平成29年4月10日決算行政監査委員会第一分科会

 

193-衆-決算行政監視委員会第一…-1号 平成29年04月10日

○後藤田主査 これより決算行政監視委員会第一分科会を開会いたします。

(略)

○後藤田主査 次に、内閣府所管中内閣本府及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。

質疑の申し出がありますので、これを許します。玉木雄一郎君。

 

玉木分科員 玉木雄一郎です。

先ほども同僚議員の今井雅人議員とのやりとりを聞いていまして、今回、学校法人森友学園への国有地

の売却の問題について、なぜこれほど時間がかかって、そして時間をかけてもすっきりしない、国民の多

くも納得しないと言っている一つの理由は、やはり情報が適正に出てこないことではないかと思います。

特に、折衝記録、先ほどもありました政治家等とのそうした折衝記録について、もう破棄されていて、ない

ということが極めて不信感を招いているんだと思っています。

役所の皆さんもそれなりにきちんと説明の努力をされようとしているのはよくわかりますが、ただ、一方

で、例えば籠池前理事長はいろいろな資料を出している、大阪府も調査をして資料を出している、そうい

う中で、国、特に財務省や国土交通省が一切出さないということのこの外形的な事実をもって、何かやは

り国の方がおかしいのではないのかということにある種追い込まれつつあることは、私も非常にこれは残

念なことだと思います。

きょう、決算行政監視委員会ですので、実は、公文書管理委員会の委員長代理の三宅弘先生にお越し

をいただいてお話をしてもらおうということで、これは我が方の野党筆頭理事から後藤田与党筆頭理事に

もお願いして、できるのかなと思ったら、何か大きな力が働いてこれができなくなったやに伺っております。

詳細、背景は知りませんけれども、いずれにしても、きょうお越しをいただくことはできなかった。

実は、この三宅委員長代理については、私、連絡をしてお話をしたら、喜んで行って話をしますと御本人

から快諾も得ていたので、民間人の方ですから、いきなり呼ぶのはどうかと思って内々聞いておったら

、自分としては、長く公文書にかかわってきたので、国会でもしお呼びいただければ、自分の考えはきち

んと述べますということを言って、了解を得ていたのに、きょうそれが実現できなかったことはまず残念で

あります。

最初に伺います。

これは、某テレビ番組のインタビューの中で、三宅代理はこのようにおっしゃっています、今回の件に

て。当然、八億円も下げたら会計検査院の対象になることはもうわかり切っているじゃないですか、最低

五年は保存しなきゃいけないということはみんなわからないといけないですよね、それが一年未満の文書

だから廃棄できましたって国会でしゃあしゃあと言っているというところは、先ほど言ったおごりと欺瞞だと

私は思いましたね、税金の使い道についてはきっちり国民に知らせなきゃいけないという発想が、今の役

人の中に、はっきりした意識がないんじゃないかなと思うんですよね、このようにテレビのインタビューで

おっしゃっています。

テレビのインタビューだけ取り上げるのもなんなので、お越しいただいて直接思いを話していただけませ

んかと言ったら、オーケーをいただいたのに、それが実現できなかったことは非常に残念であります。

そこで、伺います。三宅委員長代理は、今、資料をお手元にも配っていますが、資料の二ページ目のとこ

ろにその文字起こしが書いてありますけれども、このようにいろいろおっしゃっていますが、これは政府と

しても同じような考えでいらっしゃいますか、あるいは、これは三宅代理の勝手な意見だということなの

か、政府としてのお考えをお聞かせください。

 

○田中政府参考人 お答え申し上げます。

三宅氏の御発言については、公文書管理に関する有識者としての御見解であって、公文書管理委員会

を代表して述べられたものではないと認識しており、それに対して内閣府としてコメントすることは差し控

えたいと存じます。

 

○玉木分科員 冷たいですね。皆さんがお願いしている有識者の、しかも委員長代理ですよね。その方

がおっしゃっている言葉はやはりもっと真摯に受けとめるべきだと思いますよ。

こうもおっしゃっていますね。意思形成過程の文書をちゃんと残そうという認識が政府全体で欠けている

と思いますと。私もそう思いますね。その後、厳しいことをおっしゃっていますよ。はっきり言って、理財局

長なんかは首飛ぶ問題だと思いますよ、僕はということもおっしゃっているんですね。

そこで、資料の一をごらんください。これは、先般四月三日の衆議院決算行政監視委員会の議事録であ

りますけれども、この指摘をされた佐川局長がこのようにおっしゃっています。行政文書は、紙もパソコン

上のデータも同様の取り扱いにしてございます。それはそのとおりだと思いますね。次です。このパソコン

上のデータ、短期間でそこは自動的に消去されて復元できないようなシステムになってございますので、

そういう意味では、パソコン上にもそういうやりとりみたいなデータは残っていないと。

これも私、聞いていたんですけれども、衝撃だったのは、財務省では、つくったデータが短期間で自動的

に消去されて復元できないようなシステムになっているんでしょうか。少なくとも私が在籍したときにはそ

のようなシステムはなかったと承知していますが、この事実関係はいかがでしょうか。自動的に消去され

るんでしょうか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

委員お触れになりました四月三日の理財局長の衆議院決算行政監視委員会での答弁でございますけれ

ども、事前の通告がございません中で質問をいただき、紙は不要になれば処理していて、その電子デー

タも文書管理規則にのっとり同様に消去しており、その後、一定期間経過すれば自動的に消去され復元

できなくなるという趣旨を答弁したものでございまして、そういうシステムがあるかというお問い合わせに

つきましては、ないということでございます。

 

○玉木分科員 ちょっとよくわからなかったんですけれども、自動的に消去されるんですか、やはり。

 

○中尾政府参考人 理財局長も私も答弁申し上げている意味をもう一回丁寧に御説明いたしますと、紙

は不要になれば処理をします。それから、電子データも文書管理規則にのっとり同様に消去をいたしてお

ります。その消去いたしましたものを、その後、一定期間経過すれば自動的に消去され復元できなくなる

ということになっております。

 

○玉木分科員 ちょっとよくわからなかったんですが、復元されなくなることが、自動的に復元されなくなる

という趣旨なんですか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

電子データにつきまして、削除、消去を行わないとまず削除、消去はされない。削除、消去されたものに

つきまして、一定期間経過すると自動的に消去されて復元できなくなるという仕組みになっております。

 

○玉木分科員 わかりにくいんですけれども、消さない限り消えないんですね。消したものがある一定期間

が来れば復元できなくなるという意味で、自動的に復元できなくなるということなんですか。私が説明して

もなんなんですけれども、そういうことなんですね。

つまり、自動的には消えないけれども、消したものが復元されなくなるのは、自動的に復元されなくなる、

そういうことですか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

まず、サーバーなりデスクトップで削除いたします。削除いたしまして、パソコン上のものであると、フォル

ダーを空にするかというのを、まずは削除して、削除が行われます。それについては、十四日間程度と承

知しておりますけれども、二週間程度経過した後には復元できない、そういうシステムになっておるという

ことを御説明しております。

 

○玉木分科員 削除した後、逆に言うと、二週間程度は復元可能だけれども、削除した後二週間たったら

自動的に削除が、できなくなるということで答弁されたんですね。私が解説するのも変なんですけれども、

そういうことですね。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

削除を一旦いたします。削除しない限り自動的な削除はございません。削除をいたしまして、それが十四

日間程度経過するとそれを復元できなくなるということでございます。

○玉木分科員 明確な答弁をお願いしたいと思います。

そしたら、一つ明らかになりました。データであっても、意図的に削除しない限りは削除されないわけです

ね。そういうことですね。自動的にどんどんどんどん消えていくわけじゃない。これは当たり前だと思いま

すけれども、そういうことですね。

よく問題になる、平成二十七年九月四日、近畿財務局で近畿財務局、大阪航空局、そしてキアラ設計、

中道組が集まってこの埋設物の除去費用なんかについて議論したということは、これは、佐川局長が委

員長の求めに応じて答える形で国会でもお答えになっておりますが、このやりとりの交渉記録、これを出

してほしいということを何度もお願いしていますけれども、これはもう消去して、紙もデータもないということ

なんでしょうか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

二十七年九月当時につきましては、従前から御説明しておりますとおり、貸付契約上、有益費として償還

することとされておりますものを、近畿財務局、大阪航空局、関係業者との間で会議が行われておったも

のと承知いたしておりますけれども、面会の記録は残っておらないということでございます。

 

 

○玉木分科員 面会の記録が残っていないというのは、何度も申し上げますけれども、にわかには信じが

たいんですね。ただ、もうこれは削除されている、紙はシュレッダーにかけるか燃やしたかということなん

でしょうけれども。

では、逆に伺いますが、先ほど一番最初に聞いた、電子データは意図的に消さない限り消えないというこ

とであれば、この面会記録の電子データはいつ削除しましたか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

保存期間一年未満の文書につきましては、これも何度も御答弁申し上げておりますとおり、廃棄簿も作成

をいたしませんので、具体的な廃棄時期を特定することは困難でございます。

ただ、この件も含めて、この件であれば有益費の支払いということがございますので、そこのいわば有益

費の方のちゃんとした決裁文書とか、そういうところに行政の意思としては集約されておるということでご

ざいます。

 

○玉木分科員 いや、いつ廃棄されたんですか。これは、法律上よりも、今これは非常に問題になってい

ますから、破棄したのであれば、事案終了というのは多分、六月二十日の契約を結んだときだと思いま

すけれども、その後、では速やかに削除したのか、いつ削除したのかということは確認されていますか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

有益費の支払いにつきましては、平成二十八年四月の支払いでございます。

それから、六月二十日の売買契約の終了をもって保存期限終了という扱いにつきまして、具体的にいつ

廃棄したか、事後的に確認はできませんけれども、シュレッダーとか業者による溶解という作業がござい

まして、シュレッダーにつきましては、保存期間終了後速やかに実施をしております。また、業者による溶

解でございますけれども、近畿財務局においては、庁舎内の廃棄庫がいっぱいになった時点で業者に依

頼をしておりまして、二十八年当時で申し上げれば、六月、七月、八月、十月に業者による溶解処理を

行っておるところでございます。

 

○玉木分科員 データの削除をしたら、システム上、いつ削除したかは削除ログが残ります。それを提出

いただけませんか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

ちょっと御質問、御通告もいただいておりませんで即座に即答いたしかねますけれども、いずれにしても、

そういう、行政文書かどうかも含めて、ちょっと自信がないところでございます。

 

○玉木分科員 本来あるべきものだと思うんですね。ただ、それを削除したと言うんだったら、いつ削除し

たのかはきちんとやはり説明する責任があると思いますね。

では、もう一つ伺います。

公文書管理法の八条の二項に、保存期間が満了した行政文書ファイル等を破棄しようとするときは、あ

らかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならないとなっていますね。これは、非常に大

事な文書をいろいろ行政ではつくります。それで破棄をしていきます。ただ、破棄するときには、内閣総理

大臣に事前協議して、その同意を得なければならないとなっていますけれども、この今破棄されたという

文書は内閣総理大臣の協議、同意をとっていますか。

 

○中尾政府参考人 お答えいたします。

いわゆる保存期間一年未満の御指摘の面会記録の類いにつきましては、内閣総理大臣との協議が必

要な歴史的公文書には該当しないということで、協議をいたしておりません。

 

○玉木分科員 これは不思議なんですね。

平成十三年三月三十日の各府省庁文書課長申し合わせというのがありますね。今おっしゃった、歴史資

料として重要な公文書等として適当な文書類型というのが幾つか示されています。その中に、分類区分、

予算・決算関係の(8)国有財産に関する文書ということが、歴史資料として重要な公文書等の例示として

挙げられています。

私、今回、もちろん一年未満であればそういった協議の対象から外れるということも承知をしておるんで

すが、国有財産に関するまさに関連文書について、それを一年未満の保存期間にすることそのものに極

めて行政の恣意性を感じるんです。

お配りしている資料の三ページ、四ページを見ていただきたいんですが、これは財務省の文書管理規則

なんですが、別表第一、行政文書の保存期間基準が定められています。その中の備考というのがあっ

て、ばあっと書いてあって、一番最後の六のところに、本表が適用されない行政文書については、文書管

理者は、本表の規定を参酌し、いろいろ内容等に応じた保存期間基準を定めるものとするとなっています

ね。それに基づいて、次の、財務省文書管理規則細則とありまして、これが定めているわけですけれど

も、第六条で、管理規則別表第一備考第六、保存期間は、三十年、十年、五年、三年、一年、一年未満

のいずれかの期間とする、二項で、前項の場合において、歴史文書等に該当しない行政文書の保存期

間は一年未満とするということで、一年未満にできると確かになっていますが、先ほど申し上げたように、

平成十三年、これはまた平成十七年に改定されていますけれども、歴史文書という中に、まさに国有財

産に関する文書は歴史文書として適当な文書類型に挙げられているんですね。かつ、加えて、財務省の

この文書管理規則の細則のただし書きです。職務遂行上の必要性により一年以上の保存を必要とする

場合は、当該必要性に応じた保存期間とすることができるとなっていますね。これは、今まさにこういう問

題が国有財産の処分に関して言われているわけです。

財政法九条、何度も出しますけれども、国の財産は、適正な対価をもって譲渡または貸し付けなければ

ならない。そのことが疑われているときに、行政として説明ができない事態に陥っていること、こういうこと

を防ぐために、きちんとした保存期間を定めようということなのであります。それが、誰が設定したか知り

ませんけれども、一年未満に指定したことによって、内閣総理大臣との協議や同意の手続からも外れ、

そしてこうして国会で聞かれても、それを合理的に説明することができない。私、このことに非常に問題が

あると思うんですね。

南スーダンの日報もそうでありました。その後、参考でページ五につけていますけれども、同じようなんで

すね。これは防衛省の文書管理規則があって、また備考です。備考の六に、上記以外で、随時発生し、

短期に目的を終えるもの、これは一年未満とするとなっていますね。こう指定すると、先ほど申し上げた

ような、内閣総理大臣協議とか同意の手続からこれも外れていく。

つまり、一年以上になると文書というのはかなり厳格に管理される、簡単に破棄ができないようになるん

ですけれども、一年未満になった瞬間に物すごく簡単に破棄できる。その一年未満にするのを、では誰が

決めるのかというと、各行政のそれぞれの担当者が、ある意味恣意的に決めるということになっているわ

けであります。

山本大臣は公文書管理の担当大臣でもあるので、これは南スーダンのときもいろいろ議論させていただ

きましたけれども、今回の国有財産の処分についても、山本大臣も私もそうですけれども、親元の財務省

の説明は財務省らしくないんですよ。もっとぴしっと何でも説明できるはずです。ただ、それが、文書を破

棄した、ありませんということで、何か回りくどい説明ばかりするから、ある意味、疑念、疑惑ばかりが高

まっていっていると思うんですね。

ですから、この行政文書、とりわけ一年未満の保存期間になっているものについては、各省横断的に一

度しっかり見直して、どのような人が一年未満にできるのかということについては、一度きちんと検証した

上で新しいルールを、私は、これは見直ししていくべきだと思うんですけれども、これは通告がないんです

が、感想はいかがですか。

○山本(幸)国務大臣 公文書管理法施行令におきましては、歴史資料として重要な公文書等につ

いては一年以上の保存期間を設定することとされております。一年未満の保存期間文書は、少なく

ともこれには該当しないということになるわけであります。

歴史資料として重要な公文書等か否かの判断に関しましては、内閣府に置かれた公文書管理委

員会が昨年の三月にまとめた公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書において、各

行政機関における判断を支援し、その質を向上させる仕組みについて検討すべきとの御指摘をい

ただいているところであります。また、今回の委員の御指摘のようなこともございます。

 したがいまして、私としても、各府省庁における公文書管理の質を高めるための不断の取り組み

を進めていくことが重要であると認識しておりますし、そのため、行政文書の管理に関するガイドラ

インを今年度中に見直すと同時に、各府省の職員の公文書管理に対する意識を高めるための研

修の充実等を着実に進めてまいりたいと思っております。

 

○玉木分科員 ぜひその見直しを行ってもらいたいと思うんですね。

私、この通常国会の一つのある種教訓、これを成果にあえてつなげていくとすれば、この森友学園の問

題についても、こういうものに長く時間をかけてどうだという議論がありますが、南スーダンの問題のとき

も感じたのは、やはりこの公文書管理のあり方について、実は、きちんとしたルールがあれば、これほ

ど、こんな時間をかける必要はなかったと思うんです。

ですから、この通常国会の一つの教訓として、やはり公文書管理のあり方について、今おっしゃったよう

なガイドラインの見直しも含めてやっていただきたいし、先ほど大臣の発言の中にもあった公文書管理委

員会が、まさにこれはいろいろなことを決めていくんですが、その委員長代理が、やはりおかしいんじゃな

いのかということをおっしゃっているので、これはこの場では実現できませんでしたけれども、内閣委員会

かどこかで、一度、三宅委員長代理にお越しいただいて、私は、これは前向きな議論として、別に党派関

係なく、公文書のあり方、歴史に対して我々政治家も行政官もどう真摯に向き合って応えていくのかとい

うことが問われる問題だと思うので、この事案から少し、こういった高いレベルから、山本大臣のリーダー

シップでぜひ、公文書管理の問題については見直し、改善を図っていっていただきたいなと思っておりま

す。

次に、もう一つ、これは特区の話を聞きたいと思います。

山本大臣、まず、何度も同僚議員も質問をしていますが、例の加計学園の問題ですね。愛媛県今治市に

設置されようとしている、獣医学部が新設されるという話でありますけれども、いろいろなことが、プロセス

として見たときに、例えば公募の期間がすごく短い。そういう中で、本当に応募できる人がいたのかとか、

こういうことも、もう何度も他委員会でも議論になっておりますが、私、一つだけ、ちょっと別の観点から問

題提起をしたいのは、資料の中にもお配りしていると思いますけれども、資料の六なんです。これは、第

二十五回の国家戦略特区諮問会議における八田議員の発言であります。

何を言っているかというと、今回、もう獣医というのは基本的に、これは文科省からも農水省からも答えを

もらっていますが、数は足りているんだと。足りているんです。ただ、偏在がある、分野とか地域的な。な

ので、空白地域の四国に、ライフサイエンスとか新しい分野における獣医学部をつくることによって、足り

ているけれども、そこは特区で認める意味があるんだろうということで、この間、進めてきたと思うんです

ね。そこの、新しい分野の先端ライフサイエンス研究のところなんですが、こういうことをおっしゃっていま

すね。獣医学部の新設は、創薬プロセス等の先端ライフサイエンス研究では、実験動物として今まで大

体ネズミが使われてきたのですけれども、本当は猿とか豚とかの方が実際は有効なのです、これを扱う

のはやはり獣医学部でなければできない、そういう必要性が非常に高まっています、そういう研究のため

に獣医学部が必要だと。ということで、この新設の必要性を八田議員が言っていますね。

これは、八田議員が言っているだけではなくて、広島県・今治市の国家戦略の分科会への応募者提出資

料、ことしの一月十二日に出した中にも、ライフサイエンス分野の人材育成が必要だということで、豚とか

猿の実験動物を用いた創薬研究ということが書かれています。

これは私、ずっと動物愛護にかかわってきた立場からすると、ちょっと、おやというか、びっくりしたんです

ね。

環境省に伺いたいと思います。

スリーRの原則が動物実験にはあると思います。その一つのリプレースメント、この原則はどのような原

則ですか。

 

○正田政府参考人 お答え申し上げます。

今先生御指摘ございましたリプレースにつきましては、動物を使わない方法の活用という意味でございま

す。

 

○玉木分科員 もっと正確に答えてください。

 

○正田政府参考人 お答え申し上げます。

動物実験につきましては、科学上の必要性等がございますが、その際に、一方で実験動物の福祉という

観点がございます。

その中から、国際的な潮流といたしまして、スリーRの原則というものがございますが、その一つがリプ

レースメントというものでございまして、その実験におきまして、本当に動物を使う必要があるかどうか、こ

れを十分吟味するという意味で、動物を使わない方法の活用というものがうたわれているところでござい

ます。

 

○玉木分科員 あわせて、リプレースメントというのは、代替していく、どのように代替するかというと、動

物を使わないよう

に代替するとあわせて、意識や感覚のない低位の動物種あるいは試験管内の実験へ代替していこうと

いうことで、人に近いところからより遠いところに、実験するにしても、それを移していこうということなんで

す。それが、今回、新設しようとする獣医学部では、豚とか猿とかを実験動物に使う、そのことがライフサ

イエンスの新しい分野に貢献するんだということなんですが、これは今の国際的な動物愛護の流れに全

く逆行するものですよ。

こういうことを、大臣、特区で認める。まさに、豚や猿を実験動物に使うような獣医学部を新設するために

特区をつくるんですか。私はこれは動物愛護の観点からも問題だと思いますが、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣  我々人類が生命をつなぐ上で、動物を、植物にすることと同様に、人の健

康や福祉のために動物のとうとい犠牲を求めるのは、まさに人間の生の一面であると認識しており

ます。

 動物の生命はかけがえのないものでありますが、一方で、生命への畏敬の念を持ちつつ、治療

法の確立しない難病患者の方々に新たな医薬品や治療法を届けることができるのは、動物実験の

おかげでもあると思います。特に、再生医療などの先端ライフサイエンス研究には、身体の構造が

人と近似することから、猿や豚などの中型動物を用いた安全性の実証が重要となっております。

 また、今回の獣医学部の新設は、先端ライフサイエンス研究の推進を担う獣医師だけでなく、地

域の水際対策に必要な獣医師の養成も目指すこととしております。こうした新たな分野の思い切っ

た重点化は、カリキュラムや体制が確立した既存の学部では困難であり、学部の新設によることが

必要であると考えております。

 なお、八田議員は、地域からの提案を踏まえて昨年十一月の特区諮問会議で御発言になったも

のと考えております。限られた時間の中では言及できなかったものの、動物愛護の重要性も十分に

御認識であると承知しております。

 また、委員が、かつて特区の法案のときに議論されたことがございまして、そのときの委員の御

指摘を読ませていただきましたけれども、iPS細胞のときに、そういう動物実験をやることが日本で

できなくなって先生が海外に行っちゃうというような話を御指摘されて、特区でそうした革新的な医

療を行うのはまさにふさわしいのではないかというような御指摘をされていることも承知しておりま

す。

 

○玉木分科員 胚の実験のときにそれは申し上げましたけれども、これは動物実験ですよ。しかも、猿も

含めて、明示的に書かれていますね。これは私、やはり問題だと思うんです。

それで、伺いたいのは、非常にスピード感を持ってやったと思いますが、ただ、逆に言うと手続が非常に

粗かったなと思うんですが、このことを決めるときに、環境省と合い議をして、事前協議をしてきちんと決

めていますか。

環境省、この特区、こういう形でやることについて、事前協議を受けていますか。

 

○後藤田主査 申し合わせ時間が経過しております。簡潔にお願いいたします。

 

○正田政府参考人 お答え申し上げます。

本件につきましては、環境省におきましては協議を受けておるところではございません。

 

○玉木分科員 協議がないんですね。

私、大臣、ここは非常に大事な、国際的にも我が国の評価にもかかわるところなので、そういう意味でもこ

こはちょっと、大臣の所管では直接ないかもしれませんが、やはりこういった動物愛護の観点、アニマル

ウエルフェアの観点もしっかり考えた上で慎重に進めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わ

りたいと思います。

 

○後藤田主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。
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