第31話:北九州検証 ~重厚長大型の北九州市とサービス型の福岡市~

 

幸ちゃん物語 第31話 (北九州地域再活性化私案編)

北九州検証

~重厚長大型の北九州市とサービス型の福岡市~

次に、産業構造の面で北九州市と福岡市を比較してみよう。

北九州市は、第二次産業の比率が高く生産高で約4割に達しているのに対し福岡市は1割強に過ぎない。他方、第三次産業は北九州市が生産高が約6割に対し福岡市では9割弱と極めて対照的になっている。

工業生産高は、北九州市が福岡市の3・5倍と優位にある。逆に卸売業年間販売額でみると福岡市が北九州市の約6倍、小売業年間販売額では福岡市が北九州市の約1・4倍となっている。つまり、北九州市は工業部門偏重、福岡市は商業部門優先と、はっきり色分けされているのである。
 
ところで、それでは北九州市の工業部門が順調に発展しているかというと、実はそうではない。鉄鋼の全国で占める比率はこの10年足らずで半減しており、鉄鋼にかぎらず全業種でこの傾向が進んでいる。
 
その原因は、北九州市では製造業のなかでも鉄鋼、化学などの素材型産業一辺倒であるために、ほかの工業地帯で加工組立や生活関連型の工業が発達しているときに、その産業の幅を広げようとする時代の波に取り残されたのである。北九州市は今日の経済のソフト化・サービス化といった構造変化に対応しきれなかったばかりでなく、中心産業である工業のなかでさえ発展する分野に乗り切れなかったといえる。