緊急提言(緊急経済対策) (2009.4.1) 『日本らしさ=「底力」をいかすとき』

緊急提言(緊急経済対策)『日本らしさ=「底力」をいかすとき』

山本幸三が中心になってまとめた緊急提言~今、「日本らしさ=『底力』」をいかすとき

(はじめに~初年度25兆円超、3ヶ年の緊急経済対策を)

■現下の経済情勢を踏まえた現状認識 
平成21年度当初予算までの75兆円規模の経済対策に加え、スピード感とボリューム感のある追加対策を講じることが必須。
■政策の方向性

  • 緊急経済対策は、理念のないバラマキであってはならない。
  • わが国は、これまで、幾多の困難を乗り越えてきた。現下の危機に当たっては、まさにその「日本の強さ」の原点に立ち返り、「日本らしさ=『底力』」を最大限に引き出すことにより、未来を創造するという視点が極めて重要。
  • 「日本らしさ=『底力』を創ってきた要素として、我々は、①家族の絆・連帯②地域の絆・連帯③雇用を守る社会・経済活動④未来を先取りする社会・経済活動の4つを提示、その再構築により日本を力強く再生することを提言。
■3ヶ年の研究経済対策を
このような視点から、政府に対し、初年度25兆円超(足下の日本経済の需給ギャップに対応)、3ヶ年の緊急経済対策を求める。
■金融政策の役割
また、政府の緊急経済対策が効果を発揮するためには、日銀の金融政策が政府の対策と歩調を合わせたものでなければならない。このため、日銀に対しても、デフレを1日も早く解消し、安定的な物価水準を実現する金融緩和政策の実行を期待する。

1 「家族の絆」の再構築により日本を再生  別紙:施策メニューはこちら
家族の絆・連帯の強固さは、有為の人材を育て、共助の精神を養うなど、わが国の大きな強みであった。しかし、現在、その紐帯の崩壊が急速なスピードで進んでいる。
我々は、家族の絆を再構築するための経済政策・社会保障政策を緊急に講じ、日本の再生に資することを提言する。

(1) 年度途中の税制改正と新たな住宅政策等の展開

  ○問題の所在~世代間の金融資産の偏在
現在、1500兆円の個人金融資産の7割を60歳以上が保有
→住宅、自動車等取得のインセンティブがなく資産が死蔵
→長寿化により、被相続者も約60歳で資産の死蔵が恒久化
→子育て・金欠中の現在の現役世代への資産移転が急務

  ○緊急対策(別紙「施策メニューⅠの2」参照)

  • このため、生前贈与税制を緊急改正、例えば、住宅用の親から子への贈与を大幅に無税化、あわせて3世代同居住宅・省エネ住宅には無税枠拡大。
  • 省エネ自動車・孫の教育費等にも適用などの施策を実施すべき。
  • 上記施策を補強するため、個人住宅ローンに対する公的債務保証を充実すべき。

(2)家族の絆を強め連携・共助を培う社会保障制度の構築

  ○問題の所在 

  • いわゆる長寿医療制度については、これまで子である世帯主が 負担してきた保険料を、75歳以上の者がその年金から負担しなければならないこと等が批判されている。
  • さらに、社会的なセフティネット(産科医療、難病対策、子育て対策等)への不安から子供を産むことを躊躇する傾向があることも指摘され、家族の絆の劣化が懸念されている。

  ○緊急対策(別紙「施策メニューⅠの1」参照)
例えば、75歳以上健康保険料の無料化、医師、看護師不足対策、子育て支援策の拡充、難病対策を実施するなど、家族の絆を強化する方向で、社会保障政策を緊急に見直す。

2「地域の絆」の再構築により日本を再生 別紙:施策メニューはこちら
 美しい農・山・漁村の存在は、日本人の心のよりどころであるとともに、例えば昭和恐慌時には、失業者を吸収する重要なセフティネットとして機能するなど、わが国の大きな強みであった。しかしながら今、地方自治体や農・山・漁村の疲弊は著しい。我々は、地域の絆を再構築するための政策を総動員することにより、日本の再生に資することを提言する。

(1)「元気な地方」の実現

  ○問題の所在

  • 「地域の絆」の担い手が失われ、「ご近所力」が劣化。いわゆる「限界集落」の問題も顕在化。
  • 地方自治体の財政が危機に瀕し、地域の疲弊を加速。
  • さらに、必要な災害対策など当たり前の生活インフラする整備できない自治体も続出。

  ○緊急対策

  • 「ご近所」の位置づけの明確化 
    「コミュニティ活動基本法案」(議員立法)を早期に制定し、自治会、町内会等の自主性を損なわない形で、これを支援すべき。
  • 地方の創意工夫の促進と地方財政への抜本的テコ入れ  別紙「施策メニューⅡの1」参照
  • 地方における生活インフラの緊急整備 財政難等により、打ち遣られてきた生活インフラ等の社会資本を追加的に緊急に整備し、あわせて、
    地方における雇用の創出し、政策効果を高めるためのキメ細かな施策を実施すべき(別紙「施策メニューⅡの2及び3」参照)。

(2)農・山・漁村の再生

  ○問題の所在
今、農・山・漁村の疲弊は特に著しく、田園はまさに蕪れようとしている。そして、帰るべきふるさとを持たない日本人は、「根無し草(デラシネ)」化し、将来への不安をつのらせている。

  ○緊急対策
民主党は、コストのみを補償することとしているが、我々は、「儲かる農林水産業」を実現、農・山・漁村の賑わいを取り戻すことを提言。
例えば (所得の確保)水田フル活用対策、生産調整協力金大幅増額、価格安定対策等 (農地を守る)農地の貸し手を支援、耕作放棄地対策の強化等 (負担を軽減)農家の負債対策、農業機械更新補助対策等 (後継者を支援)雇用・新規就農対策等 などの施策を展開すべき。(さらに具体的施策例は別紙「施策メニューⅡの4」参照。)

3「雇用を守る社会」の再構築により日本を再生 別紙:施策メニューはこちら
宮澤元首相は、かつて、戦後の日米独の経済金融政策の目標について、「ドイツ=(ハイパーインフレの経験から)インフレ阻止、米国=(大恐慌の経験から)株価暴落阻止、日本=雇用不安の阻止」と評した。わが国の完全失業率は、1月現在で4.4%と、先進国の中ではなお低いものの、経済環境の悪化でその底割れが懸念されるため、以下の緊急対策の実施を提言する。

(1)企業に対する緊急対策

  ○問題の所在

  • 一部大企業を中心に見られる非正規雇用等のカット、内定取り消し等の動きが、雇用不安を増幅。
  • 多くの中小企業を中心に、経営者が血の汗を流して雇用を確保しているからこそ、現在、失業率が4%台に止まっているが、経済・経営環境の悪化でその底割れが懸念される。

  ○緊急対策(別紙「施策メニューⅢの1」参照)

  • 特に大企業に対し、政府・与党として、痛みを分かち合いながら、雇用の維持に全力を尽くすよう強く要請すべき。
  • 雇用を守る担い手である中小企業を緊急に支援するとともに、雇用調整助成金等のセフティネットを大幅に拡充すべき。

(2)経済構造の急激な変化に対応した緊急対策

  ○問題の所在

  • 経済構造が急激に変化し、製造業が急激な落ち込みを見せる一方、そこから放出された労働者が、にわかには他の業種(社会福祉等)に転身できないという問題(雇用のミスマッチ)。
  • 雇用の絶対量の急激な縮小が、大きな社会不安を招いている。

  ○緊急対策(別紙「施策メニューⅢの2」参照)

  • 例えば、職業能力訓練に対する補助の対象・金額等を抜本的に拡充するなど、緊急に雇用のミスマッチを解消すべき。
  • 地方における事業・未来への投資事業等を行うに当たっては、地域における雇用の確保に最大限配慮すべき。

4「未来を先取りする社会」の再構築により日本を再生 別紙:施策メニューはこちら
日本資本主義の父渋沢栄一氏が特に重視した「進取の気性」、すなわち、「未来を先取りする力」は、わが国発展の原動力であり、実際、わが国の企業は、バブル崩壊以前は、単年度業績重視の米国企業に比し、未来への投資を重視する傾向があるといわれてきた。しかし、グローバル化の進展等により企業の経営行動が全世界的に平準化しつつある今、未来を先取りするわが国の経済社会を再構築するためには、一時的にせよ、緊急に、パブリックセクターの役割を拡大させることが不可欠であり、以下の緊急対策を提言する。

  ○緊急対策(別紙「施策メニューⅣ」参照)

  • 例えば、「未来創生事業(仮称)」をシーリング外で実施し、パブリックセクターが、環境・科学技術立国の実現と成長力・国際競争力強化のための基盤構築の役割を担うべき。
    ~具体的には、地球環境、フロンティア(海洋・宇宙・都市再開発)、国際競争力強化(人流・物流・ネットワーク)、基礎研究等への公共投資を抜本的に拡充する。
  • 民間の活力・創造力の発揮を誘導
    ~例えば、太陽光発電の推進のため、その買い取りを充実させたり、ガソリンスタンドなど民間企業の環境対応を支援するなど民間の活力・創造力が最大限発揮されるような誘導策を実施すべき。

施策メニュー

Ⅰ家族の絆再構築

Ⅱ「地域の絆」の再構築と日本再生

Ⅲ雇用創出に資する施策

Ⅳ「未来を先取りする社会」の再構築

 

Ⅰ「家族の絆」の再構築

 

1.「家族の絆」を強め連携、共助を培う社会保障制度の構築(1兆円+α)
国民生活の安心を確保し十分なセーフティネットをナショナルミニマムとして提供することは国の責務である。持続可能な社会保障制度の構築に向け、以下の施策を推進する。

  • 社会保障ICカードの早期導入  ・後期高齢者医療制度の抜本的見直し(75歳以上の保険料無料化、高所得者を除く)  ・健康増進支援と幼稚園・保育無料化の支援
  • 65歳定年制の促進と元気で生きがいを持って働ける環境整備  ・乳幼児・児童の医療支援と少子化対策の推進
  • 地域医療提供体制の強化と公的医療機関に対する支援強化  ・医師不足への対応と看護師等関連人材の育成・充実
  • 介護支援の強化と介護関連人材の育成・難病対策、被爆者支援等の一層の強化
  • IPS支援の強化と最先端医療技術の開発推進  ・船員保険等の雇用調整助成対象化と雇用保険事業の充実  ・雇用調整助成措置の拡大及び手続の簡素化・迅速化

2.その他「家族の絆」を強めるための緊急対策

  • 住宅建設支援と二世代住宅の推進(贈与税大幅減免を含む)  ・三世代同居住宅・省エネ住宅に対する無税枠拡大
  • 省エネ自動車・孫の教育費等に対する無税枠創設  ・上記を支えるための住宅ローン債務保証の大幅充実・強化

Ⅱ「地域の絆」の再構築と日本再生

1.元気な地方を実現するための施策(6兆円)
「地域再生」なくして「日本再生」はあり得ない。元気な地方を実現し日本経済の底上げを図るため以下の施策を実施するものとする。

(1)地方の創意・工夫を生かし、発展させるための施策(1兆円)

  • 地方特性に応じた観光・文化振興と地域資源顕在化のための支援の強化  ・「ポスト工配法」(新産・工特等実施した工業再配置法)の策定と商業集積の活性化
  • 地域活力支援補助金の一括交付金化と地域再生交付金  ・まちづくり交付金の大幅増額・安心・安全のまちづくり防災ボランティアの普及推進

(2)疲弊した地方財政の立て直し・地方のための施策の強力な推進(5兆円-α)地方経済は疲弊しており、低迷する地方経済を反映し地方財政も逼迫している。「元気な地方」を実現し経済全体の底上げを図るため、以下の施策を講ずるものとする。

  • 臨時地方財政対策の追加的実施  ・直轄事業負担金の特例的減免  ・特例加算による臨時地方財政措置の緊急的実施
  • 辺地財政対策の強化と郡部島嶼部を含む格差是正措置の実施  ・公営企業、公的病院経営に対する支援強化
  • 地方の自主性を高めるための地方への税財源委譲の推進  ・e-ジャパン計画の前倒し実施とデジタルディバイドの解消(学校TVのデジタル化を含む)
  • 「コミュニティ活動基本法案」の早期制定

 

2.社会資本整備の追加的緊急的実施(毎年10兆円規模の社会資本整備を3年間継続、21年度は5兆円規模の真水、 22年度以降も継続)
1兆円の緊急経済危機対応枠を早期に公共事業を中心に箇所附けするとともに、日本の底力を発揮するため戦略的・重点的社会資本整備の追加を行うものとする。

  • ネットワーク効果発揮のための道路整備
  • 中枢港湾、産業港湾等人流・物流基盤強化の推進
  • 大型都市再生プロジェクトと地方の優良な都市開発・基盤整備事業への資金支援
  • 防災対策の実施と防災公園の整備・ストック充実、老旧化施設・インフラ更新等・整備新幹線残区間の早期完成と地元負担軽減
  • 住宅建設支援と二世帯住宅の推進(贈与税減免を含む)

 

3.公共事業に密接に関連するキメの細かい諸施策の実施(2兆円)
上記2.の社会インフラの整備に関連し、ハード面を補完しトータルとしての政策効果を高めるため以下のキメ細かい諸施策を実施するものとする。

  • 高速道路の割引要件の緩和と地方高速道路割引制度の導入
  • 離島航路支援の強化、バス・トラック事業支援、内航海運支援など人流・物流促進と経済活性化に資する施策の推進
  • 高速道路料金引下げ効果の一層の浸透を図るための自転車・原付等通行料金無料化、高速道路料金引下げにより影響を受ける旅客船等支援策の実施
  • その他社会的基盤整備の効果を十全に発揮させるための施策の実施など

 

4.農林水産業の再生(1兆円)
我が国第1次産業を担う農林水産業従事者に対する支援を更に強化すると共に担い手育成のための以下の諸施策を実施する。

  • 農業所得確保のための水田フル活用対策、価格安定対策等の実施  ・農地を守るための貸し手支援、耕作放棄地対策等の強化等
  • 担い手支援(特に負債対策、金融支援)  ・担い手育成の強化と意欲のある者の参入促進  ・地産地消の推進と食糧自給率の向上
  • 農林水産品の高付加価値化  ・ブランド化の推進と販路拡大支援  ・構造改善事業の一層の推進と国際競争力の強化等
  • 酪農・畜産対策の効果的実施等  ・森林・林業政策等の「緑の社会資本整備」の推進
  • 伐採・搬出・利用の一貫した取組による間伐材のフル活用の推進(製材、バイオマス発電、農業用資材等の利活用を含む)

Ⅲ.雇用創出に資する施策

国民の雇用を確保することが当面の最重要課題である。雇用創出に寄与し日本経済の体質強化に資する以下の施策を可及的早やかに行うものとする。

1.企業に対する緊急対策(10兆円)
我が国経済と雇用を支える企業に対し、雇用不安の阻止を最優先課題とするよう緊急要請するとともに必要な施策を緊急かつ強力に展開するものとする。

  • 特に大企業に対し、雇用維持を強く要請・困難業種に対する緊急融資の実施・緊急保証枠の拡大とセーフティネット貸付の拡充
  • 貸付条件変更への弾力的対応と条件変更後のニューマネー供与の推進・業種転換支援の充実と中小企業金融・財政措置の強化
  • 政策金利の一層の引下げと担保微求等貸付要件の大幅緩和・人材支援・経営支援等キメ細かい支援の充実・強化等

 

2.経済構造変化に対応した緊急対策(約1兆円の内数)

  • 職業能力訓練に対する補助の対象・金額等を抜本拡充
  • 地方における事業・未来への投資事業等を行うに当たっての雇用配慮
  • 船員保険等の雇用調整助成対象化と雇用保険事業の充実
  • 雇用調整助成措置の拡大及び手続の簡素化・迅速化

Ⅳ.「未来を先取りする社会」の再構築

「環境・科学技術立国日本」の実現と成長力発揮のための基盤構築(1兆円)
京都議定書に沿い地球高温化に対処し低炭素社会の実現を目指すとともにグリーンニューディール施策を推進すると同時に、日本の将来の成長力発揮を確たるものとするための基盤強化の施策を実行する。
京都議定書数値目標の達成を目指すとともに、グリーンニューディール施策を強力に推進し「環境先進国ニッポン」を実現する。

  • 環境対応、省エネ・新エネ対策に対する政策支援措置の大幅な強化
  • ロボット・畜電池最先端技術振興と次世代自動車の推進、ガソリンスタンドの環境対応支援の抜本的強化(タンクの二重殻化等)
  • マルチモーダルシフト(人と自然と環境に優しい交通手段へのシフト)の推進(フリーゲージトレイン導入を含む)と物流グリーン化の実現
  • コンパクトシティの推進と職住接近の実現・人と自然にやさしいまちづくりの推進と自然再生事業の強化・世界最先端の船舶、工場、家庭等省エネ技術の開発・普及
  • 「ゴミゼロ作戦」の展開と地域廃棄物処理の適正化推進・太陽光発電の推進と宇宙太陽光発電の技術基盤の確立・宇宙開発・利用の推進・リニアモーターカーの推進
  • 都市再生とICT化の加速・レーザー核融合・重粒子線治療等を含む原子力平和利用の推進
  • 第3次科学技術振興計画額の完全実施と第4次科学技術振興計画(H.23~)の推進・水不足への対応強化(ウォーターニューディールの推進)

※財源については、所謂 埋蔵金5兆円、建設国債7兆円、赤字国債13兆円を目途とする。