日本銀行総裁とデフレ脱却に向けて議論!(2010.3.1)財務金融委員会 質問議事録

再び、日本銀行総裁とデフレ脱却に向けて議論!

衆議院財務金融委員会 議事録
開催日:平成22年3月1日

○山本(幸)委員 おはようございます。自由民主党の山本幸三です。

 きょうは、日銀総裁、亀井大臣、急遽のお呼び立てにもかかわらず御出席になりまして、ありがとうございました。また、菅大臣は、先ほども分科会で、大変御苦労さまでございました。

 早速本題に入りたいと思いますけれども、日銀総裁に来ていただいたのは、要するに、日本の税収がどうして下がったかというのが大問題になっているわけですね。これは、この十五年間、デフレが続いて名目GDPがどんどん下がっちゃったから、税収が落ちちゃったわけです。だから、日本の財政の問題を考える、あるいは財政の健全化を考えるときには、当然歳出カット、増税もありますけれども、本来の税収がきちっと上がるという状況ができない限り、こんなものは何も進まないんですね。そこで、日銀の金融政策、デフレ解消策がきちっとしない限り、財政、税収の問題というのは議論できないというので来ていただいたわけであります。

 予算委員会でも私、総裁と大分議論をさせていただきました。その中で、私の言ったことに対して、何か私が間違っているようなことを言われたものですから、そういうことは許せないものですから、大分しつこいたちなんで、大変申しわけないんですけれども、その辺の決着をまずつけないと次に進めないということであります。

 総裁は、マスコミに対してもあるいは国会においても、日本の金利は一番低いんだとずっと言い続けたわけです。何もわかっていない新聞記者はそれで書いちゃいますけれども、私は、そうじゃないと。低いというのは名目金利であって、実際に企業や家計が消費行動を起こしたりあるいは投資行動を起こしたりするのは、実質金利の世界でやるんだ。もっと正確に言えば、実質資金調達コスト、これが高ければ、幾ら需要を出せと言ったって出ないわけですよ。需要が足りないというのは、私に言わせれば、それは実質資金調達コストが高いから需要が出ないんだ。需要不足、ここを下げない限り、需要というのは出ませんよ。

 そこで総裁にお伺いしますけれども、私とあなたとどっちが正しいんだ。まず、短期の政策金利、私は先週、各国の主要国のあれを最新のデータで全部調べた。政策金利、日本では〇・一〇、ぎりぎりだと〇・〇九六になるときもあるんだけれども、〇・一〇。アメリカはゼロから〇・二五。先週の二月二十二日のレートは〇・一二。英国は〇・五〇。ユーロ圏は一・〇。実際には、二月二十二日は〇・三四になっていますけれども。これが中央銀行がコントロールできる金利ですよ。

 だから、本来ならばここで、本当に世界一低いか高いかを決めなければいけない。これでいくと、日本は〇・一、〇・〇九六にしてもいいんだけれども〇・一でいきましょう。そして、最新の消費者物価上昇率はマイナスの一・三ですよ。その前、先月まではマイナス一・七だった。最新のものが出ましたから最新のものを使いましょう、マイナスの一・三。〇・一引くマイナスの一・三はプラスの一・四%ですね。これが日本の実質金利。

 アメリカ、〇・一二マイナスの最新の消費者物価上昇率二・六、これでいくとマイナスの二・五八じゃないですか。イギリス、〇・五〇マイナスの三・五%、マイナスの三%。EU、〇・三四マイナス〇・九、マイナスの〇・五六。

 主要国みんなマイナスですよ。日本だけがプラスの一・四だ。これじゃ世界一高いんじゃないですか、日本銀行総裁。

○白川参考人 まず、お答えする前に、経済理論について先生と論争しているということではございません。私自身、予算委員会で申し上げましたとおり、いろいろな経済理論がありますので、私自身はある特定の理論にいわば臣従するということではなくて、いろいろな理論を使って現実の経済に対して何とか状況を改善していきたい、そういう思いでございます。そういう意味で、論争するということではございません。

 それから、金利でございます。山本先生御指摘のとおり、名目の金利ではなくて実質の金利、さらに正確に言うと実質的な調達コストを見ていく必要が大事だということは、私も全く同じ思いでございます。ここのところは予算委員会でも申し上げました。

 そう申し上げた上で、実質金利の動きでございます。先生御指摘のとおり、数字はまさにそのとおりでございます。名目金利はゼロ以下には下がり得ませんから、したがいまして、実質金利を下げていくということも、実は名目金利を低い水準にし、この水準を粘り強く維持する、あるいは資金を潤沢に供給するということを通じて物価に最終的には影響を与え、そのことを通じて実質金利を下げていくという努力の結果でございます。そういう意味で、私どもは世界で一番低い名目金利を維持することを通じて、最終的に実質金利の面でもこれを引き下げていくという努力を今重ねております。

 それから、もう一点だけ申し上げたいことは、まさに先生が御指摘のとおり、実は実質金利というよりか実質的な調達コストということが大事でございます。実質的な調達コストという意味は、今先生がおっしゃったインフレ率と、それからもう一つはいろいろな企業が資金調達するときに国債金利に上乗せされる金利、これはよく信用のスプレッドというふうに呼んでおりますけれども、この水準も非常に大事でございます。幾らマーケットの金利が低くても最終的に企業が調達するコストが高ければ、これはなかなか景気刺激効果が生まれてまいりません。実は、この信用スプレッドという面で見れば、これは日本の信用スプレッドが欧米に比べると断然低いということでございます。これは実は、日本銀行が潤沢に資金を供給する、いつでも資金供給をする用意があるというその姿勢がマーケットに浸透し、そのこともあって実は信用スプレッドが下がっております。こうしたことも含めて、いずれにせよ実質調達コストを下げていく努力を現在続けておるところでございます。

○山本(幸)委員 聞かれた以外の余計なことは答えないで結構なんですよ。信用スプレッド、そんな話だって当然知っていますよ。だけれども、あなたは世界一低いと言って、私は世界一高いと言って、いかにも私が間違ったようなことを言ったんだから、まずこれを決着つけるんだ。

 それで、日銀がコントロールできる政策金利とか、私が言ったように実質金利は世界一高い、それは認められましたね。でも、あなたは最後に私が聞いたときに、うまいぐあいに逃げて、短期のことを言わないで長期のことだけ言ったんだ。予想インフレ率は計算するのが難しい、それはそのとおりだから私も便宜上、実際のもので言っているんだけれども、現実の長期金利を見てみますと、実質金利において日本だけが低いということでは必ずしもございませんと。あなたも大分混乱していたんだね。日本だけが高いと言うべきところを低いと言っているんだね。

 長期のところを比較してみましょうか。日本は、長期十年物国債一・三四五マイナス消費者物価上昇率のマイナス一・三、そうするとプラスの二・六四五だ。アメリカ、三・七九八マイナス二・六、プラスの一・一九八。イギリス、四・二三〇マイナス三・五、プラスの〇・七三〇。EU、三・二七〇マイナス〇・九、二・三七〇。日本は二・六四五ですから圧倒的に高い。ほかの国はマイナスにはなっていないことはそのとおりだけれども。

 長期だって、日本が一番高いんじゃないですか。それを確認してください。

○白川参考人 短期の実質金利につきましては、これは足元の物価上昇率と、それから先行きの予想インフレ率はそれほど大きな違いがないということで比較的計算が簡単でございます。

 長期、例えば十年ですと、向こう十年間インフレ率がどのようになるかという予想は、必ずしも足元のインフレ率だけでは推測しにくいということでございます。そういう意味で、短期ほど明確に、実質長期金利、どっちが高いかということを断定的に言うことはなかなか難しゅうございます。

 私が申し上げましたのは、実は、長期金利の動きについて見ますと、これはインフレ率の差はもちろんございますけれども、しかし、長期の名目金利は下がります。したがって、短期と比べた場合と比べて少しイメージが違いますということを申し上げたわけでありまして、先生に対して何か反論するということで申し上げたわけではございません。

○山本(幸)委員 私が間違っているわけじゃないということをはっきり確認されたので、ちょっと留飲を下げておきます。

 しかも、長期のところは、比較すること自体が妥当かどうかというのがあるわけですね。つまり、日本銀行はコントロールしていないんだから。それとも、あなたは長期金利をコントロールしていると言うんですか。どうですか。

○白川参考人 これはもう釈迦に説法でございますけれども、長期金利は、先々、例えば十年間の予想成長率、それから予想インフレ率で決まってまいります。正確に申し上げますと、そうした二つの要素に加えて、この二つの要素が将来どういうふうになっていくのかというその不確実性もまた加味されてまいります。

 中央銀行の役割は、この予想インフレ率という面で安定的に推移させることを通じて、その部分を通じて長期金利には影響を与えるということもできますけれども、しかし、基本的には経済の成長率によって決まってくる、そういうものだというふうに考えております。

○山本(幸)委員 そこのところはおっしゃるとおりなんですが、とりあえず、私の方が正しかったということだけは確認しておきますよ。

 それから、今おっしゃったように、長期の金利というのは、おっしゃったような条件で決まっていくんですが、長期金利というのは、そういう意味では、デフレ期待があるときは低くなるんだよね。だから日本が低いんですよ。それを威張っていて、それは日本銀行の政策の失敗のあらわれなんだから、威張れるような話じゃない。

 そこで、さっきあなたがおっしゃったように、実質成長率と予想インフレ率、それと、恐らくリスクプレミアムでしょうね。だけれども、それはぎりぎり考えていくとどうなるかというと、結局、短期のインフレ率プラス将来の成長率から引き出してくる現在価値なんだな。それをずっと重ねていけば、結局のところは日本銀行がコントロールしている短期の金利で将来的に決まってくるというのが今の経済理論でしょう。

 だから、一番大事なのは、短期の実質金利をいかに低くするかということなんですよ、実質的に。こんなに高くて景気がよくなるわけないじゃないですか、デフレがよくなるわけないじゃないですか。しかもあなたは、名目金利がゼロから下には行けないと言ったけれども、スウェーデンは去年の八月、マイナスの金利をやったんだよ。知っていますか。

○白川参考人 スウェーデンがマイナスの金利を入れたということでございますけれども、これは、結論から申し上げますと、知っております。

 これは、先生は十分御存じのことではございますけれども、少し御説明いたしますと、スウェーデンの中央銀行に金融機関が預金を預けるとき、そのときの金利をマイナスにしたということでございます。ただ、実際には、これはややテクニカルな話になりますけれども、スウェーデンの中央銀行は、資金が余りますとマーケットから資金を吸収するという操作も行っております。したがいまして、実際に市場においてマイナスの金利がついているわけではございません。

 また、スウェーデンの中央銀行の総裁を初め幹部は、自分たちはいわゆるマイナス金利を導入したわけではないということを今一生懸命説明しておりまして、今先生がおっしゃったような意味でマイナス金利を導入したわけではないというのがスウェーデンの中央銀行の説明だと思っております。

○山本(幸)委員 どの中央銀行も、実際にやっていることは違うんですと口だけは言うんですよ、いろいろ。あなたもそうだろう。まあいいや、金利の話は私の方が正しかったということが確認できたので、次に行きます。

 あなたは十八日、金融政策決定会合後の記者会見で、財政の持続可能性に関する市場の関心が世界的に高まっていると述べた。これは、新聞の解説によれば、財政の悪化が国債価格の下落につながるリスク、逆に言えば金利が高騰するリスクを警戒する構えを見せたというように新聞は解説をしておりますが、あなたがおっしゃったことの真意というのは、そういうことでいいんですか。

○白川参考人 金融政策決定会合後での記者会見は、これは国際経済あるいは国際金融市場で現在どういうことが起きているのか、どういうことが国際会議での関心事項か、そういうふうな流れの中での質問でございました。

 先生御案内のとおり、今ギリシャ問題に代表されますように、財政の問題に対する関心が、これは必ずしも日本ということじゃなくて、世界的に高まっているということを御説明いたしました。そういう文脈の中で、財政の規律の重要性であるとか、あるいは金融政策に対する信認の重要性ということを申し上げました。これは、あくまでも世界的な文脈の中で申し上げました。それについて新聞がどのような見出しをつけるかというのは、これはもちろん新聞社の自由でございますけれども、私自身はそういうふうに申し上げました。

○山本(幸)委員 それでは、日本のことじゃないということなんですか。そうしたら、日本で国債を日銀はもっと買えばいいじゃないかという議論についてはどうなんですか。

○白川参考人 今、世界と申し上げましたが、もちろん世界の中には日本も入っておりますけれども、先ほど申し上げたことは、世界全体、国際金融市場でそういう問題意識が高まっているということで申し上げました。

 もちろん、先ほど申し上げた二つの原則、つまり、財政規律の重要性、それから金融政策に対する信認の重要性、これは日本についてももちろん当てはまります。日本の財政の状況が大変厳しい中で、財政規律、それから中央銀行の金融政策ともに重要であるということは、これは全く同じ認識でございます。

○山本(幸)委員 ということは、日銀総裁は、今回の予算編成、この政権の財政規律については非常に問題がある、深刻な状況にあると言っていると書かれていますけれども、これは大変だ、もっとしっかり財政規律を確保するような方針が出なきゃだめだ、そういうことをおっしゃりたいんですか。

○白川参考人 今私が申し上げましたことは、政策面についての基本的な考え方ということで申し上げたわけであります。

 現下の財政の状況についてどういうふうに行うのかというのは、さまざまな議論をした上で、これは政府それから国会の場で決めていく、そういう性格の話だというふうに思っております。

○山本(幸)委員 国会に来ると、いかにも政府の財政を批判したんじゃないんですよというようなことを言いながら、記者会見では明らかに批判しているんですよ。だって、どの新聞を見たって、財政運営、財政規律について心配していると。下手に財政ファイナンスなんかやらされたら大変なことになりますよと言って、おどしまでかけているわけですよ。それはすなわち、日本の財政規律が今ない、心配すべき状況だと。それをほかのところでは言っているわけでしょう。国会に来たら、どうして、そんなものじゃありませんよと言うんですか。

○白川参考人 私自身、記者会見の場とそれから国会の場で発言を適宜使い分ける、そういう不誠実なことは行っておりません。あくまでも、中央銀行の総裁という立場で、基本的な考え方について問いがあれば、それに対して基本的な考え方をお答えするということで、決して使い分けているわけではございません。

○山本(幸)委員 使い分けているんですよ。

 それで、最初に申し上げたように、デフレが解消して名目経済成長率が高くならない限り、成長戦略の三%なんてあり得ないし、税収も上がらない。

 デフレを解消もできなくて、日本銀行は十分に緩和的な政策をやっています、日本銀行の今の政策が一番いいんですなんて発言をしているんだけれども、本当にそう思うんですか。

○白川参考人 デフレから脱却する必要があるという点においては、山本先生と全く同じ認識でございます。

 いつも申し上げていることでございますけれども、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路に復帰することが最も重要な課題という認識を持って、金融政策を運営しております。

 多少、今の先生の御質問に対するお答えではない部分もあるかとも思いますけれども、私どもとして、デフレ脱却には二つの取り組みが必要であるというふうに思っております。

 一つは、デフレの根本的な原因であります大幅な需給ギャップを持続的な形で解消していくということであります。このため、日本銀行では、政策金利を名目ゼロ金利まで引き下げ、また、現在の低い、このゼロ金利状態を続けるということを明確にしております。また、金融市場に対して潤沢に資金を供給するという用意をつくっておりまして、現に潤沢に供給をしております。先行きも、このような極めて緩和的な金融環境を維持する方針を明確に示しまして、そのことを通じて、日本銀行として、この需給ギャップの解消に最大限の努力を続けております。

 それから、もう一つ、デフレ脱却のために重要なことは、人々の物価に対する見方が下振れしないようにすることであります。この点でも、日本銀行は、十二月に、中長期的な物価安定の理解という形で、消費者物価の前年比がプラスの状態を実現することが大事であるという姿勢を示しておりまして、デフレ脱却への決意を明確にしております。

 私としても、現在の状況からいち早く脱却したいという思いでは、これは先生と全く同じでございます。しかし、先ほど申し上げましたようなデフレの根本原因を考えてみますと、これは粘り強く努力を続けていくということでございます。

 私どもとしては、そうした姿勢を改めて申し上げたいというふうに思います。

○山本(幸)委員 日銀の金融政策も、これは政治家もそうなんですが、結果責任なんですよ。あなたが一生懸命まじめにやっていますと、姿勢だけ、やっていますなんて言ったってだめなんだ。結果が出なきゃ、何もやっていないということと同じことなんですよ。私に言わせれば、デフレが解消しないというのは、日銀が何もしていないということなんですよ。

 そして、根本原因は、需給ギャップをなくさなきゃいけない。さっき申し上げたように、実質金利が高いから需要が出ないんですよ。そうでしょう。実質金利を下げていくようなことをやらない限り、需要なんか出ませんよ、需給ギャップなんか埋まりませんよ。根本原因は日銀の政策だよ。

 そして、国民が物価に対して下振れしないようにということで、プラスですよと。ゼロじゃないでプラスですと言ったら変わるんですか。この点は、予算委員会で私が言ったように、CPIというのは上方バイアスがあるから、それじゃだめなんだと。またぞろ、日銀は実質的にはマイナスかゼロのところをねらっているんだということになる。

 だから、もしやるなら、上方バイアスと、それから下振れリスクをなくして確実にするためには、最低一%、一から三ないし四、それぐらいの目標を持ってちゃんとやりますということがない限り、うまくはいかないんですよ。

 そこで、菅大臣にお伺いします。

 予算委員会の席で、菅大臣から、目標は政府、日銀で共通してあるんだ、手段は日銀の独立性ですよということで御理解いただいて、一%、個人的には一%よりもうちょっと上、一%強の目標を持って日銀にはしっかりやってもらわなきゃいかぬというように御答弁いただきましたけれども、そのことでよろしいですね、菅大臣。

○菅国務大臣 前回に続いて、山本議員と総裁との議論を聞かせていただきました。

 私も、常にいろいろな問題がトレードオフの関係で、日銀総裁の政策決定会議以降の御発言の中で財政規律について触れられておりまして、政府としても、さきのといいましょうか、今審議をいただいている予算では、四十四兆円に国債発行を抑えながら、さらに、将来に向かっては税制の議論もきちんと始めようということで、きょう三月に入りましたが、三月に入って本格的な議論もする、そういうことを含めて、財政規律についての姿勢もしっかりしなければならない。

 しかし同時に、一方で需給ギャップを考えますと、財政出動を余りシュリンクさせることは好ましくないという意味では、逆に言えば、財政の規模は余り小さくはすべきでないというところもありまして、そういう、政府としてのぎりぎり、デフレ脱却の努力は、政府は政府としてしっかりやりたいと思っておりますし、できることはやっているつもりなんですけれども、そういう中にあっても、一方で、日銀においても、同じ目標、つまり、デフレ脱却という目標について、しっかり取り組みをお願いしたい。

 この間やっていただいていることについては私たちも評価をしておりますし、ただ、山本議員からもお話がありましたように、結果として、いわゆる物価についてはまだ下落が続いているということで、政府としても努力を一層していきたいと思っておりますので、日銀においても、やり方についてはそれぞれ自立した、独立した判断があるのは当然でありますが、より努力をお願いしたいというのが率直な気持ちです。

○山本(幸)委員 予算委員会のときには、一%、あるいはそれを上回るような目標でやってもらわなきゃ困るというように答弁されましたけれども、それでいいんですか。

○菅国務大臣 これは既に、たしか十二月十八日でしたか、日銀の政策決定会議において、プラス〇から二%、そして、プラス一程度が目安というような表現を日銀御自身が使われております。

 私どもも、そういう意味では、プラス一ないしは、最近のいろいろな論文によれば、もっと高い目標でもいいのではないかという指摘もIMF等の関係者から出ておりますが、前回、上方バイアスという概念も山本議員から改めてお聞かせいただきましたので、そういうことも考えれば、プラス一ないしはもう少し高目の目標でいってもいいのではないか、そういう認識を持っております。

○山本(幸)委員 その際に大事なのは、大体いつごろまでだというのがないと政策の見通しがつかないんですね。これについては、菅大臣、いかがですか。

○菅国務大臣 私が昨年の十一月に、宣言という意味でもなかったんですが、よくマスコミではデフレ宣言という言い方をされますが、デフレ状況にあるということを申し上げました。その後、日銀の方でも先ほどのような行動をとっていただいております。

 デフレという、かなり、何といいましょうか、いろいろな経過の中で、長い経過の中で脱却が難しいわけですから、そう何カ月単位ですぐに回復ということまでは言えないと思いますが、やはり二、三年ではちょっと長いのかなと。欲を言えば、デフレ宣言をして、ことしいっぱいぐらいには何とかプラスに移行してもらいたいな、そんなふうに感じております。

○山本(幸)委員 これは非常に大事な御答弁をいただいたと思います、ことしいっぱいにデフレ脱却、一%強を目標として、実現してもらわないかぬと。

 この点については亀井大臣にもお伺いしたいんですけれども、大臣がおつくりになられた金融円滑化法、あれがどういうぐあいになっているのかということでお伺いしたいんです。

 数字から見ると、銀行の貸し出しというのは十二月がちょっと減っちゃっているんですね。これは、あるいは銀行は、新規の貸し出しについては確実に返してもらうところしか行かないようになったのかなというふうに思わざるを得ないところもあります。したがって、そういう円滑化法の状況。

 本当に貸し付けをふやすためには、日銀がどんどん金を出して実質金利を減らして、デフレ脱却ということがない限り、これは進まないと思いますので、今の菅大臣の、ことしいっぱいには一%強にするという目標を持ってやるんだということについてのお考えと、それから、金融円滑化法の状況についてお話しいただければと思います。

○亀井国務大臣 山本委員から金融円滑法の効果が出ているのかどうかという御意見がございましたが、私は、あの法律を審議しておる最中から申し上げておりました。金繰りをよくしていくことだけでは中小零細企業、商店のそうした現在の苦境から脱することにはならない、仕事を出していく、仕事が生まれてくる、またそれがもうかる形で出てくるという、マージャンに例えれば一気通貫でなければだめだということを、私は品がありませんからそういう例えをしておるわけでありますけれども。

 確かに、金融機関もこの法律の趣旨を踏まえて体制もとっていただき、今までとは違った金融マターになっておることは私はほぼ間違いないと思います。金融機関がいわばコンサルタント的な機能を果たしてくれ、今からの金融監督検査はそういう視点でやるんだということを今徹底しておりますから、それをやらない場合は人事考課にまでこれを影響してくれ、そこまで非常に突っ込んだことまでしております。

 ただ、問題は、委員御指摘のように、残念ながら、もう新しい資金を借りたいという意欲がなくなっちゃっているんですよ。借金も将来先延ばしするんなら、この際、倒産しちゃえ、店を閉じちゃえ、残念ながらそういう空気が今蔓延をしている。私は日本経済にとってゆゆしき事態だろうと思います。

 今、インフレターゲットの問題もありましたけれども、インフレターゲット、そういう数値目標も大事でしょう。しかし、要は、三十五兆円以上の需給ギャップが起きておる、この状態を変えないことにはどうしようもない。私は委員も恐らく賛成されると思うんですけれども、余り精緻な数値を基本にしての議論をやったって、しようがないとは言いませんけれども、しようがないに近いんですよ。

 アメリカは、御承知のように、日本から官民二百兆円以上の金を借りて、中国からも百兆円も借りて、国内でも大変な財政赤字を抱えている中で、七十兆円の緊急財政出動をしたでしょう。その七〇%は公共事業ですよね。また、中国も、こうした百年に一度の経済危機が世界に襲ってきたときに、大胆な六十兆を超える財政出動をやっちゃった。これもほとんど、日本では評判の悪い公共事業ですよ。数値の面での細かい議論をする前に、大局を踏まえて大胆なそうした対策を世界はとっているんですよ。私は、日本もそれをやるべきだということを言っておるんです。

 私は、日銀も今精いっぱいの努力をしていると思いますよ。しかし、日銀の金利政策、金融政策だけでデフレギャップを解消できるか、私はやはり無理だと思います。やはりそれは、政府が財政出動を含めて需給ギャップを解消していく努力をしなければ、日銀の責任だけで解決できる問題ではない。

 今度、福祉経済にうんと力を入れる、私はすばらしいと思うんです。私もおった党ですが、かつて自公はそういう面に必ずしも力を入れなかった。そういう面ではすばらしいと思うんだけれども、一方では産業活動を活発化していく、富を生産していくという努力を同時にやらなければ、福祉経済だけで、アメリカや中国がああいう手を打っているときに、本当に日本経済はデフレギャップから脱することができるかということになると、私は極めて疑問に思っております。まあ、党が違うから気楽なことを言っているのかもしれませんけれども。

 それと、私は、政府が大胆な財政出動をして、日銀も協力できる点があると思うんですよ。だって、財源といったら、残念ながら今から税収が三十七兆円を超えてどんどんふえるという見通しはないでしょう。では来年度、二十三年度予算はどうするかということ。財源としては何があるんですか。そうなると、国債と、特別会計をどう切り込んでいくしかないんです。これは赤ちゃんが考えてもわかる話なんだ、まあ赤ちゃんは別として。

 そうした場合、国債についてどうするかという場合に、私は、日銀が市中から買い入れをするということだけじゃなくて、直接日銀が国債を引き受けて財源をつくるということをやったらいいと思うんですよ。そういうことも今考えて菅大臣に思い切った財源を与えるということをしなければ、手足を縛って需給ギャップの対策を菅大臣にやれって、マジシャンじゃありませんから、そんなことできないんです。

 そういう意味では、日銀もそうした、ただ金利政策、金融政策だけじゃなくて、政府の財源についても責任を持って踏み込んでいく、ちょうどいらっしゃいますから申し上げるんだけれども、それぐらいな覚悟をされないとこの危機から脱することはできないと私は思っております。ちょっと長くなりましたけれども、そのように思っています。

○山本(幸)委員 大変興味深い御指摘もいただきました。ただ、菅大臣が示された目標、期間、これは非常に大きな意味を持っているわけなんですね。まずそこからスタートしないと。それをやるために、それを本当にやるんだったら、それを実現するために、日銀国債引き受けでもやられたらいいんですよ。まずデフレから脱却しない限りは、税収なんて伸びないんですから。

 そのためには、やっています、やっていますということばかり聞いていて、結果が出ないのはやっていないことだというのが私の考えで、だから結果が出るようにしてもらわないかぬわけですよ。ところが、ずっと結果を出さないで、やっています、やっていますという責任逃れのことばかり言っているから私は許せないといって、では結果が出るようにしなきゃいけませんねというのが、目標ですよ、期間ですよ。

 だから、これはやはりすべてのスタート点になるので、その点について菅大臣がはっきり申し上げられたので、これは亀井大臣も同感されますかということなんです。どうですか。

○亀井国務大臣 どの点ですか。もうちょっと明確に言ってください。

○山本(幸)委員 要するに、物価上昇をまず早く一%強にしなきゃいかぬ、ことしいっぱいには何とかまずそれをやってもらう、そこからだということについてです。

○亀井国務大臣 私は、委員に先ほど御答弁した中でも、あるいはある面で触れておると思うんですが、そうした数値目標を設けたところで、数値どおりに経済は動いてくれません。物価も動いてくれません。そのためのどういう政策を展開していくかということについて、さっき、ちょっと長くなりましたけれども私は申し上げたのであって、やはり目標を置くことは大事ですけれども、それを実現するために具体的に効果のある何をやるかということが私は大事だと思っているんです。

○菅国務大臣 まず、先ほど山本委員の質問にお答えしたんですが、矛盾してはいけませんので、あえて補足の説明を若干させていただきますが、現在のところ、見通しという形で発表しているものでは、二十二年度の見通しとしては、残念ながらといいましょうか、消費者物価指数は〇・八マイナスということは、逆に言えばデフレ状況が続くという見通しになっております。

 それと、先ほど申し上げたのは、若干私の気持ちも含めて、プラスに転じてもらいたい。最終的な目標はもっと高いところが念頭にあるということは申し上げましたが、プラスに転じてもらいたいという期待を込めての答弁だということは、御理解をいただきたいと思います。

○山本(幸)委員 それは結構ですよ。ことしじゅうにはぜひプラスに持っていってもらいたい。そして、目標は一ちょっと、これもそんなにまた二年も三年もたってもしようがないので、来年の中ごろか、大体一年半とか最長二年ですよ、どこの国も。それでやってもらう、それは結構だと思いますよ。

 そういうふうに、あとはどういう手段でやるかは、これは日銀が一生懸命考えてもらえばいいわけですね。まさにそこに独立性があるわけですからね。政府も大いに、公共投資をふやすなら公共投資をふやすのでもいいんですよ。日銀に国債引き受けをしてもらうということをやってもらったっていいんですよ。それをしっかりやって菅大臣が言うような目標に近づけてもらうということが一番大事なので、これをぜひこの内閣としてやってもらいたいし、やらない限り、結局、成長戦略なんてあり得ませんし、大体、名目成長率が上がらなければ税収はふえないし、必ず財政赤字は拡張する、破綻の方向に向かってしまうんですから。

 そういう意味で、非常に大事なところなので、最後に菅大臣にもう一度、その辺を含めた決意のほどをお伺いしたいと思います。

○菅国務大臣 先ほど来申し上げていますように、常に財政出動によってのデフレ脱却ということを一方の念頭に置きながら、一方で財政規律あるいはマーケットの信認ということも置かなければなりません。

 また、この間申し上げてきたことは、財政出動によって、直後のGDPの引き上げ効果ということももちろん重要ですけれども、中長期的にその財政投入したものが日本経済の構造的なところを押し上げるような、つまりは、私がよく出す例でいえば、かつて東京―大阪の新幹線は非常に中長期の経済効果があったけれども、最近の本州―四国などのようなものは必ずしも、工事による効果はあるけれども、できたインフラによる効果は余り出ていないということもあると思います。

 それからもう一つは、先ほど亀井大臣からもお話がありましたが、社会保障というものがこれまでは負担という形で認識をされておりましたけれども、これは一つのシェアであって、そのことによって、国民がどう費用をシェアするかということはいろいろ議論が必要ですけれども、少なくともその分野に何らかの財が投入されることは、雇用も生むし、新たなサービスという形の財も生み出す。そういう意味では、需要拡大の大きな分野としては、そうした社会保障の分野も私は大きな分野と考える必要があるのではないかと。

 いずれにしても、何としてもデフレ脱却の中から成長への路線に日本を引き戻すために、政府としても頑張っていきたいと思っております。

○山本(幸)委員 菅大臣はよくそういう話をされるんですけれども、実は、公共投資というのは効果があるんですよ。あるんだけれども、それが相殺されちゃうんです。何で相殺されるかというと、日銀の金融政策がついていかないから、円高になっちゃって相殺されるんですよ。これはマンデル・フレミング理論というんだけれども、これはいずれ次の機会にじっくりやりますからね。

 だから、日銀がしっかりやりさえすれば、公共工事は大いに効果がある。それを今はサボっているんですよ、日銀が。そのことをよく認識して頑張っていただきたいと思います。

 質問を終わります。