米国出張報告(2000.10.26)

米国出張報告

平成12年10月26日
衆議院議員 山本幸三

 本年(2000年)9月4日から14日まで渡米し、大統領選真最中のワシントン・ニューヨーク・ボストンで色々な人達と会ってきました。
 主に、ブッシュ候補、ゴア候補のそれぞれのアドバイザーに会い、新政権の政策の方向、人事の見通し等について聞いてきました。 今や大統領選も終盤。この時の見通しが当たるのかどうか興味津々です。 
最後にMITの利根川進教授と日本の教育について 意見交換もして参りました。 何らかの参考になれば幸いです。

ロバート・ローレンス/経済諮問会議(CEA)委員

  1.  IT革命とは、技術だけではなく、組織力とか経営力とかを含む総合的な内容を含む。

  2. 特に、資金調達面の強さが重要。また、米国のシステムがオープンで多くの外国人が活躍できることが重要。(注:ローレンス氏自身は南アフリカ出身)

  3. IT革命で生産性が向上したことは事実であるが、この点については、循環的なものか、一部に限られるのか議論が分かれている。CEAとCEは、積極的に評価する立場である。

  4. 日銀のゼロ金利解除は問題がある。 FRBは、インフレ・ターゲットというものは持ってはいないが、金利だけでなく、経済成長にも、常に注意を払っている。

  5. 大統領選では、民主党に有利な情勢がある。 犯罪率は下がっているし、福祉水準は向上している。また、楽観主義が行き渡っている。ただ、貿易面では、日本にとって、少しうるさくなるかも知れない。

トム・エバンス/元下院議員(共)、ブッシュ・アドバイザー

  1. 大統領選では、共和党にとって厳しい状況になりつつある。カリフォルニア、ニューヨーク、ミシガン、イリノイ、オハイオ、ペンシルヴェニアでも不利になってきた。

  2. 何かアドバイスはないかと言われ、「ブッシュ候補は環境政策について早く語るべきだ。」と言っているが、    ブッシュ陣営は取り入れてくれていない。

  3. ゴア候補が指名演説後、奥さんと4秒間近くの長いキスをしたのが効いている。妊娠中絶にブッシュが反対、ゴアが賛成と言うもの、女性票がゴアに行っている。

  4. 副大統領候補のリーバーマンは、大衆の中に入って演説するのが上手いのに対し、チェイニーはこういうのが  不得手だ。チェイニーは人と打ちとけるのが難しい。

  5. 我々は、今や次を考えている。今回の大統領はどちらがなっても一期限りだ。何故なら、米国経済は、いずれ下降するだろうから。ならば、今回は譲って、次を確実にするという考え方もある。その最有力候補は、ネブラスカ州上院議員のチャック・ヘイゴー氏(51才)だ。

マイケル・グリーン/ブルッキングス研究所研究員

  1. 米経済は非常に良好で、日本を脅威に感じることがなくなった。

  2. サマーズやバーガーは、「日本は、もはや自分自身で改革を果たすことが出来ない国だ。」と思っている。

  3. 国務省にとって重要なのは、日本でなく中国の方だ。

  4. リーバーマン副大統領候補は穏健で日本についても詳しい。

  5. 国務長官候補のホルブルックは、佐藤行雄国連大使と特に親しい。

  6. USTRは次席のフィッシャーの昇格が考えられるが、彼は日本には厳しい。NTT問題には大きな不満を持っている。

  7. 共和党はバランス・オブ・パワーで物を考えるので分かり易いだろう。日本には集団的自衛権とこれを可能とする憲法改正を望むだろう。有事法制もPKOについても要求するだろう。経済面では、NEC(国家経済会議)は廃止するだろう。

  8. TMDは湾岸戦争から出てきたが、民主・共和党派を超えて支持がある。

  9. NMDは共和党が熱心。かつてのスター・ウォーズ計画が宇宙空間での話だったが、NMDは大陸ベースということが違う。今は発射水際でたたくBPI(Brock Phase Intercept)というものが話題になりつつある。

  10. 沖縄米軍の移動は現実問題として難しい。中間策として、もっと多くの訓練は外でやろうということはありうる。しかし、基地は沖縄にというのは動かせない。縮小するとすれば、もっと大きな戦略、構造的問題として考えていかねばならない。

  11. 最悪のシナリオは、日本が米海兵隊の移動を余りに強く主張することによって、日米同盟にひび割れを起こすことである。

アダム・ポーセン/国際経済研究所研究員

  1. ブッシュは、大幅な減税と社会保障に短期に全てを注ぎ込もうとしているので、多分、レーガノミックスの再現になるだろう。その結果、金利が上昇、ドル高になるだろう。

  2. ゴアは貿易問題を良く知らない。米国の利己主義が目につくようになるだろう。

  3. FRBは、経済成長に強い関心を持っている。全体が良くなっているので、通貨の量の問題は余り気にする必要がなくなっている。

  4. 米国は、初等教育はダメだが高等教育は優れている。長い眼でみると問題。

  5. ニュー・エコノミーと言われているが、専門の経済学者は懐疑的ではないか。

アラン・ブラインダー/プリンストン大学教授、ゴア・アドバイザー

1. ゴア候補が少しリードしている。リーバーマン氏の選択も成功だった。長いキスも効果的だった。