財政及び金融に関する件(円高問題等)(2011.8.3) 財務金融委員会経済産業委員会連合審査会 質問議事録

財務金融委員会経済産業委員会連合審査会 質問議事録
(平成23年8月3日 )

議 題:財政及び金融に関する件(円高問題等)
答弁者:財務大臣・経済産業大臣・日本銀行(白川方明総裁)


参考資料

山本(幸)委員  自由民主党の山本幸三でございます。
 きょうは財務金融委員会と経済産業委員会の連合審査会を開くことができまして、大変うれしく思っております。関係者の皆様方の御労苦に、心から感謝を申し上げたいと思います。
 早速、本題に入りたいと思います。
 今、超円高が進んで、みんな悲鳴を上げている。私は、何で今ごろ悲鳴を上げるんだと。今の円高は、円高になるべくしてなっているんですよ。そのことをきょう申し上げて、政府並びに日本銀行の対応をただしたいというふうに思います。
 このことを理解するためには、為替レートというのはどういうふうにして決まるのかということを一応整理しておかなきゃいけない。これは、大臣との間では何度もやりとりをしましたので、もう大臣は十分おわかりだと思いますけれども、ちょっと、きょうはお三方の見解も含めて聞きたいと思います。
 為替レートというのは、一緒くたにして議論をしているとわからなくなる。短期の要因と、それから中期、基本的にこれが一番大きいんだけれども、中期の要因と、それから長期の要因と、三つに分けて考えないと、為替レートの動きというのはよくわかりません。
 それぞれについて、どういう要因で決まるのかということについて、財務大臣と経済産業大臣と日本銀行総裁に、それぞれお伺いしたいと思います。
野田国務大臣  短期と中期と長期を分けることは一般的には難しいなと思っていましたけれども、財務金融委員会の山本ゼミナールを受講した記憶によりますと、短期は、ファンダメンタルズが変わるいとまもないぐらいの短い期間のレートの動き。たしか中期は、マクロ経済変数、ファンダメンタルズが変わるという中で完全雇用は達していない中でのレートの動き。長期は、これは多分五年以上というお話だったと思いますけれども、マクロ経済政策、いろいろな取り組みをしながら、ファンダメンタルズが変わって、一方で完全雇用も達しているという状況での動きという類型をされていたというふうに記憶をしております。そういう、大変勉強をさせていただきました。
海江田国務大臣  私も久しぶりに山本委員とお目にかかります。
 短期の円高ということでいえば、やはり一番直近では、アメリカの財政事情の問題、それからヨーロッパのギリシャ等を初めとした財政の問題ということがあろうかと思います。
 それから、中期は、やはり金利差ということも考えなければいけないわけでございまして、特に米国の金利との金利差ということで申し上げますと、やはりその金利差が詰まってくるということによる円高もあろうかと思います。
 それから、長期は、これもいろいろな構造がございますけれども、先ほど委員の、質問者のお話の中にもございましたけれども、やはり経常収支の黒字ということがあれば、これは当然のことながら、貿易で得た、例えばドルを円にかえるという動きもございますから、こうした、今思いつく限りでございますが、短期、中期、長期、それぞれの理由があろうかと思います。
白川参考人  お答えいたします。
 為替レートの決まり方を考えていく上で、短期それから中期、長期というふうに、時間の長さを明確に意識して考えていくというアプローチの仕方というのは、これは非常に大事だというふうに思っておりまして、山本先生と同じ認識でございます。
 為替レートがどうやって決まるのかについて、これまで学者はいろいろな形で議論をしてきておりますけれども、しかし、為替レートの決定に関するいろいろなサーベイ論文といいますか、既往の研究成果を鳥瞰したそういう論文を見てみましても、あるいは教科書を見てみても、これで為替レートがすべて説明できるという理論は、残念ながらできていないという感じがいたします。
 ただ、そう申し上げた上で、大きな傾向としてどういうことが言えるのかというのが先生の御質問だというふうに思います。
 時間が長くなればなるほど、とりあえず長期という世界では、何らかの形で各国の経済のファンダメンタルズを反映して為替レートが決まってくる、そういうタイムスパンを長期というふうに考えているということだと思います。そのファンダメンタルズについて、ある人は経常収支を重視したり、ある人は内外の物価の動向を重視しますけれども、いずれにせよ、ファンダメンタルズ、経済の実態から離れて、長期では為替レートは動かない、為替レートは経済の実態を反映する方向に収れんしていく傾向を持っているというのが長期だろうと思います。
 一方、その対極にあります短期でありますけれども、これは、もちろんそうしたファンダメンタルズを遠くで意識はいたしますけれども、日々の為替取引は、これは取引のフローであります。したがって、時として相場観が一方方向に傾いて、相場がファンダメンタルズから乖離するということが起こり得るわけであります。
 取引の流れということを考えた場合に、一つは輸出入に伴う経常取引の取引でございますけれども、現在の為替市場では、それ以上に、資本取引、あるいはオフバランスの、デリバティブの取引も含めて、為替のリスクを移転する取引、この規模が非常に大きくなっているということでございます。
 そうした短期と長期をつなぐ間に中期というのがあるわけでありますけれども、この中期は、経済の実態、あるいは政策の動向、こうしたものを反映して決まってくるというのが私の理解であります。
 ただ、いずれにしても、冒頭申し上げましたとおり、為替レートについて決定的な理論があるわけではありませんから、私どもとしてはマーケットの状況を丹念に見ていくということを心がけていきたいというふうに思っております。
山本(幸)委員  野田財務大臣は、短期、中期、長期の定義をしただけですよね。海江田大臣からは、ある程度、その要因についての話がありました。白川日銀総裁、すべてを説明できる理論はない。まあ、それはそうでしょう。だけれども、かなりの程度説明できる理論というのは、ある程度確立しているわけですよ。教科書にも書いていますよ。同じ先生に習ったとは思えない答弁だ。
 答えだけ申し上げますと、短期は、要するにフローじゃないんです、ストック。フローが変わる時間がないんだから。そうすると、ストックの動きについて人々がどう予想するかによって決まるんですよ。株価と一緒だ。だから、何らかの事件が起こって、それに対して為替市場の人々が反応する、その予想、為替市場の人々が期待を持ってどのような行動をとるかということで決まるんですよ。
 日本の対外純資産というのはプラスで二百五十一兆円ぐらいあるんですから、常にそれだけの投機が起こっている。それをバランスさせなきゃいけない。日本の市場参加者は対外資産を、外貨建ての資産をどう買おうとするかという行動をしている。それから、海外のいろいろな機関投資家、中央銀行を含めて、日本からの負債をどうしようかとしている。
 ある事件が起こったときに、日本の市場関係者は対外純資産についてシュリンクする。リスクをとりたくない、これはちょっと危ないと思うような事象が起きたとき。あるいは、海外の人が日本の負債をとりたくない。これが起こったときに円高になるんですよ。

 だから、短期というのは株価と同じように資産、アセットとしての動きを考えなきゃいかぬし、それに影響を与えるのは、ある事象に基づいて人々がどういう期待感の変化をもたらすかによって決まるんですよ。これはなかなかコントロールできない。したがって、それに対しては対応はなかなか難しい。介入が考えられるけれども、それについては後ほど申し上げますが、さっき今井さんが非常にいい指摘をされました。そういう介入の効果がどうなるかということと影響する。
 それから、中期が一番大事なので一番最後に言いますが、長期というのは、かなり長い期間の趨勢的な経済の変数の動きなんですね。
 これは、物価、デフレであるかインフレであるかが続いているかどうか、あるいは、一番関係するのは交易条件なんですが、交易条件がどういうふうに変化していくか。それはすなわち、企業の生産性がどういうふうに上がってくるか、日本の経済の実質面での成長率がどうなるかによって決まってくる。
 結論から言えば、交易条件が悪くなればその国の通貨は安くなりますよ。逆に、よくなると強くなる。したがって、輸出産業の生産性が高いというのは交易条件が悪くなる一つの要因だから、これは円安の効果になるんですよ。それから、中国みたいに成長率が非常に高い国が周辺にあると、交易条件が悪化して日本の円は弱くなる。
 さっき経常収支の話がありましたが、経常収支の話は、まさに資本取引があって非常に難しい話があって、これはトランスファー理論というのが行われていて、そう簡単じゃないんですね。結論から言えば、自国と他国の輸入弾力性が、足した総和がマイナスだったら、むしろ皆さん方の常識と違うことが起こる。つまり経常収支の黒字国は円安になる。長期的にはそういうことが起こってくるということが言われています。これは長い話だから、そう簡単にいかない。
 問題は中期。中期はまさに経済政策によって決まるんです。
 中期理論の基本は、私は何度も野田財務大臣に申し上げましたけれども、今日の中期理論でどの教科書も採用している理論というのは、マンデル・フレミング理論ですよ。
 マンデルという人とフレミングというノーベル経済学賞をとった学者が言っている理論でありまして、簡単に言えば、変動相場制のもとでは、財政政策を使うと、金利に上昇プレッシャーがかかって、金が入ってきて、円高になって、効果がない。逆に、金融緩和政策をとると、金利が下がって、それから円安になって、二重に効果があるという理論であります。つまり金融政策が、為替レートを強くするか弱くするかに、根本的に大きな影響を与えるわけですよ。
 そこで、お配りした資料をちょっと見ていただきたいんです。
 さっきの今井さんの話とほぼ適合するんですが、今井さんは二〇〇八年からの短期のところをとって議論していましたが、要するに、過去十年を振り返って、日本銀行が何をしてきたかを見れば一目瞭然なんですよ。日本銀行は何もしていないんだ。
 二〇〇〇年のマネタリーベースを一〇〇とした場合に、今日、この三月の震災があったからちょっとマネタリーベースをふやしたけれども、あれがなかったらほとんどふやさないでいっているよ。それでも一〇〇が一五〇になっただけだ。それに比べて、中国は二〇〇〇年から今日に至るまでにマネタリーベースを約六百二十倍ぐらいに、一〇〇を六二〇にした。アメリカは四五〇ぐらいだ。そして、イギリスと韓国が大体二八〇ぐらい。ユーロ圏が二五〇ぐらい。
 これを見れば一目瞭然なんですよ。為替レートというのは各国の通貨の相対評価なんだから、円が高くなるに決まっているじゃないですか。
 それを日本銀行は、白川総裁は、我々は潤沢に資金を供給しています、その証拠は名目GDPに対する比率が一番高いですと、ばかなことを言っているけれども、名目GDPというのは、日本は過去二十年間、全然変わっていないんだから。ほかの国は、アメリカは二・五倍、中国は七倍になりましたよ。順調に名目成長率が伸びていれば、そんなことにならないんだ。だから、そんな説明は私にはきかないんだ。ごまかすな。
 何にもやっていないんですよ、日本銀行は、お金をふやしているって。だから、円高になるんですよ。これを転換しない限り、円高はどんどん続きますよ。
 だって、これから復興のための財政支出がどんどん出ていくわけだ。もう出だした。財政支出を拡大すれば為替レートは円高になるというマンデル・フレミング理論どおりに動いているんですよ。そうでしょう。それをひっくり返すためには、よっぽど思い切った金融緩和、マネタリーベースを伸ばさない限り、できませんよ。これをやる覚悟があるかどうかが今問われているんですよ。
 さっき言ったように、こういう状況になったときに円高傾向を円安傾向に変えるというのは大変なことなんだ。介入も、ちょこっと介入したってききませんよ。三月のときがそうだったように、すぐ終わる。それから、日銀があした、あさって、ちょこっと、また言い逃れみたいに少し緩和するかもしれないけれども、そんなことじゃきかないんだ。一九九五年、さっき今井さんが言いましたね、あれぐらいの覚悟を持ってやらなきゃだめですよ。
 この点について、財務大臣、経産大臣、どう思いますか。

野田国務大臣  短期的な対応については、今できることをしっかりとやっていくことが大事だというふうに思います。その意味で、マーケットを注視しています。
 ただし、中期にかかわることは、委員の御指摘のとおり、さまざまなやるべきことをやらなければいけないと思いますが、マンデル・フレミング理論、以前も御講義をいただきました。そういう有力な説があるということも、まさにレートには金融政策が一番影響があるというその理論もお示しをいただきました。そのときに日銀総裁は、たしか、さまざまな学説がある中で、その中で現実的な対応をするというお答えがございました。
 そのやりとりは大変興味深く拝見をさせていただきましたけれども、今、私が短期でできること、そして中期で政府全体で取り組むこと、これは政府全体で心を合わせて対応していきたいというふうに思います。
海江田国務大臣  私が先ほど中期は金利差だということを申し上げたのは、山本委員の考え方に近いわけでございます。言い方が若干違いますけれども、同じようなことを考えているということでございます。
山本(幸)委員  海江田大臣がおっしゃった金利差というのは重要なんですね。金利差は、さっき縮んだと言いましたけれども、実は日本の方が高いんですよ、実質金利で見れば。日本はデフレなんだから、デフレのところを計算すれば、日本の方が実質金利は高いですよ。これは予算委員会で白川さんに、私が証拠を示して認めさせたから、文句を言わないと思いますが。
 野田大臣、そんな、できることはやりますだなんて言っているようでは変わりませんよ。溝口介入に負けないぐらいの介入をやるぐらいの覚悟はないんですか、あなたは。どうですか。
野田国務大臣  いわゆる二〇〇三年の溝口介入は、持続的、長期にわたり、そして多額のお金を使った介入をしたという事実は、よく勉強をさせていただいております。
山本(幸)委員  勉強するだけじゃだめなんだ、やらなきゃ。しっかりやってくださいよ。まあ、やるという覚悟を示したんだというふうに理解しておきますがね。
 この資料の一ページがすべてを示していて、日本銀行が過去十年間、何もしていない。唯一、少しふえたのは、福井さんがやった量的緩和のときだ。それから三月十一日以降にちょこっとだ。
 白川さんは、量的緩和については、福井さんがやるときも一番反対した人だと聞いているんですが、この結果、日本は、経済は停滞、株は安くなっちゃった。そして、最後のページは、デフレが続いている。
 このデフレの数字を見ると、日銀は実に見事にデフレでコントロールしているんだ。つまり、コアコアCPIはマイナス〇・五、コアでまあゼロ。
 あなたはそういう考えで金融政策をやっているんですか。
白川参考人  たくさんの問題意識、御質問をいただきましたので、短い時間で全部にお答えするというのはなかなか難しいような感じがいたしますけれども。
 まず、日本銀行としては、現在のこのデフレの状態、これからできるだけ早く脱却し、物価安定のもとでの持続的な経済成長の経路に復帰することが極めて重要な課題だというふうに認識しております。そうした強い認識のもとに、先ほど申し上げました包括緩和を中心として、強力な金融緩和を推進しております。
 それで、先生の方から、多少、理論的な整理を踏まえて、日本銀行の政策に対して御批判がありましたので、少しお答えさせていただきます。
 私自身は、先生と同じように、さまざまな理論、これは非常に大事にしております。しかし同時に、私自身は実務家、政策当局者でありますから、理論の不完全な現状において、特定の理論だけに依拠して政策を運営していくというのは、国民の多くの方から見て、やはり不安になってくるというふうに思います。私自身は、理論に対してはオープンで、しかし、現実の経済、金融をしっかり見て、政策を、日本銀行の使命をしっかり認識して、遂行したいと思っています。
 先生のお配りになったマネタリーベースの図表でございますけれども、これは、こういうグラフで比較をするときにいつも起こる問題ではもちろんございますけれども、一つは、どの時点を出発点にとるかということで、実は随分イメージが変わってまいります。
 日本は、バブル崩壊後、現在先進国が経験しているような問題を真っ先に経験し、その結果、日本銀行は、一九九〇年代後半から、実は日本銀行のバランスシートを大きく拡張し、拡張した姿の中で若干の変動はございますけれども、それを現在もキープしているということで、最近時点のみに焦点を当てた場合には、なかなか日本銀行の積極さがうまくグラフに浮かび上がってこないということが一点。
 それからもう一つは、この先生のグラフは、これはマネタリーベースの実額でございます。これを、出発点を一〇〇にして計算していますから、仮に、名目GDPとの比較でもって、マネタリーベースが少ない場合でも、ゼロに近い数字が上がった場合にはそれが一挙に大きな倍率になる、これはもう皆さんがふだん、日常経験されていることでございます。
 したがいまして、やはり、マネーというものが、中央銀行の供給するマネーがどの程度経済を刺激する効果があるのかということは、やはり、GDPとの比較でもって、その比率がどれぐらい変化していったのか、それから、現在どういう水準を維持しているのかということをあわせ考える必要があると思います。
 こうした水準で見た場合に、累積的な対GDP比でのマネーの供給の比率の上昇幅というのは、日本銀行が一番大きいし、それからその水準も日本銀行が一番高いということでございます。
 これはマネタリーベースに関する事実関係でございますけれども、一方、マネタリーベースを先生が御指摘のようにふやした場合に、為替市場との間で関係があるのかということでございます。
 もちろん、為替レートはさまざまな要因で変動しますから、あるときには両者が相関しているように見えるし、あるときは全く逆の動きを示すことがあります。しかし、先生のグラフの中で取り上げています二〇〇〇年代以降に限って見ますと、マネーサプライ、日本のマネタリーベースが一番ふえましたのは、先生御指摘の時期でございますけれども、二〇〇二年から二〇〇五年にかけて日本銀行のマネタリーベースは大きく増加しました。しかし、この時期は振り返ってみますと、日本は円高の時期でございました。
 量的緩和を解除した二〇〇六年三月以降、特に二〇〇七年にかけて、当然マネタリーベースは減りましたけれども、振り返ってみますと、この時期は、一九九〇年代後半以降で日本が最も円安になった局面でございます。つまり、マネタリーベースの伸びとそれから円・ドル為替レートについては、むしろこれは逆の方向の動きが見られるということでございます。
 私自身は、マネタリーベースが関係がないということは、今、全体として有意な関係が見られないということを申し上げましたけれども、しかし、日本銀行の金融政策という意味では、これは金融緩和政策を強力に推進しております。
 今、短期金利がゼロのもとで、しかしどうやって緩和効果を生み出していくかということについて、これは我々自身、必死になって考えてまいりました。
 その方法の一つが昨年の秋に導入いたしました包括金融緩和で、さまざまなリスク性の資産を買い入れることを通じて、実際に、民間の経済主体が資金調達をする金利に少しでも働きかけていくという努力をあわせて行っております。
 いずれにしましても、先生の問題意識も踏まえました上で、中央銀行の責任ということをしっかり受けとめた上で、政策を推進してまいりたいと思っています。
山本(幸)委員  うそっぱちばかり言わないでくださいよ。どこの時点をとってそれから出す、それは変わることはありますよ。だけれども、あのリーマン・ショックが起こる前、二〇〇七年から比べてみたら、さっき今井さんが示したとおりじゃないですか。日銀が全然やっていないじゃない。それだけ見たってやっていませんよ。
 それから、GDPとの比率でやるというのはやめなさい。日本はあなたのおかげでデフレで、白川デフレだよ。それで全然成長していないんだよ。成長していないGDPをもとにして比率が上がりましたなんて、喜ぶような話ですか。恥ずかしいよ、そんなのは。そう思わないの。
 それから、ゼロ金利のもとでと言っていたけれども、さっきから言っているように、予算委員会であなたとやり合ったけれども、実質金利は高いじゃないか、日本は。そうでしょう。
 全然、緩和的なことなんかやっていませんよ。それを何でもっとやらないんだ。今、日本に円高をもたらしているのはあなたの責任なんだよ。そう思わないか。
白川参考人  為替レートの影響については、日本銀行として、先ほど来申し上げていますとおり、注意深く見て、適切な金融政策を心がけていきたいというふうに思っております。
 多くの論点につきまして、多少重複、繰り返しになりますので、そこの部分については避けますけれども、今、具体的な話として二つございました。
 一つはリーマン・ショックとの比較でございます。
 リーマン・ショックは、思い起こしてみますと、これはアメリカの金融システムがほとんど崩壊に瀕する、そういう局面で、どの金融機関も資金繰りに大きく不安を持つという状況、それだけ金融システムが壊れたわけであります。そういう状況を修復するためにお金を供給しないといけなかった、したがって、マネタリーベースの伸びは高かったということであります。
 日本の金融機関は、もちろんリーマン・ショックで大きな影響を受けましたけれども、しかし、欧米の金融機関に比べますと、金融システムの傷みははるかに小さかった。したがって、金融機関が、アメリカの金融機関のように資金を調達する、資金を抱え込むニーズが高くなかったということのあらわれでありまして、むしろこれは、金融システムの傷つき方が大きかったアメリカは大きくマネタリーベースがふえざるを得なかった、そういう事態に陥ったということであります。
 それから、実質金利について御説明がありました。為替レートに影響を与える金利は、これは主として長期の金利であります。長期の金利水準から差し引くべき物価は、これは予想物価上昇率であります。いろいろな専門機関が長期的な予想インフレ率を出しております。どの予想インフレ率の数字がいいのか、これ自体はもちろん若干の議論はあります。しかし、エコノミストのコンセンサスフォーキャストというもので仮に実質金利を計算しますと、日本の実質金利の方が高いという事実はございません。
 先生が依拠されている方法によると、日本の方が高いという計算結果、先生は多分そういう御指摘で、もちろん、そうした主張もあり得ると思いますけれども、しかし、よく使われていますエコノミストの中長期的な予想インフレ率を差っ引くと、日本の方が高いというわけでは必ずしもないということでございます。
山本(幸)委員  そんなことはありませんよ。あなたはその予想したみたいなものを聞いたと言っているけれども、私がこの前議論したように、物価連動債でくるものとか、ブレークイーブンで出てくる金利とか、あるいはGDPデフレーターを見れば、日本の方が高いんですよ。それは数字の話だから、今度、別にやります。
 それから、リーマン・ショックのときは、米欧は金融システムが傷んだからやった、日本はそれが足らなかったからやらないで済んだと、あなたはその言いわけばかりずっとやっているんだけれども、そのために日本が一番経済が落ち込んだんですよ。そして、一気に円高がそこから進んだんじゃないですか。そうじゃありませんか。
白川参考人  リーマン・ショックとの比較でございますけれども、先ほど申し上げましたのは、アメリカとの比較でございます。
 日本銀行自身は、リーマン・ショックのときに積極的な金融緩和を展開しまして、マーケットに対して潤沢に資金を供給いたしました。その量は、これはGDPとの比較ということではなくて、実額でもって見ても金額を大きくふやしました。したがって、日本銀行が出していないということではございません。
山本(幸)委員  リーマン・ショックのとき、出していないというのは、さっきの今井さんの数字で明らかじゃないですか。数字を見れば明らかなんですよ。この数字を見て、やっています、出していますなんて、だれが信じるんですか。
 両大臣に申し上げておきますが、これからよほど政府が腹を決めて日銀に金を出させなければ、円高がどんどん進みますよ、マンデル・フレミング理論で、これからどんどん復興、財政出動は拡大していくんだから。そして、デフレがどんどん進んで、恐慌状態になりますよ。それを正す覚悟、介入を含めて、日銀にやらせるという覚悟はあるんですか。
 財務大臣に最後に聞いて、終わります。
野田国務大臣  日本銀行と緊密に連携をとって、委員が御懸念を持つような、そういう危機的な状況にならないように、覚悟を持って全力を尽くしていきたいと思います。
山本(幸)委員  終わります。