2010年動物愛護法改正に向け、私案を発表

動物の愛護及び管理に関する法律の改正のための政策大綱(山本私案)
~「殺処分」から「共生」へ~

 動物愛護法が昭和48年に制定されて以来、数次にわたる改正がなされ、動物の適正な取扱いについての規制が強化されてきた。しかし、悪質な業者による劣悪な環境の下での動物の飼養、売らんかなの姿勢の販売、無責任な飼主により自治体に対してなされる、あまりにも安易な犬又はねこの引取り要求に起因する年間およそ30万頭に及ぶ殺処分など、動物愛護に関する我が国の現状が改善されたとは言いがたい。
 このことは、かかる状況を改善するためには、単に規制を強化するという手法に限界があることを示していると言わざるをえない。
動物愛護法平成18年改正で規定された改正法施行5年後の見直しを行うに当たっては、動物愛護法の基本原則として定められている「動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱う」社会を実現するために、単に規制を強化するのみならず、そのような社会の実現に向けて誘導していくための仕組み作りという視点が不可欠である。
 そこで、「殺す社会」から「共に生きる社会」への転換に向けた仕組みを導入し、その仕組みを支える国民のコンセンサスを醸成するために、以下の事項に係る動物愛護法改正等の措置を講ずるものとする。
一 犬又はねこの飼養に当たっての基本原則の明記
  引き取り手の見つからない多くの犬又はねこが殺処分されていることにかんがみ、犬又はねこを飼おうとする者は、遺棄等を理由として保護されている犬又はねこの飼養もその選択肢として考慮するものとすること。

二 犬又はねこの殺処分頭数を減少させるための措置
1 犬又はねこの所有者に対し、マイクロチップその他の方法により、その所有する犬又はねこが自己の所有に係るものであることを明示する義務を課すこと。
2 犬又はねこの所有に関する情報のうち、マイクロチップを用いるものについて、適正な能力を有する法人に登録及び管理をさせるシステムを整備すること。
3 犬又はねこの円滑な譲渡を支援する体制(いわゆる「里親システム」)を整備すること。

三 犬及びねこの管理及び販売に当たって動物取扱業者が遵守すべき基準の明確化(環境省令・告示の改正)
1 犬及びねこについては、その健全な育成及び社会化を推進するため、出生後、少なくとも8週間、親、兄弟姉妹等とともに飼養又は保管しなければならないものとすること。
2 犬及びねこについては、飼養施設に備えるケージ等の広さ・空間等について可能な限り具体的な基準を設けるものとすること。
3 販売業者にあっては、販売する犬及びねこの生理、生態、習性等を考慮し、長時間にわたる、又は深夜における営業が犬及びねこの健康等に影響を生じないよう、適正な営業時間を設定するものとすること。

四 多頭飼育に起因する動物の適正な取扱いがなされていない事態における勧告・命令
 都道府県知事は、多頭飼育に起因して周辺の生活環境が損なわれている事態に加え、多頭飼育に起因する動物の適正な取扱いがなされていない事態として環境省令で定める事態が生じていると認めるときに、必要な勧告・措置命令を発することができるものとすること。

五 動物虐待の防止
1 動物愛護担当職員の職務に、動物虐待防止に関するものを明記すること。
2 動物愛護推進員の活動に、動物虐待防止に関するものを明記すること。
3 動物愛護担当職員と動物愛護推進員の連携を明記すること。
4 虐待罪の例示として、例えば、著しく不衛生な状態における長期間の飼養・保管という類型を追加すること。