平成29年1月26日 衆議院予算委員会

 

平成29年1月26日 衆議院予算委員会

○河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。
まず、再就職等監視委員会にお伺いをいたします。
今回の文科省の天下り問題の発覚のきっかけとなったのは何だったか、手短にお答えいただきたいと思います。

○塚田政府参考人 お答えいたします。
私ども監視委員会は、内閣人事局が四半期ごとに公表しております管理職員の再就職の届け出情報、その他、委員会が入手いたしますさまざまな情報を、鋭意監視を行っております。
そうした中、平成二十八年三月、当該再就職の届け出が公表され、その中に元文科省の高等教育局長が早稲田大学に再就職した旨の届け出が含まれておりました。
この公表情報をもとに、当委員会において、文科省に対しまして照会した上、関係者への聞き取り、あるいは証拠書類を精査した結果、文科省の人事課職員が元局長の情報を大学に提供し、また、元局長みずからが在職中に利害関係のある大学に求職活動をしていた疑い、そして、それらを人事課が隠蔽を図ろうとしていたことが認められたというものでございます。

○河野(太)委員 総理の指示で、内閣人事局がこの問題を調査するということになっていると思いますが、霞が関が霞が関の問題をただ調査しただけでは世の中の信頼は得られないわけで、この内閣人事局の調査に当然外部の目が入ると考えておりますが、山本大臣、それでよろしいでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 総理から、今回の事案はあってはならないことであって、したがって、国民の疑念を払拭するために、全省庁に対して徹底的に調査し、その結果を明らかにする必要があるということで、しっかり調査するよう、そして報告するよう、私に対して指示がございました。
 私としても、厳正かつ徹底的な調査を行いたいと思っておりまして、御指摘のように、外部の目もしっかり入るという形でやっていきたいと思っております。

○河野(太)委員 文科省が今調査をしていると思いますが、内閣人事局の調査に外部の目が入るという状況の中で、当然、文科省の調査にも外部の目が入るということでよろしいですね、松野大臣。

○松野国務大臣 まず、このたび、内閣府再就職等監視委員会の調査によりまして明らかになりました文部科学省における再就職に関する国家公務員法違反行為等につきまして、国民の皆様に、文部科学行政に対する信頼を著しく損ねたことを心からおわび申し上げる次第であります。
文部科学省としては、省として猛省し、省全体を挙げて信頼の回復に努めていく所存でございます。
御質問の再就職等問題に関する調査班でございますが、この調査班が行う調査については、国家公務員法第百六条の十八第二項の規定に基づきまして、再就職等監視委員会に対して調査方針や調査項目等の報告を逐次行うことが求められており、その中で公正中立性を確保することが可能であると考えておりますが、委員御指摘のとおり、より国民の信頼回復を図る観点から、公務員制度等の有識者、弁護士等に調査に関与していただくこととしたいと考えております。

○河野(太)委員 調査に関与では弱いんじゃないですか。泥棒に泥棒の見張りをさせても意味がないわけですから。
松野大臣、関与というのは何なんでしょうか。外部の目がきちんと調査をしなかったら、今、国民の信頼を得ることはできないんじゃないですか。

○松野国務大臣 先ほど申し上げました公務員制度の有識者、弁護士等の第三者の方に調査班の中に加わっていただく方がより公正性が担保できるのか、また、調査班に対する監視体制を新たにつくり、それを構成していただくことがより公正性が保てるかに関して、今後検討し、早急に結論を出したいと考えているところであります。

○河野(太)委員 調査班に入るどころか、調査班を外部の人材でやるのがいいに決まっているわけで、これは役所と相談してもよくなりません。きちっと大臣のリーダーシップでやっていただきたい、外部の目をしっかり入れて調査をしていただきたいと思います。
自民党が野党時代に、私は影の行政改革担当大臣というのを拝命しておりました。当時の自由民主党が提出をした法案の中には、あっせん禁止に違反をしたら刑事罰をきちんと入れようということを二〇一〇年の自民党案には盛り込んでおりました。
その後、私が本会議で造反をして役職停止になってしまったものですから、法案とおさらばしてしまいまして、この法案は成立をいたしませんでしたが、こういう状況の中で、やはりあっせん禁止には単なる懲戒処分ではなく刑事罰を盛り込む、あの当時の自民党案を復活させるべきではないかと思いますが、山本大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 現在の法制度では懲戒処分ですが、不正な行為がある場合には刑事罰もかかるようになっております。
 私どもとしては、こうした事案が決して起こらないように、今回のような再就職等監視委員会等のそういう活動を含めて、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

○河野(太)委員 今、野党の皆さんから賛成するという話もございましたので、政府が対応できなければ、議員立法でやることも考えなければいかぬと思います。
さらに、今の再就職等監視委員会は、再就職等監察官、今、政令で常勤の監察官は一人でございますが、こういう状況でございますから、期間を区切ってでも常勤の監察官をふやすべきだと思います。これは政令で対応できるわけですから、ぜひ山本大臣にリーダーシップをとっていただいて、常勤の監察官をふやしていただきたい。
さらに、再就職等監視委員会の委員は、今、四人が非常勤でございますが、これは法改正が必要ではありますが、委員の中で常勤の者をふやす必要があるのではないかと思います。
また、今、役人OBによるあっせんが抜け道になっております。現職の役人のあっせんは禁止されておりますが、役人OBのあっせんは禁止されていない。脱法行為の抜け道になっているという批判もございます。この際、役人OBのあっせんも禁止する、そういった措置をとる必要があるのではないかと思いますが、山本大臣、いかがでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 大事なことは、まさに、天下りというようなことで、官民癒着を根絶することであります。したがいまして、それをしっかりとやるために、必要なことは何でもやるとの考えで国民の信頼を取り戻していきたいと思っておりますが、どこまでできるのかについては、しっかりと検討していきたいと思います。

○河野(太)委員 必要なことを何でもやるならば、何でもやる必要があるわけで、どこまでやれるかなんて、大臣がへっぴり腰では困ると思います。そこはしっかりやっていきたいと思います。
さて、再就職等監視委員会にもう一度お伺いをいたしますが、今、役所のOBから役所の現職に対して何らかの働きかけを行ってはいけないということになっておりますが、これまで再就職等監視委員会でそうしたことが行われていると指摘したことがございますか。

○塚田政府参考人 お答えいたします。
国家公務員法では、再就職した国家公務員OBが、もといた職場に対して、離職後二年間、職務上の行為を要求したり依頼したりするといった働きかけをすることは規制されております。そうした働きかけを受けた職員は、委員会への届け出義務が課せられています。
当委員会が発足してからこれまで、当委員会への届け出が寄せられたことはなく、違法を認知した事例は、現在のところ一件もございません。

○河野(太)委員 再就職等監視委員会がもしそうしたルール違反を発見できるとすれば、それはどういうきっかけに基づいて発見できると再就職等監視委員会はお考えになっていますか。

○塚田政府参考人 一般的には、やはり通報等が考えられるところでございます。

○河野(太)委員 通報等がなければわからないというのがやはり現実なんだろうと思います。
今回の文科省の天下りそのものについても、あっせんがあったかどうか、早稲田側から言われなければわからなかったという現実がある中で、あっせんを禁止しているからいいんだということにはなかなかならないのではないか。違反したことがわからないということであれば、違反を禁止するということは意味がないわけですから、つまり、役所と関係しているところに再就職を何年してはいけないという行為規制のようなものをきちんと入れなければ抜け道を防げないのではないかと思いますが、山本大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 これは、先般改正されました国家公務員法で、しっかりと天下りをなくすという原則を打ち立てて、そしてそれを再就職等監視委員会でチェックするということでしっかりとやっているわけであります。まさに、その監視委員会の機能が発揮されたからこそ今回のような事案が出てきたわけでありまして、これは私は機能しているというふうに思います。
 そういう意味で、これはまた徹底し、そうした認識が国家公務員全体でしっかりと確立するというように、改めて調査をして、そうしたことを打ち立てていきたい、そういうふうに思っております。

○河野(太)委員 今回、確かに再就職等監視委員会が機能しているということを明らかにしたわけですが、それでも、全て違反をチェックできているかどうかというのはわからないわけです。今、再就職等監視委員会事務局長がおっしゃったように、通報がなければわからないルール違反というのは見逃されている可能性があります。
ならば、再就職等監視委員会が全部わかっているという前提ではなくて、わからないという前提に立つならば、少なくとも、再就職に関して何らかの規制をする、行為規制そのものをやらなければ抜け道は防げないのではないですか。

○山本(幸)国務大臣 それは、改正する前はそういう形が一応あったんですけれども、そのときにやはり官民癒着という問題が指摘されて、我々としては、もう天下りというのは絶対だめなんだ、それで、これが原則ですよという形に法律改正をして、そしてそれがしっかりと守られているかどうかについては監視委員会で監視するという制度で構築し直したわけでありまして、私は、この点をしっかりと厳正にやっていくようにすれば、それは公務員もそういうものだということがはっきりしてくるというふうに思います。
 確かに、その意味では、こうした問題が起こったことは大変重大な問題でありまして、この点を私どもは改めて総理の指示を受けて徹底的に厳正に調査して、今後一切そういうことがないように、そして、御指摘のようなことがないような、また監視委員会のあり方とかあるいは私どもの指導のあり方とか、そういうことをやっていきたいというふうに思っております。

○河野(太)委員 内閣人事局の調査あるいは文科省の調査の結果、あっせん禁止違反があったということになれば、あっせんを禁止しているからいいんだということには大きな抜け道があるということになります。そうなれば、行為規制をやらなければ天下りの問題は解決しないということになりますので、きちんと調査をやっていただいて、その調査の結果、あっせん禁止だけではだめだというならば、しっかりと行為規制に踏み込んでいただきたいと思います。
さて、今回問題になったのは文科省の天下りでございますが、実は、文科省から国立大学法人に極めて多数の現役出向がございます。理事だけで七十六名、幹部職員に至っては二百四十一名を数えます。その他、さらに大勢いるわけです。
今、文部科学省が各大学に対して運営費交付金あるいはさまざまな補助金等さじかげんを持っている、そういう状況にあって、現役出向がこれだけ大量に国立大学法人に行くというのは、国立大学、かつては文科省と一体でした。それを、独立した組織として国立大学法人化した。全く各国立大学法人は独立していない、単なる文科省の植民地になっているだけではないんでしょうか。