説明しているから、日銀は説明しているからいいんだ。そういうふうに、責任を持ってやります、私にはできるんですと言わないから、市場が信用しないんですよ。だからデフレは直らない。

 では、少し話を進めますが、もう一つ、政策の透明性と妥当性のところで問題が起こってきます。

 まず、時期。時期がはっきりしない。時期がはっきりしないと、また責任もとれない。これが問題。

 アメリカのFRBは、一四年終盤までにはできるよと言っているわけですね。はっきりと年限を区切って言っていますよ。イングランド銀行も、ことしの末までにはと言っています。

 ところが、あなた方は、消費者物価の前年比上昇率一%を目指して、それが見通せるようになるまで。何だ、これは。自分が一%にするんじゃないのか。ほかの人が何かやったことで一%になるかどうか待っていて、それが見通せるようになるまでと。見通せるというのは、どこから見通せるんだ、何カ月先から見通せるのか

 こういう言い方をするから、過去、全部失敗してきたわけでしょう。二〇〇〇年のゼロ金利解除、まだ消費者物価はマイナスだったんだけれども、デフレ懸念払拭が見通せるといってやっちゃったんだよ。二〇〇六年、量的緩和解除、これも、CPIの改定を待てばいいのに、待たないでやって、結局、最後はデフレだった。

 そうすると、過去の日銀の実績を見れば、わからない。これであなたは、はっきり期限を区切ってということが言えるんですか。

 通常、インフレ目標政策というのは中期ということになっていて、それは常識的な理解がみんなあるんだよ。大体、一年半から二年ですよ。それぐらいまでにそこの目標値に大体持っていく。

 これでは、いつまでたってもわからない。なぜそうなるかというと、日銀が自分で勝手に一%という数字を決め、自分で勝手にそういう、見通せるようになるまでというわけのわからない言い方をしているからですよ。

 これは、時期ははっきりするんですか。どうなんです。

白川参考人  お答えします。

 まず最初に、FRBについての言及がございましたので、FRBについて御説明いたしますと、FRBは、二〇一四年の後半という年限、期限を示しておりますけれども、これは、FRBの発表している現在の経済見通しを前提にして、二〇一四年の後半までは極めて低い金利が続くということを言っているわけでございます。いろいろな場でFRBの関係者が発言しておりますように、経済見通しが変われば低金利が続く期間も当然変わるということで、これは常時修正をしていくということを言っております。したがいまして、二〇一四年が固定的に、FRBの見通しと離れて存在するものではございません。

 日本銀行も、そういう意味ではFRBのやり方と非常に近いと思っておりますけれども、経済の見通しを公表しております。そういうもとで、物価の安定、現在の場合でいきますと、当面、一%、これが見通せるようになるまで続けていくという形で政策スタンスを明らかにしております。

 もちろん、どういう政策の表現の仕方がいいのか、これはいろいろな要素がございますけれども、私は、日本銀行のやり方というのは非常に透明性が高いというふうに思っております。

 それから、現在の時間軸政策については、何か受動的に日本銀行が物価の上がる状態を待っているというふうな感じで今御指摘ございました。しかし、そういう政策ではございません。

 これは、経済が、景気がよくなっていっても、しかし、物価上昇率がまだ一%を見通せないというときには、ゼロ金利を続けていく、あるいは資産の買い入れを行っていくということを約束しているものでございます。そういう形を通じて、実は物価上昇率を引き上げていくという要素を内に秘めた、そういう能動的な政策でございます。この点につきましては、ぜひ御理解を賜れればというふうに思っております。

山本(幸)委員  FRBが現在の時点での見通しで、経済の状況が変われば変えていくのは当たり前じゃないですか。それが何でおかしいんですか。それはそうでしょう。現時点での見通しで言うに決まっているじゃないですか。現時点での見通しだけれども、きちっと年限を区切って言っているんですよ。

 ところが、あなた方は、現時点での見通しでいいから、いつまでだと何で言わないんだ。あなた方の見通しを見ると、あなたが退任するまでなりませんよ。そうでしょう。来年度は〇・一、再来年度は〇・五だろう。いつ一%までするんですか、あなたは。

 あなたは責任をずっととらないままでいっちゃうんだよ。これでは、期限がはっきりわからなきゃ、責任の問いようがないんだよ。だから、あなた方は、目標をめどと言って逃げ、そして期限をはっきりしないで、責任をとらなくていいように逃げているんですよ。私にはそうとしか思えない。こんな無責任なことはない。誰も市場は信用しない。

 次に、では、一%の問題ですが、何で一%なのか

 物価の安定というのを数字でやるときに、決まった理論というのは確かにない。ないんだけれども、幾つか考えなきゃいけない要素は必ずあるわけです。

 それは、本当に物価の安定というのは何だろうかというと、経済の国内の均衡の状況が一番よくなる、これはあなた方は家計や企業がいろいろなことを心配しないでできるような状況と言っているんだけれども、私はそれだけじゃ足りないと思う。つまり、国内の均衡といった場合に、私は、雇用それから生産、つまりGDPの成長率、少なくともそれがちゃんと満足できるような状況になるような物価の状態が物価安定と言えるようなものだと思うんですよ。

 それからもう一つは、その数字が余り大きく変動しちゃいけない、これは確かです。それから、やはり主要先進国とそうかけ離れた数字であると困る。そして同時に、あなた方はCPIを使うんだけれども、CPIには当然上方バイアスというのがある。CPIの上方バイアスは、この前の二〇一〇年度の改定でいえば〇・四から〇・八まであった。最高〇・八ある。それから、GDPデフレーターとの関係。

 ちょっとその前に確認しておきますけれども、この一%というのはCPI総合ですね

白川参考人  お答えいたします。

 今回発表いたしました中長期的な物価安定のめど、これは消費者物価指数の総合で表現しております。

 これは、中長期という期間をとって見ますと、総合で見ても、あるいは何らかのコアとなる消費者物価指数で見ても、両者は中長期的には一致するということでございますので、そういう意味では、中長期で両者を区別する必要がない。したがって、総合で表現しております。

 現実に毎月毎月物価動向を判断していくというときには、これは、消費者物価指数の動きの中から基調的な動きを抽出して、その動きをしっかり見ていくということでございます。日本の場合には、物価の先行きを占うその基調的な動きを判断する上でどの指数が一番予測力が高いかということをさまざまに検証しましたところ、除く生鮮、あるいはいわゆる刈り込み平均指数というものの予測力が高いということで、私どもはそうした指数を見ておりますけれども、いずれにせよ、さまざまな物価指数を見ながら、消費者物価のコアとなる、基調となる動きをしっかり判断していくというのが私どもの基本的なスタンスでございます。

山本(幸)委員  それで、CPI総合、あるいは場合によっては、予測を立てているときは生鮮食品を除いたものでやっていますよね。そのGDPデフレーターと総合の間にはかなり差がある。年によって違いますけれども、大体過去十五年間ぐらいでは、GDPデフレーターとCPI総合の間には〇・八%違いがある。つまり、GDPデフレーターは、CPIより大体〇・八%低いんです。ところが、名目経済成長にとっては一番大事なのはGDPデフレーターだ。

 したがって、上方バイアスから見ても最大〇・八、GDPデフレーターから見ても最大〇・八。他国との比較、他国は大体二%。物価が安定したのは九三年ぐらいと言われているんですが、そこから昨年までの各国の平均物価上昇率は、日本を除いては二%ですよ、CPIで

 そういうことから言うと、一%というのは危ない。あなた方も書いているように、のり代というか、すぐデフレに陥る。一%と言っているけれども、本当は〇・二か、GDPデフレーターでいったらずっとゼロでいけというような話ですからね、CPIが一%だったら。それでは成長戦略もあり得ないんですよ、政府は。

 そういうことから考えると、どうしたって一%なんというのは低過ぎる。バーナンキははっきり言っているんです、一%なんというのは最低限だ、下限だと。

 だから、一%は妥当ではない、最低二%にすべきだ。今はデフレといろいろな、債務危機とかがあるから、もうちょっと本当は高い方がいいと私は個人的には思っているけれども、アメリカが二%だったら、各国並みに二%、最低要ると私は思いますね。

 それから、エネルギー価格の上昇とか消費税との関係をきちっと言っておかないと、消費税が上がれば一%なんかすぐ行くんです。そうでしょう。エネルギー価格が上がれば一%はすぐ行きますよ。何もしなくたって行くよ。あなた方はそれを深読みしているのかなという気もしないでもないけれども。

 そういうことについてきちっと言わなきゃいけないし、一%では低過ぎる、二%には最低すべきだと思いますけれども、どうですか。

白川参考人  お答えいたします。

 日本銀行が目指すべき物価上昇率について、今先生から御指摘のあったさまざまな点、これは日本銀行の中でもいろいろな検討を行ってまいりました。

 中長期的な物価安定のめどを規定する要因というのは全部で三つあるというふうに思っております。一つは、先生御指摘の、消費者物価指数の計測の誤差でございます。それから二つ目は、デフレに陥る、そうしたリスクに備えたいわゆるのり代でございます。それから三つ目は、家計や企業などの国民の物価観。この三つの観点を踏まえまして検討した結果でございます。

 このうち、物価観ということと関連する数字を少し申し上げたいわけですけれども、日本の物価上昇率と海外の先進国の物価上昇率を比較しますと、実は、日本が一九九〇年代の後半に緩やかなデフレに陥る前から、日本は海外に比べて低いという状態が続いておりました。

 例えば、バブルの真っ盛りの一九八〇年代の後半、この時期の我が国のCPIの平均はプラス一・三%でございました。この期間のG7の平均はプラスの三・四%でございました。

 こういうことを前提にしますと、物価が安定しているというふうに日本の企業や家計が考えるその物価上昇率は、諸外国のそれに比べて幾分低いというふうに判断されます。金融政策運営に当たりましては、このようにして、現実の日本経済の特徴やそのもとで形成されてきた家計や企業の意識にも配慮する必要があるというふうに思います。

 そうした国民の意識から離れて、一挙に、これまで過去三十年間経験しなかったような物価上昇率を目指そうとした場合には、今度は、家計や企業がかえって大きな不確実性に直面する可能性があるほか、長期金利が上昇するというおそれもあります。

 そうした点も踏まえまして、日本銀行は、中長期的な物価安定のめどについて、消費者物価の前年比上昇率で二%以下のプラスの領域とした上で、当面は一%をめどとするということといたしました。

 ただし、このめどにつきましては、日本の経済の構造がこの後どういうふうに進んでいくのか、そうしたことをしっかり見きわめながら、原則として、ほぼ一年ごとに点検をしていく方針でございます。

 それから、GDPデフレーターについての言及がございました。

 もちろん、GDPデフレーターも、我々は物価の指標の一つとして注意して見ておりますけれども、ただ、諸外国の中央銀行を見ても、GDPデフレーターを金融政策運営上の主たる目標にしているという国はないように思っております。

 いずれにせよ、GDPデフレーターも含めて、これはしっかり見ていきたいと思っております。

 それから最後に、エネルギーあるいは消費税関係で物価が上がった場合のお尋ねがございました。

 先ほど、以前の質問にもお答えいたしましたけれども、日本銀行が物価の情勢を判断する上で大事だと思っていることは、基調的な物価の動きでございます。一時的、特殊的な要因で動いたその物価情勢に日本銀行が機械的に反応して政策を運営する、そうしたことは考えておりません。あくまでも、基調として先々の物価動向がどういうふうになっていくのか、それを中心に据えて判断をしていくということでございます。

山本(幸)委員  消費税とエネルギーについて考慮するということをはっきり言明したことは結構ですが、事実を間違って言っては困るんだ。

 あなたは、日本人の物価観というので、八〇年代の終わりは平均一・三だったと言いますが、これもおかしいんです。要するに、低いときしかとっていないんですよ。あなた方が金融を引き締めてデフレになった九〇年代、それと、プラザ合意で一気に円高不況に陥った八五年から後。

 ところが、あなたは今、バブルのときでも平均一・三だったと言いましたけれども、あなたが言った総合物価指数で見たら、八九年二・三、九〇年三・一、九一年三・三、九二年一・六、九三年一・三ですよ。どこが平均一・三ですか

白川参考人  お答えいたします。

 一九八六年から九〇年の消費者物価の平均、これは一・三%でございます。それから、九一年から九五年の平均、これが一・四%でございます。

山本(幸)委員  つまり、三・一とか三・三とかになっているんだけれども、それを打ち消すために、プラザ合意で円高不況に陥って物すごくデフレになったとき、マイナスじゃないからデフレとも言えないな、〇・一とか〇・六とかになった八六年、八七年、八八年をわざわざ入れて平均するからそうなるんですよ。だけれども、八九年から九三年までは、二%か三%はあったんですよ。

 今度のあなたの記者クラブでの講演を見ると、そのときは消費税の増税分を除いたような数字を出している。ところが、あなた方は、基本にするのは総合物価指数とさっき言ったんでしょう。総合でいえば、全然一%じゃないですよ。だけれども、景気の悪いときを入れれば、一定に割れば、そうなっちゃうんだよ。こんな数字の操作がありますか。全然、日本人は、一%だけだったなんて言えませんよ。景気の悪いところと、それからデフレにあなた方がしたところをずっとやれば、低くなるに決まっているじゃないか。

 だから、こういうものが日本人の物価観だと勝手に決めつけるのはおかしいんです。そうじゃなくて、もっと本来の経済の国内均衡、そういうことから考えなきゃだめなんですよ。

 ちょっと順番が変わって申しわけないんだけれども、一番後ろのページを開いてもらいたいんですが、インフレ率と失業率の間には密接な関係がある。フィリップス曲線といいますけれども、過去三十年間の日本のこの関係を長期的にプロットすると、きれいに出てくるんですね。

 ここでぜひ我々は理解しておかなきゃいけないのは、インフレ率がCPI総合で二%を切ると、失業率はがっと上がってしまうということなんですよ。一%にすれば、失業者がどんどん出てくる、若者は職がなくなる、こういう傾向がはっきりと出ているんです。これからいっても、私は、二%以下なんてあり得ないと思うよ。それを、デフレにしておいて、一%ぐらいをみんなが選んでいるんだなんというのは、とんでもない話だと思いませんか。

 安住大臣、どう思いますか。

安住国務大臣  フィリップス曲線、この先生から示していただいた資料は、一九五八年にフィリップス教授が示したものを参考に、日本の例を当てはめていただいたものだと思います。

 確かに、この統計から見ると、インフレ率と失業率には何らかの関係があるというふうにデータ上の統計は読めると思います。特に、多分、これは名目賃金が上がれば失業率は低くなるというようなことを示しているのではないかと思っております。

山本(幸)委員  いやいや、これはインフレ率と失業率ですから、インフレ率が上がると失業率も下がる。だから、インフレ率が二%、つまりCPI総合が二%を下がると、失業率ががっと上がっちゃうんです。そこはぜひ理解しておいてもらわないと困る。

 それから、政府は一生懸命、成長戦略、成長戦略と言っているんだけれども、成長戦略を実現するためには、GDPデフレーターで最低一%なきゃできませんよ。そうでしょう。GDPデフレーターで一%にするには、CPIで、さっき言ったように〇・八ぐらい平均で差があるんだから、一・八ぐらいないとだめなんだよ。だから、古川さんは二%ぐらいが必要だと言っているわけです。そこのところを、財務大臣、理解しておいてくださいね。そうしないと、また税収も上がりませんよ。

 これは全く妥当性がない、私はそう結論づけざるを得ない。物価観というのは全く説得力がない。低いときだけを意図的に足し合わせて低くするという数字の操作だけをやっている。そういう数字の操作とかはやめて、もっとまともなことを日本銀行はやりなさいよ。

 次に、量の話に行きます。

 量はどうなんだということですが、これは次の物価予想への働きかけとも関係するんだけれども、私は、日本銀行と議論をしていてつくづく理解ができないのは、デフレが何で起こるかというときに、デフレは、人々がデフレ期待を持ったときにデフレが起こってくる。では、そのデフレ期待というのはどうしてつくられるかというと、金融政策のスタンスを見ながらみんなが判断する。この金融政策のスタンスが、物価予想、つまり予想インフレ率に影響を与えるというこの予想に対する効果というものについて、日本銀行は全く認識していない。ここが、私は、日銀の理論が基本的に間違っているところだと思っているんですね。

 白川さんは、ずっと、幾ら準備を供給しても、それが銀行の、日銀の当座預金にたまっているだけで貸し出しに結びつかないから、貸し出しということに結びついてそれが需要を起こすということになるんだから、そうしないと物価は上がらない、お金が事実上出ていって、そしてそれが物との関係で一対一で決まるという議論ばかり展開している、日銀は。

 そうじゃなくて、そういう一対一の関係が出てくるのは後からなんだ。最初に出てくるのは、人々の予想、市場関係者の予想に影響するんですよ。このことを財務大臣にぜひ知っておいてもらわないといかぬと私は思っている。

 ページ二では、もうこれは嫌というほどごらんになったと思いますけれども、主要国のマネタリーベース。マネタリーベースのふやし方を見ながら市場の人は予想をつくっていくんだ。なぜ日本でデフレが続くかといったら、マネタリーベースを全然ふやしていないからですよ。

 そこで、学習院大学の岩田先生がこの関係を統計学的に研究したのがページ三であります。

 何が重要かというと、金融政策で、今、ゼロ金利状況ですから、後は量の話しかないんですね。まあ、金利を下げるということも量を上げるということと同じことなんだけれども、金利がゼロに近づいたから、あとは、事実上、もう量をふやすかふやさないかということしかない。

 マネタリーベースをふやすと明らかに予想インフレ率に影響する、ここが大事なんだ。例えば、上の方のリーマン・ショック前の状況ですけれども、量的緩和政策をとったとき、非常にふえた段階になったときは、実は、この予想インフレ率が〇・八ぐらいまで行ったんですね。明らかに予想インフレ率に量的緩和は効果があった。

 ところが、白川さんは自分の本でも、量的緩和は、金融システムの安定化には効果があったけれども、物価には効果がなかったと結論づけちゃった。それは、実際の物価にはまだ行っていないからね。予想インフレ率だけ上がった。ところが、これを二〇〇六年三月にやめちゃったから、一気に予想インフレ率は下がるわけです

 今度、リーマン・ショックが起こったときに何が起こったかというと、リーマン・ショックが起こって、ほかの国はどんどんマネタリーベースをふやしたんだけれども、日本銀行は、さっきの図でわかるように、何もしなかった。その結果、予想インフレ率ががっと下がっちゃった。下の方の一番左ですが、二〇〇八年九月、マイナスの一・六まで行ったんですよ。あっという間に物すごいデフレ期待になっちゃったんだ。

 ところが、その後、今度上の方に行きますと、東北大震災で、これは大変だというのでお金を一気にふやした。そうすると、あっという間に予想インフレ率は、マイナスだけれども、マイナスの〇・三ぐらいまで上がってきた。これが大事なんだ。

 こういうふうに、予想インフレ率が上がると、それをもとに人々は投資とか消費を決めていくわけですね。そして経済が動き出して、今度、最初は貸し出しなんかふえませんよ、最初は資産として持っている自分の金を使うんだから。貨幣の流通速度が上がるということですけれども、どんどん持っている金をまず使う。そして、そこで足らなくなったときに初めて貸し出しに行くのであって、実際に貸し出しがふえたり、あるいは実際に物価が上がってくるという現実の数字になるのはもっと後なんです。そのことを理解しないと、日銀の金融政策はどうして物価に影響していくのかというのがわからない。

 だから、マネタリーベースをどれだけふやすかということが非常に大事なんだ。海外のバーナンキ初め、みんなそれをよくわかっているんだよ。わかっていないのは日本銀行だけだ。

 これで非常に興味深いのは、ページ四ですが、こういうふうにマネタリーベースをふやして予想インフレ率を上げていくと、一番先に為替レートに影響する。

 簡単のために、アメリカの状況は変わらない、アメリカの実質金利は変わらないとして、日本の名目金利も変わらないとした場合に、万一、マネタリーベースをふやすことによって予想インフレ率が一%上がったらどうなるか。円は十一円円安になるんですよ。だから、今、八十円を九十一円にしようと思ったら、予想インフレ率を一ポイント上げればいいんだよ。予想インフレ率を一ポイント上げるためのマネタリーベースの量はどれだけか。約三十兆円。それが金融政策の波及効果として非常に大事だと私は思う。

 これについて、日銀総裁、どうですか。

白川参考人  お答えいたします。

 最初に、経済主体、企業や家計の抱く予想が重要であるという点については、これは山本先生と全く同じ認識に立っております。

 日本銀行は、せんだって中長期的な物価安定のめどというのを公表いたしましたけれども、そうした日本銀行のしっかりとした姿勢というものが人々の予想インフレ率の方にも影響していくというふうに思っております。

 そう申し上げた上で、先生の、マネタリーベースと予想インフレ率の関係について技術的な意味でのお尋ねがございましたので、少し細かな話になりますけれども、お答えさせていただきます。

 山本議員御指摘のとおり、もしマネタリーベースと予想インフレ率の間に関係があるというふうになりますと、その場合には、基礎となる理論はいわゆる貨幣数量説だというふうに思います。その場合に、貨幣量と物価水準、あるいは貨幣の伸び率とインフレ率を比較しまして、両者に関係があるかどうかを見るのが適切だというふうに思います。

 その際、予想インフレ率を何で捉えるかということもなかなか難しい論点でございます。多分、このページ三の予想インフレ率は、物価連動債から算出したいわゆるブレーク・イーブン・インフレ率で予想インフレ率を計算されたのではないかというふうに推察いたしますけれども、ただ、物価連動債につきましては、日本の場合、流動性が極めて低いために、信頼性が低いというふうに言われています。

 御案内のことだと思いますけれども、二〇〇八年の八月に物価連動債の新規の発行が停止されまして、残高が今大きく減少しております。二〇〇七年度末には八・三兆円だったものが、直近では四・二兆円でございます。国債に占める割合も〇・五%でございまして、アメリカの対応する数字、七・三%に比べますと、非常に低いわけでございます。そうなりますと、物価連動債の金利には物価連動債の流動性が低いことを埋め合わせるためのプレミアムも実はついておりますので、これから計算されます予想インフレ率はその分低くなってまいります。そうした問題点がもともとあったところに、その問題点がより大きくなっているということでございます。

 そういう意味で、将来のインフレ率予想として、物価連動債にかえまして、直接アンケート調査を行ったその予想インフレ率を用いまして、その上でこれと全く同じ計算をしてみますと、両者の間には明確な関係は見られません。

 例えば、二〇〇二年から二〇〇三年にかけて、日本銀行の量的緩和政策によりマネタリーベースの伸びが大幅に増加していた時期は、予想インフレ率はむしろ低下をしておりました。一方、二〇〇六年三月に量的緩和政策を解除し、マネタリーベースが急激に減少した時期は、逆に予想インフレ率は上昇傾向にございました。

 こうした事実からしますと、マネタリーベースが増加すれば直ちに予想インフレ率が高まるという機械的な対応関係は認識できませんし、この点は、実は米国や欧州についても同様でございます。それから、バーナンキ議長とも私はしょっちゅう話をしておりますけれども、マネタリーベースと物価上昇率の間に機械的な関係があるという認識ではないというふうに私自身は認識しております。

 それから、先生のお使いになったマネタリーベースの図表、これはいつも、何度も、この場でもあるいは予算委員会の場でも言及されている図表でございますけれども、このマネタリーベースの数字についても、この数字は多少誤解を与えやすいグラフかなというふうに思います。

 このグラフは二〇〇〇年を出発地点として考えているわけでございますけれども、アメリカの場合、当時は預金準備率が非常に低うございました。したがって、非常に数字の小さい、つまりゼロに近い状況を分母として計算しますと、どうしても倍率は高くなってまいります。加えて、二〇〇八年以降は、リーマン・ショックということで、アメリカの金融システム自体が毀損をする、そういう中で、中央銀行しか実はもうお金を供給するところがないという状況にまで陥ったわけでございます。一方、日本の金融システムは、この間、相対的には安定しておりました。

 したがいまして、量で中央銀行の金融の緩和度をはかるというのは、これは必ずしも適切ではないというふうに考えております。

山本(幸)委員  一々反論したいので、やりたいんですから、余りたくさん言いなさんなよ。覚えられなくなる。

 まず最初に言っておきますが、バーナンキが関係ないとあなたはいつも発言するんだけれども、間違っている。僕は調べたんだよ。バーナンキの発言を全部調べましたよ。それは、バーナンキが議会証言したときに、資産を拡大してマネタリーベースをふやして、それに対して、アメリカ議会の共和党の議員から、そんなことをするとインフレになるじゃないかと言われたときに、それだけふやしてもインフレになる心配はありませんと。そういう意味で、インフレ率とこの拡大というのは関係しているわけではありませんよという釈明のための、インフレになる心配はありません、我々はコントロールできますよ、そういう言い方で使ったところの発言ですよ。

 大体、日本銀行は、この前のバーナンキの発言の誤訳といい、引用するところが間違っているんですよ。それは気をつけてくださいよ。もしあなたが言っていることが本当だったら、持っていらっしゃい、私が英語を見てあげるから。それが一つ。

 それから、ここからがちょっと話のポイントになるんだけれども、あなたは関係ないと言ったね。では、日本銀行が使っている長期予想インフレ率というのは何ですか。

白川参考人  お答えいたします。

 長期の予想インフレ率として何をとるか、これはなかなか難しい問題でございますけれども、我々が見ている指標、幾つか申し上げますと、家計、エコノミスト、それから市場というふうになります。

 まず、家計につきましては、いろいろなところが家計に対して将来の予想物価上昇率について質問をしております。そのアンケートの結果でございます。

 それから、エコノミストの予想でございますけれども、コンセンサスフォーキャスト、これは、エコノミストに対して将来の予想インフレ率を聞くというものでございますけれども、あるいは別途、ESPフォーキャスト調査というものもございます。こうした調査がございます。

 それから、市場でいきますと、QSS債券月次調査というのがございます。あるいは、インプライド・フォワード・レート、実際の長期金利の傾きから予想インフレ率を推測していく方法、それから、山本先生御指摘の物価連動国債、こうしたものを総合的に見ながら予想インフレ率の動向をチェックしております。

山本(幸)委員  物価連動国債で確かにやっているんだけれども、物価連動国債が少ないというのは知っています。しかし、きちっとやはりあなた方の政策に応じて動いているんですよ。しかも、今、日本では、客観的に予想インフレ率を計測するのはこれしかないんだ。あとは、おっしゃったように、日銀短観で家計と企業の予想インフレ率について、DIはあるよ、それを数値までにするというのは非常に難しい。

 だけれども、そのことはページ五で、私は、企業の予想インフレ率差と円・ドルレートを示して、かなり、予想インフレ率差によって円・ドルレートが決まる、その予想インフレ率は日銀の金融政策で決まってくる、これはほとんどきれいに出ていますよ。

 問題は、あなたが使ったコンセンサスフォーキャストというものだ。日本銀行は、経済・物価情勢の展望にしろ、あなた方がつくる資料にしろ、長期インフレ率というのを、このコンセンサスフォーキャストというもので一%ぐらいになっていますよというように、常にあなたは今まで私の質問に対してもそう答えてきた。このコンセンサスフォーキャストというのを、いかにも金科玉条のように使っているんだ。

 このコンセンサスフォーキャストというのは何ですか。

白川参考人  お答えいたします。

 まず、このコンセンサスフォーキャストを、私どもは金科玉条のように使っているということではございません。これは、いろいろな予想インフレ率に関するデータがございます、そうした中の一つとして使っておりまして、決してこれだけを見ているわけではございません。

 それから、コンセンサスフォーキャスト、これは、さまざまなエコノミストの予想を集計して発表する、そうした会社であるというふうに理解しております。ここの会社は、日本に限らず、世界各国の予想インフレ率についても、あるいは成長率についてもその見通しを出しておりまして、そうしたものを私どもも利用しているということでございます。

山本(幸)委員  金科玉条のように使っていないなんて、全部それしか使っていないじゃない。去年の十月に出した経済・物価情勢の展望でも、長期予想インフレ率はコンセンサスフォーキャストだ。あなたの講演のときだって、それしか使っていませんよ。ほかに何を使っているんだよ。

 それで、僕は、このコンセンサスフォーキャストというのは何だ、中身を見たいと日銀に言ったら、何と答えたと思いますか。出せません、お金を払って買ってくださいと言われたんだよ。

 このコンセンサスフォーキャストというのは、アメリカの会社で勝手につくっているフォーキャストですよ。付加価値税上イギリスに登録しているんだけれども、アメリカの会社ですよ。

 アメリカの誰が予想しているんだよ。日本経済をあなた方よりわかるのか、アメリカ人が。国賊だろう、こんなのは。そう思いませんか。

 日本のまともな経済学者、エコノミストたちが集まってやっているESPフォーキャストなんというのがあるけれども、二年以上は出しませんよ、特別なときにちょっと、五年とか出すけれども。

 そんな長期に、五年、六年以上にわたって簡単に予測なんてできないんですよ。それは、あなた方が今まで自分たちでやってきた予測が全部外れているのを見たらわかるじゃないか。それを、アメリカの誰がやっているか、わけもわからない、しかも、一般の国民が知ることもできない。私は、金を払ってとろうとは思わないからね。

 誰も知ることができない、検証可能性がないような数字を使って、長期インフレ率はこうですよ、そんなことをやっていいんですか、あなた。

白川参考人  お答えいたします。

 まず、外国人の予想を使うのは適当ではないんじゃないかという部分でございますけれども、私ども、例えばIMFあるいはOECDの予測も、これは利用しております。多くの場合、もちろん、この予測は、日本人だけではありません、外国人が入っておりますけれども、しかし、外国人が入っているからという理由で、その数字を使ってはいけないということでは必ずしもないというふうに思います。問題は、一つのデータだけに依存して判断してはいけない、それはもう全くそのとおりでございます。

 コンセンサスフォーキャストにつきましては、一つのメリットは、実は、長期の予想インフレ率が出ているということでございます。六年から十年後の予想インフレ率というものを出しております。

 実は、山本先生御指摘の物価連動債でございますけれども、物価連動債も、実際の使い方を見ていますと、FRBもそうでございますけれども、五年先にスタートする予想インフレ率、つまり、五年後から十年後、このゾーンの予想インフレ率をFEDは一番重視しております。そうした方法論で、数字がわかるものとして、実は、このコンセンサスフォーキャストがあるということでございます。

 では、そのコンセンサスフォーキャスト以外の予想数字を使っていないのかということでございますけれども、これは使っております。先ほど、QSS債券月次調査ということを申し上げましたけれども、これは、二年先から十年までの間の平均予想インフレ率を出しております。

 私どもとしては、これ以外にも、先ほど申し上げたような幾つかの指標を使って、予想インフレ率、なかなかつかみがたい数字でございますけれども、しかし、これをしっかりつかまえる努力を今後とも続けていきたいと思っております。

山本(幸)委員  IMFや世銀やOECDが出しているのは、そんな五年、十年先のものを出していますか、インフレ率について。
白川参考人  先ほど申し上げましたのは、外国人が予測したものを使ってはいけないということでは必ずしもないんじゃないかということを申し上げました。

 それから、IMFの予測でございますけれども、これは毎年、例えば今ですと、二〇一二年、二〇一三年、二〇一四年ということで、成長率あるいはインフレ率の予想を出しております。

山本(幸)委員  だから、二年、三年までは出しているけれども、五年以上出しているところなんかありませんよ。

 それから、IMFや世銀やOECDだったら、大体誰が出しているかわかるんだから、エコノミストは誰が出ているか。だけれども、このコンセンサスフォーキャストというのは、誰が出しているか、わけがわからないんだよ。誰が出しているんですか。どんなエコノミストが出しているんだよ。

白川参考人  これは、この会社が集計しているものでございますから、固有名詞として、誰がこの数字を投票しているかということは、もちろんわかりません。

 海外の中央銀行を見ましても、民間のエコノミストの予想を集めて公表しております。例えば、ECBは、たしかプロフェッショナル・エコノミスト・サーベイという名前だと思いますけれども、出しております。そのサーベイに参加しているエコノミストは誰かということを別に必ずしも公表しているわけではございませんけれども、しかし、民間のエコノミストの出している数字、これは、数字として一つの参考にしているということは、日本銀行に限らず、多くの中央銀行が採用している方法だというふうに思っております。

山本(幸)委員  ECBがそんなことを採用したって、それは勝手だよ。だけれども、我々の監視下にある日本銀行が、誰がやっているかわからないものをやってもらっちゃ困るんだよ。

 しかも、アメリカにしろヨーロッパにしろ、物価連動債というのがあって、ちゃんと機能しているんだよ。そこで予想インフレ率というのが客観的にわかるんだよ。だけれども、あなたがいつも使っているコンセンサスフォーキャストなんというのは、わけがわからないんだよ。こんなもので政策決定するんですか。こんなもので自分たちの政策が正しいと言えるんですか。絶対納得できない。検証可能性がないじゃないか。

 これは早くやめなさいよ、これを使うというのは。この経済・物価情勢の展望からも削り、あなたの講演の資料からも全部落としなさいよ。どうですか。

白川参考人  お答えいたします。

 まず、物価連動国債でございますけれども、先ほども申し上げましたとおり、私どもは物価連動国債から得られます予想インフレ率の動き、これも十分に見ております。ただ、物価連動国債は、日本については非常に残高が少ない。そのために、市場の流動性、市場の厚みが非常に薄くなっております。先ほど申し上げましたとおり、日本の場合、〇・五%程度でございます。

 そうしますと、普通の国債金利と物価連動国債の金利の差から計算されます予想インフレ率は、予想インフレ率をあらわしているという部分もございますけれども、しかしそれ以上に、実は、両方の国債の流動性、その流動性の違いの変化、これをまたあらわしているという面が多うございます。したがいまして、海外のように物価連動国債の発行ウエートの多い国と違って、日本では、物価連動国債からの情報からどうしても精度の高い予想インフレ率が得られないという問題があるということでございます。

 それから、コンセンサスフォーキャストでございますけれども、先ほど個人のエコノミストの名前はわからないというふうに申し上げましたけれども、しかし、予想を出している機関の名前、この組織の名前は、これは公表されております。その組織は、日本人を中心とする日本経済の専門家ということでございます。ただし、そのエコノミストの固有名詞はわからないということでございます。

山本(幸)委員  言っている数字なり仮説が信用できるかどうかというのは、検証可能性があるかどうかですよ。あなた方が使っているコンセンサスフォーキャストは検証可能性がないんだ。私は、金を払ってそんなものを見ようとは思いませんよ。一般の国民がどうしてわかるんだよ。そういう検証可能性のないような数字を使っちゃだめなんだ。やめる気はないんですか。

 物価連動債にそういうかなりの制約があるというのは、それは理解しますよ。これから物価連動債、いろいろ考えてやるんでしょうが。だけれども、物価連動債が売れないというのは、デフレが続いているからですよ。

 財務大臣、物価連動債、ちゃんと出して、出せるような状況もつくらなきゃだめなんだけれども、何か検討しているように言っていましたけれども、その点は何かありますか。

安住国務大臣  この連動債は、今、先生、大体四兆弱ぐらいだと思います。それで、市場での取引が本当に収縮をしているというのはデフレがあるからだという御指摘、一つ有力かもしれません。ただ、結果的には、リーマン・ショック以降、これが統計として、先生も書いてありますけれども、ブレーク・イーブン・インフレ率がうまく指標として使えるかどうかということに対する総裁と先生の考え方が少し違うのかなと思っておりました。

 それで、私、今お話を聞かせていただいて思うんですけれども、コンセンサスフォーキャストだけに限らず、インフレ予想の指標というものは、多分、それぞれの何か特性があるのかなと思って今聞いておりましたので、それらを総合的に勘案してそのインフレ率というものを出してもらう。

 このことは、先ほど先生ともこの委員会の外でちょっとお話をさせていただきましたが、私も、ベースからマネーサプライにどういうふうに連動して、そしてそれが日本の経済社会を興していくかというのは非常に重要なテーマだということは十分認識しておりますので、言ってみれば、それを行う政策の正確な指標というものは、いずれ、日銀にしても、しっかりといろいろなものをとりながらやっていただきたいと思っております。

山本(幸)委員  日銀総裁に戻りますが、私は、岩田さんが計算したように、制約はあるけれども、物価連動債で見れば、マネタリーベースと予想インフレ率の間に密接に関係がある。それから、予想インフレ率と円・ドルレート、これは株についても言えるんだけれども、密接な関係がある。その相関係数は、〇・九とか〇・八五とか、非常に高いです。明らかに統計的に有意ですよ。だから、これほどの説明力を持ったものはない。

 しかし、制約があるんだったら、その制約をなくすように、財務大臣、頑張ってもらわないかぬ。

 だけれども、あなたが言っているコンセンサスフォーキャストというのは全く検証可能性のない数字であって、それでもって金融政策の判断をしてもらっては困るし、それでもって我々に説明してもらっては困るんだよ。

 撤回するんですか、しないんですか。

白川参考人  繰り返しになりますけれども、私どもとして、予想インフレ率は、これはさまざまなデータを集めて判断をしているということでございまして、決してコンセンサスフォーキャストだけを使っているわけではございません。

 コンセンサスフォーキャストにつきましては、この調査の対象になっている先、これは全部、組織の名前は公表をされております。多くは、先ほど申し上げましたとおり、日本の経済を対象に分析、予測を行っている機関でございます。

 検証可能性がないということでございましたけれども、しかし、例えば、私どもが使っています短観でございますけれども、これは全国一万社の企業に対してアンケートを行っているものでございます。そうした一万社から出てくるその数字を我々なりにいろいろ解釈しているわけでございますけれども、しかし、個々の会社につきまして我々自身が一つ一つ検証をしていくということは、これは必ずしもできませんし、それから多くの国民ができるものではございません。

 そういう意味で、コンセンサスフォーキャスト同様に短観も我々は使っておりますけれども、この短観についても、検証可能性があるのかどうかといいますと、これは、先生のおっしゃっている意味では検証可能性がないということになるのかもしませんけれども、しかし、これはこれで一つのやはり大事なデータだというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、このフォーキャストだけを使うということではございませんし、このフォーキャストだけは絶対に使わないということは、これはございません。

山本(幸)委員  短観の話はいいんだよ。短観というのは、ある程度わかるんだから、我々だって。あなた方がどこの企業に尋ねているかわかりますよ。それはいい。だけれども、短観だけでこんな予想インフレ率はわからないんだから、DIしかないんだから。

 だけれども、あなた方が堂々と中長期的な予想物価上昇率として使っているのは、このコンセンサスフォーキャストしかありませんよ。ほかにあるんだったら持っていらっしゃいよ。ほかにあるんだったら、この展望の報告書に書きなさいよ。これに載っているのはコンセンサスフォーキャストしかないですよ。そうじゃありませんか。

 しかし、あなたは組織の名前を出していると言うけれども、今度出してくださいよ。組織の名前なんか、私が聞いたら、何にもわからない。金を払って聞いてくれと。何にもないよ、そんなもの、ホームページで調べたって。自分たちだけわかっていて、それで納得しろと言うんですか。だめだ。

 日本のエコノミストだって、そんな長期なものはできないと言っているんだ。それは、外人が、日本人が何人かいるかもしれぬけれども、外国の会社が、私から言わせると、適当にやっているんだよ。どういうモデルを使ってやるかもまるでわからないんだよ。そんなものを使って、予想インフレ率はこうですよと堂々と言うのはやめなさいと言っているんですよ。

 やめないんですか、あなた。

白川参考人  遠い先の予想インフレ率を予測することが難しいというのは、先生御指摘のとおりであります。しかし、遠い先の予想インフレ率は、確かに難しいわけですけれども、しかし、そうした情報も大事であるということも、これはほぼコンセンサスになっております。

 物価連動債につきましても、FRBが使っているのは主として五年から十年先、この予想インフレ率を見ております。もし、物価連動国債について、情報をここからとることが大事だというときには、実は、この五年から十年というかなり長い先についてのマーケットの参加者の予想を実はとろうとしているわけでございます。難しい作業ではございますけれども、しかし、これは大事だというふうに思います。

 その上で、どの機関の予想数字をとるかということでございますけれども、同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、このコンセンサスフォーキャストで対象になっている調査対象の機関、これは手元にございますけれども、例えば、日本でいきますと、みずほ証券であるとか、みずほの研究所であるとか、あるいは三菱東京UFJであるとかというふうな名前が出ておりますけれども、こうした先の予測だけは決して使わないということは、これはやはりバランスを欠いていると思います。こうした先の予測も含めて、しかし、中長期の予想インフレ率についてしっかり捉えていく努力をしていく必要があるというふうに思います。

山本(幸)委員  コンセンサスフォーキャストという外国の会社が出している結果だけを使うのは到底許しがたい。しかし、それを撤回しようとしない。何だ、この日銀総裁は。

 では、あなたが、そういう組織があるというなら、全部私のところに持っていらっしゃいよ。そんなものは出しませんでしたよ、あなたのところは。金で買ってくださいと言っただけだよ。

 日本銀行の金融政策が、外国の一予測会社、私から見れば日本のことなんてほとんどわかっているとは思えない、それが、日本のエコノミストでさえ、日本のシンクタンクでさえやらない五年から十年の予測をやって、それを使う。その感覚が信じられない。これはまたいつかぎりぎりやりますから、少なくとも、あなたが持っている資料を持っていらっしゃい。

 それから、まだあと一時間くらい欲しいんだけれども、もう一つ大問題は、あなたはしきりに、この最初のところに関係するんだけれども、金融政策ではデフレは脱却できない、お金を出しただけではインフレ率に影響を与えるかどうかわからないと何回も言っているね。そんなことを言っている中央銀行総裁はあなただけだけれども、そのときの言いわけは、成長力が高まらなきゃだめだと。それで、ぎりぎり詰めていくと、成長力とは生産性の向上ですと言うんだ。あるいは、生産年齢人口が減っているから将来的な需要がふえないと言う。それを何度も言って、幾ら私が間違っていると言っても直さないから、もう論より証拠だから、証拠を持ってきた。ページ七。

 あなたの言っていることが正しければ、生産性が低いとデフレになり、生産性が高いとインフレになるということがなきゃだめだ。だって、生産性を高めなきゃデフレは脱却できないとずっと言っているんだから。こんなものは、数字を見れば間違っていることがすぐわかるじゃないか。

 日本よりも生産性の低い国は、OECDで十カ国ありますよ。全部日本よりインフレ率が高いですよ。もちろん、生産性の高いところは高い。関係ないんだよ。むしろ、生産性が高まるというのは、潜在成長率を上げるという、供給力をふやすということだから、デフレ要因ですよ。そのことは、バーナンキも、彼の記者会見の中で言っている。生産性が高くなるとユニット・レーバー・コストが下がる、それがデフレ要因だと言っていますよ。

 生産性が低いから、生産性が高くなればデフレがなくなってインフレになりますなんという奇妙な経済理論を言っているのはあなただけだけれども、どうしてなんだ。それから、生産年齢人口とインフレ、デフレ、実は関係ありませんよ。この証拠を示しているのに、何で繰り返しあなたは言うんだ。

白川参考人  お答えいたします。

 確かに、一般論として、生産性上昇率の低下や生産年齢人口の減少が慢性的な需要不足やデフレ圧力を招くという単純な議論は成り立ちませんし、これまでも、私もそのようなことを申し上げてきたつもりはございません。

 ただし、我が国の状況に即して見てみますと、一九九〇年代以降、バブルが崩壊し、急速な高齢化とグローバリゼーションなど日本経済を取り巻く環境が大きく変化するもとで、経済構造の適応がおくれた結果、趨勢的な成長率の低下が生じたというふうに認識しております。こうした構造的な低成長のもとで、家計や企業の成長期待、ひいては支出意欲が抑制され、それが慢性的な需要不足の基本的な背景となっているというふうに考えられます。

 今後、高齢化がさらに進行し、働く人の数が減少する中で、人々の成長期待を高め、慢性的なデフレ圧力を払拭していくためには、これは、就業者一人当たりが生み出す付加価値、すなわち生産性を高めることが不可欠であります。

 この点、生産性の上昇といいますと、供給力の拡大という意味に聞こえるかもしれませんけれども、私が強調したいのは、一人当たりが生み出す付加価値の増大により所得が増加し、人々に自信が芽生え、成長期待の上昇、ひいては需要の拡大につながっていく、そういう動態的なメカニズムであります。そうしたメカニズムを日本経済に根づかせることが、慢性的な需要不足を解消する最大のポイントであるというふうに考えております。

 そのためには、民間企業による内外需要を取り込むための努力、政府による規制緩和等を通じた環境整備、さらには金融機関によるリスクマネーの供給など、さまざまな取り組みが重要であります。日本銀行として、金融政策の果たす役割、これはしっかりあるというふうに認識しております。

 日本銀行は、当面、消費者物価の前年比上昇率一%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進するとともに、成長基盤の強化の支援に取り組むことを通じまして、我が国の経済がデフレから脱却することに貢献していきたいというふうに強く思っております。

山本(幸)委員  何を言っているか、わけがわからない。生産性の上昇とインフレ率は関係ないというのは認めたんですね。では、これからそんなことは、講演なんかしなさんなよ。生産年齢人口は関係ない。

 それから、ちょっと時間がなくなってきたので、大事なことを指摘しておきますが、日本銀行は二月十四日に、新しい金融政策、一%、目標をめどと言って責任逃れをしながら、一応は数字は出した、低いけれども。そこで、円が少し安くなり、株が少し上がっているんですが、だけれども、どんどんいかない。なぜか。日銀はお金の量を減らしているんですよ。

 きのうまでの、二月二十八日までの平均でマネタリーベースの伸び率を見ると、三カ月前の比、つまり対前期比と見てマイナス一六・七だ。減らしている。言っていることとやっていることが違うんですよ、日本銀行は。

 それは、例えば、買い取り。基金で買い増すということでふやすというんだけれども、実は、ほかのところでは減らしているんだよ。日銀は、去年の四月から十二月まで、日銀貸し出しを五・九兆円減らしました。短期国債、三・一兆円減らしましたよ。つまり、やるやると言いながら、実際はやっていないんだ。

 つまり、あなた方が言っていることは、量について、グロスの話をするけれども、償還されたものがどんどんあるということを知りながら、そういうことを言っているんだよ。ネットで伸びなきゃ意味がないんだ。そこがFRBと根本的に違う

 市場参加者は、このあなた方のやっていることを見て、言っているからちょこっと期待はしたけれども、でも、実際はマネタリーベースをふやしていない、減らしているじゃないかと。そうすると、インフレ期待がまた落ちるんですよ。だから、これから本当にデフレ脱却をやろうとするならば、ネットでどんどんふやしていかなきゃいけないんだよ。

 ページ八ですが、あなた方がよく説明するマネタリーベース対名目GDP比率、これは問題だというのは、二つの問題がある。一つは、GDPが全然日本ではふえていないということ。だから、こんな比率でやるのは意味がない。

 それからもう一つは、もともと日本のマネタリーベースというのは大きいんですね。それは、日本人は現金が好きだから。アメリカ人は現金なんか使わない。私はアメリカに住んでいたけれども、ほとんど小切手ですよ。だから、マネタリーベースは、もともと日本人は大きいんですよ、現金が好きだから。現金を持って回るのが平気だから、日本では安全だから。ほかの国はそうじゃないんだよ。

 それからもう一つは、予想インフレ率に影響を与えるという理論がわかっていないから、せっかくいきかけても、すぐやめちゃうんだよ。やめて上げて、またやめて上げてだから、全然きかない。上げたら、予想インフレ率がずっと、一%か二%、まあ二%が私はいいと思うんだけれども、そこに安定していくことが確実視されるまでは、それをやらないといけないんだよ。

 時間がないので、最後に、何でマネタリーベースをちゃんとネットでふやしていかないのか。言っていることとやることが違うじゃないか。あなたも言うだけ番長ですか。ネットでちゃんとふやすようにするんですか。最後にそれだけ聞きます。

海江田委員長  時間が過ぎておりますので、手短にお願いします。
白川参考人  私どもは、かつての量的緩和政策時代と異なりまして、現在、当座預金というものにそのターゲットを置いて金融政策を運営するということは行っておりません。日本銀行は、市場から国債あるいはリスク性の資産を買い入れることを通じまして、長目の金利あるいはリスクプレミアムに働きかけるということを行っております。そのことを通じて強力な金融緩和を行っているということでございます。そうした政策運営の考え方、やり方というのはFRBと全く同じでございます。
山本(幸)委員  金利について働きかけるというのは全く予想インフレ率に影響しない。それはFRBのバーナンキがやっていることと全く違います。

 しかし、時間が来たので、終わります。委員長初め皆さん方、ありがとうございました。

海江田委員長  以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。