衆議院予算委員会 – 各社新聞記事


2010年2月16日  日本経済新聞

財務相「物価上昇1%目標」
           デフレ脱却、日銀と強調

菅直人副総理・財務相は16日午前の衆院予算委員会で、デフレ脱却に向けた消費者物価の前年比上昇率について1%程度が望ましいとの認識を示した。「1%そのものの数字が固定されているわけじゃないが、目標はだいたいそのあたりからまあもうちょっとかなと個人的には思わないでもない」とも語った。
自民党の山本幸三氏への答弁。日銀は昨年12月、中長期的な物価安定の理解について「消費者物価指数の前年比で2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考えている」との政策委員会の見解を示した。財務相はこの点に言及し、「1%が十分かどうかは別として私どももその程度を政策的な目標にすべきだと考えている」と発言し、政府としても1%程度を政策的な目標とする考えを表明した。
さらに「手段は日銀の独立性を認めていくべきだが、政策の方向性や目的では政府・日銀が共通目標を持って進めるのが望ましい」とも述べ、日銀と連携してデフレ脱却をめざす意向を重ねて発表した。
政府は昨年末に閣議決定した新成長戦略で「2020年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長」を目標に掲げていた。物価上昇率の目標を1%程度と明示したことで、デフレだけでなく極端なインフレも避けながら成長率の目標を達成するという政府の意思を強調した格好だ。

普天間移設先 提案先送りへ
 与党3党の国会対策委員長は16日午後、首相官邸に平野博文官房長官を訪ね、政府・与党が17日に開く予定の米軍普天間基地の移設問題に関する検討委員会を延期するよう申し入れた。平野氏は「開かない理由はない」として予定通りに開催する方針を伝えた。ただ各党からの移設先候補地の提案は先送りされる見通しとなった。


2010年2月16日(火) 静岡新聞

内閣支持率
  政治とカネ 下落要因
     首相「民主らしさ出す」

衆議院予算委員会は16日午前、一般質疑を行い、野党は「政治とカネ」問題の追及を続けた。これに先立ち、鳩山由紀夫首相は、報道各社の世論調査で内閣支持率が下落したことについて「政治とカネの問題がある。国民に丁寧に説明を尽くさないといけない」と述べ、自身の偽装献金問題や小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件が要因との見方を示した。公邸前で記者団の質問に答えた。
予算委で自民党の山本幸三氏は、首相の偽造献金問題について「脱税だ」と批判。菅直人副総理兼財務相は「財務相は個別案件に直接指揮を執らないのが慣例だ」と述べるにとどめた。
首相は予算委前、記者団に「(国民は民主党に)昔のような歯切れの良さを求めていると思う。それが、こういう(政治とカネ)問題があって言いにくくなった。これから民主党らしさを出していく」と強調した。


2010年2月17日(水) 日本経済新聞

政府、日銀に追加緩和圧力
財務相「物価上昇、1%目標」
                デフレに危機感

 デフレの深刻化を受けて、政府が日銀に追加金融緩和に向けた圧力を一段と強めている。菅直人副総理・財務相は16日の衆院予算委員会で、物価上昇率について、1%程度を「政策的な目標にすべきだ」と表明。物価上昇率に目標数値を定めて金融政策を運営する「インフレ目標」の導入を日銀に求めることも視野に、デフレ克服に向けた一段の政策対応を期待する姿勢を示した。日銀は金融政策だけでデフレを克服するのは難しいとみており、足並みがそろうかは不透明だ。

 15日発表の2009年10月~12月期の国内総生産(GDP)では、総合的な物価の動向を示すGDPデフレーターが前年同期比でマイナス3・0%と、過去最大の下落幅を記録した。景気の「二番底」懸念はやや和らいでいるが、デフレは深刻さを増している。
 こうした中、日銀に追加緩和を求める圧力が与野党内で広がっている。

日銀は慎重姿勢
16日の衆院予算委で自民党の山本幸三氏は「政府がインフレ目標を設定し、日銀に1年か1年半で達成しろとやらなければ、政治的リーダーシップを発揮したことにならない。」と菅氏に詰め寄った。
 日銀は政策委員が中長期で見て「物価が安定している」と考える物価上昇率を指す「中長期の物価安定の理解」を、06年頃から公表している。昨年12月には「物価のマイナスを許容しない」と、デフレ克服への姿勢を打ち出した。従来の「消費者物価の前年比上昇率で0~2%程度の範囲内」から「2%以下のプラスの領域」に表現を改め、同時に「委員の大勢は1%程度を中心と考えている」と強調した。
菅氏は16日の予算委の答弁で、この「1%程度を中心」を引用しながら、政府目標について「だいたいそのあたりから、もうちょっとかなと個人的には思わないではない」と説明。日銀に対しても「目標としての認識は一致していると私は考えている」と述べた。

日銀の物価安定の目安は厳密な目標ではないが、行内では1%程度の物価上昇率を「事実上の目標と言ってもいい」とする声も多い。菅氏の「目標」発言に対する反発は少ないとみられる。
だが、政府・日銀の思惑は水面下ではすれ違っている。日銀は「インフレ目標の採用国も目標達成を中長期の課題としており、その意味では目安も目標も変わらない」との立場。デフレの根本的な原因はモノやサービスの需要不足とみており、「金融政策だけでは克服できない」とも強調。責任をすべてに日銀が負うような「目標」には否定的だ。
これに対し、菅氏が答弁で「目標」という言葉を繰り返し用いた背景には「日銀がデフレ克服をめざし、より積極的な政策対応をとってほしい」との思惑がにじむ。
日米欧でデフレに直面しているのは日本だけ。日銀は11年度まで物価下落が続くと予想しており、与野党内では「マイナスは許容しないと言っておきながら、3年も放置するのか」「もっと日銀が市場に資金を提供すべきだ」といった批判も一部で上がる。
日銀は12月に「広い意味での量的緩和」を打ち出して市場に潤沢に資金を供給している。しかし01~06年に導入したような市場に供給する資金量を目標に置いて資金供給を増やす正式な量的緩和政策は採用していない。今後の景気動向次第では、日銀への追加緩和圧力が一気に噴出する可能性もありそうだ。

物価に対する政府・日銀のスタンス
○政府「新成長戦略(基本方針)」(09年12月30日)
 ・できる限り早期のプランの物価上昇率実現
 ・20年度までの平均で、名目3%、実質2%を上回る成長目指す
  (GDPデフレーターでみた物価上昇率は1%)
○日銀「中長期的な物価安定の理解」(09年12月18日)
 ・ゼロ%以下のマイナスの値は許容していない
 ・中心は1%程度

▼インフレ目標政策
中央銀行が特定の物価上昇率などを目標に定め、その実現に向けて金融政策を運営する手法。中銀が物価安定の数値目標の実現に向けて強い決意を示せば、物価の安定につながるという議論がある。主要国では、英イングランド銀行(BOE)が採用している。
採用していない日米欧の中銀も中長期の物価安定の目安や定義を公表している。一方で金融危機を受けた物価の下押し圧力などを背景に、BOEでは目標達成に向けた厳密な運営が厳しくなっている。日銀の白川方明総裁は「採用している国もしていない国も金融政策のやり方は非常に似通ってきている」と主張している。


2010年2月17日(水) 朝日新聞

インフレ目標を日銀総裁が否定

日本銀行の白川方明総裁は16日の衆院予算委員会で、中央銀行に物価上昇率の達成義務を課すインフレ目標について「現在の政策運営の枠組みが一番ふさわしい」として、否定的な考えを示した。一方、菅直人副総理兼財務相は、デフレ脱却のための政府と日銀の物価目標は1%程度で一致していると述べた。
 英国などが導入するインフレ目標の採用を求める山本幸三委員(自民)に対し、白川総裁は、インフレ目標を導入する国もしない国も、ともに物価目標を掲げて中長期的に達成を目指す点では似通っていると説明。日銀は、自らが望ましいと考える「物価安定の理解」を掲げ、昨年12月には「2%以下のプラスの領域にあり、政策委員の大勢は1%程度が中心」との認識を示したが、総裁はこうした枠組みで十分との認識を示した。
 菅氏は「政府・日銀が共通の目標を持って進めることが望ましい」と発言。そのうえで、日銀の「1%程度」という物価水準について「だいたいそのあたりからもうちょっとかなと、個人的に思わないでもないが、目標としてはほぼ一致している」と述べ、政府としても1%程度を政策目標としてデフレ脱却脱却をめざす考えを示した。


2010年2月17日(水) 読売新聞

「物価上昇目標1%望ましい」菅財務相

菅財務相は16日の衆院予算委員会で、消費者物価上昇率について「(日本銀行が適当な水準としている)1%が十分かどうかは別として、その程度を政策目標にすべき」と述べ、政府と日銀が連携してデフレ脱却を図る考えを示した。
 予算委では、山本幸三氏(自民)が1~3%の物価上昇率を政策目標として設定すべきだと迫った。これに対し菅財務相は、日銀の各政策委員が適当な水準として「中心は1%程度」を示していることを挙げ、「認識は一致している」と述べた。
 菅財務相には、政府が昨年11月に「デフレ宣言」を行った後に日銀が追随してデフレを認め、10兆円規模の資金を供給する新型の公開市場操作導入に踏み切ったという「成功体験」がある。財務相は今後も、日銀の金融政策について積極的な発言を重ねる可能性もある。


2010年2月17日(水) 毎日新聞

物価上昇「1%目標に」
  財務相、日銀との連携強調

菅直人副総理兼財務相は16日の衆院予算委員会で、消費者物価上昇率の目標として1%程度が望ましいとの認識を表明した。そのうえで「政府と日銀がある意味で、共通の目標を持って進めることが望ましい」と語り、デフレ脱却に向けて日銀と連携していく意向を強調した。山本幸三氏(自民)の質問に答えた。
 日銀は昨年12月の金融政策決定会合で、物価安定の水準として「2%以下のプラスの領域にあり、委員の大勢は1%程度を中心と考える」との見解をまとめた。これについて、菅氏は予算委で「1%が十分かどうかは別として、その程度を政策的な目標にすべきだ」と説明。「目標としての認識は(日銀と)一致している」とも述べた。
 菅氏の発言は、物価上昇率の目標を定めて金融政策を運営する「インフレ目標」の導入を視野に入れたものとの見方もある。今後、政府・日銀の協議で、物価上昇率を金融政策にどう位置づけるかが焦点の一つになりそうだ。
 日銀にとっては、物価上昇率の数値はあくまで目安であり、目標達成を義務づけたり金融政策を拘束するものではないとの立場だ。
 政府が昨年末にまとめた「新成長戦略」の基本方針では「20年度までの平均で名目3%、実質2%を上回る成長を目指す」方針を掲げており、物価上昇を織り込んで名目成長率が実質を上回ることを見込んでいる。【谷川貴史】


2010年2月17日(水) 産経新聞

また・・・・民主動揺

民主党の小林千代美衆議院議員(北海道5区)の陣営が北海道教職員組合(北教組)から違法な選挙資金を受け取ったとされる事件で、民主党に動揺が広がっている。自民党の大島理森幹事長は、鳩山由紀夫首相や小沢一郎民主党幹事長に絡む「政治とカネ」の事件と北教組事件を「3大資金疑惑」と名付け、徹底追及の構え。民主党内では、事件による7月の参院選への悪影響を懸念する声も出始めてきた。

依存体質浮き彫り
小林氏は16日、国会内で記者団に「まったく知らなかった。報道が事実かどうか確認してから説明する」と述べるにとどめた。
 民主党内からは「首相、小沢幹事長の問題に続いて、またカネの問題だ。自民党と変わらないと思われ、支持率は下がる一方だ」(中堅)と困惑する声も漏れている。
 北教組の上部団体の日教組は民主党の有力支持団体の一つで、輿石東参院議員会長ら教職員組合に全面的な支援を受けてきた議員も多い。若手議員は北教組事件について、「民主党の悪い部分が出た。組合の丸抱えは本当によくないことだ」と表情を曇らせた。

 民主党北海道連が16日に札幌市で開いた夏の参院選に向けた関係団体の会合では、佐野法充道連幹事長が「国民から厳しい視線が注がれている中で選挙を戦うことは極めて厳しい」と述べた。
 こうした党内の動揺を抑えるためか、民主党執行部は、あえて強気の態度を貫いている。輿石氏は16日、産経新聞社の取材に「コメントする必要はない」と述べ、高嶋良充参院幹事長は同日の記者会見で、「事件の風評によって影響を被るとはそんなに思っていない」と強調した。

自民「全国調査を」
自民党側は、北教組事件を突破口にして追及を強める構えだ。
 16日の衆院予算委員会で、山本幸三氏(自民)は文科省に対し「(北教組事件)は氷山の一角だ。山梨県教組でも同じ話があった。全国的に調査し国会に報告してもらいたい」と要請した。日教組をめぐっては、平成15~16年当時に、輿石氏の選挙支援活動を行ってきた山梨県教職員組合(山教組)の財政部長と政治団体、山梨県民主教育政治連盟(県政連)会長が約6千万円を収支報告書に記載しなかった。18年に政治資金規正法違反(虚偽記載)で略式起訴され、罰金刑を受けている。山本氏の予算委員会での指摘は、この事件を念頭においたものだ。