平成29年3月15日 衆議院内閣委員会

 

平成29年3月15日 衆議院内閣委員会

○緒方委員 質疑を進めていきたいと思います。
参議院での質疑の中で本件について質問をしたところ、既存の獣医学部では基本科目の対応が優先されておって創薬関連科目等のアドバンス科目の充実が困難であると。つまり、まあ何をもってアドバンス科目というかというのは、考え方はいろいろあると思いますが、既存の、今全国にある獣医学部の中で対応できない話があるんだという話を、これは内閣府だったと思いますけれども、答弁をしておられます。
義家副大臣にお伺いいたします。
現在の獣医学部、既存の獣医学部では基本科目の対応が優先されておって創薬関連科目等のアドバンス科目の充実が困難であると。現在の大学の獣医学部の体制というのはそういうものなんですか、副大臣。

○義家副大臣 この新設の必要性については、諮問会議において、先端ライフサイエンス研究、感染症にかかわる水際対策等の獣医師が新たに取り組むべき具体的な需要に対応する必要がある旨の今治市からの提案を踏まえて、その必要性が二十八年の十一月に認められたところであります。
また、農林水産省において、獣医師全体としての明確な需給不足は示されてはいないものの、獣医師の地域偏在及び職域偏在があり、産業動物獣医師の確保が困難な地域もあるとの見解が二十八年十一月の諮問会議で示された。
これを踏まえて、広域的に獣医師系養成大学が存在しない地域に限り、医学部の新設を可能とすることが内閣府において認められたところであります。
その手続にのっとって、申請が上がってきたら厳正に審査してまいりたいというふうに思っております。

○緒方委員 ちょっとよくわからなかったんですが。
そういうアドバンス科目の充実が困難であると、それが文部科学省として、今、提案が上がってきた、それについて、それを認めたと言いましたが、もともとの文部科学省の認識として、そういう獣医学部の基本科目の対応が優先するが余り創薬関連科目等のアドバンス科目の充実が困難である、これは内閣府が言っているんです。今の大学の体制というのはそうなっていますかということを聞いているんです、副大臣。

○義家副大臣 教育というのは時代や課題によって変化していくものでありまして、基本的にそれぞれの大学がしっかりと進めていくものでありますが、我々の今までの認識としてはそういう認識は持っていませんでしたが、そういった具体的な指摘を受けた中で、それを、申請が上がってきたときに設置認可をしていくということであります。

○緒方委員 そういう認識は持っていなかったということであります。
文部科学省等々は、そもそもこの件の必要性について、先ほどから義家副大臣にあるとおりですが、相当に、必要性はないんだということを強く示唆する答弁が続いております。
それでは、質疑を移していきたいと思います。
これまでの累次答弁の中で、先ほど細田政務官の方からもありましたが、獣医師が全体として不足していることはない、ただし、地域偏在がある、そして、業態として、産業動物獣医師そして公務員獣医師が減り、ペット等の小動物を専門とする獣医師がふえていて、業態間のアンバランスがあるといったような、そういう答弁だったと思います。
義家副大臣にお伺いいたします。
これは、既存の獣医師教育の枠組みの中ではカバーできないんですか。

○義家副大臣 これまでもさまざまな取り組みが行われているところでありますが、繰り返しになりますけれども、カバーできないという指摘の中で、農水省、内閣府、文部科学省と話し合った中で進められて、決定されたことでございます。

○緒方委員 いやいや、私はちゃんと質問、明確に聞いています。
今、内閣府が言っている答弁であったり、農林水産省も先ほどそういう答弁をされましたが、それは、既存の獣医師教育の枠組みの中で対応できないんだというふうに考えておられますかというふうに聞いているんです、義家副大臣。

○義家副大臣 そのような判断があったので、このたびの合意に至っているところであります。

○緒方委員 どういう判断ですか、山本大臣。

○山本(幸)国務大臣 まず、蔵内会長、獣医師会の会長さんのお話がございましたけれども、私どもは、それは既得権益を持っている方はそういう反応をされるんだと思います。つまり、獣医師会という、そういう業界で、もう十分だというようにするのは、当然、あらゆる業界でも、業界はそういう判断をするんだと思います。
 しかし、私どもは、その既得権益を守っていっていてはこの人口減少社会の中で日本の経済や社会の発展はないと。したがって、規制を改革して新しい分野、新しい産業というものをつくっていかなければ活力が出ない、それが基本的な私どもの考えであります。それが、規制改革の担当であり、岩盤規制を突破するという国家戦略特区を担当している私の任務だと思って、こうした問題に取り組んでおります。
 その中で、ただいまお話がありましたように、私どもは、いろいろ提案があった中で、鳥インフルエンザあるいはエボラ感染熱あるいは口蹄疫といったような人獣共通感染症が最近非常にふえておりまして、そうしたことが家畜等を通じて国際的に拡大している、そういう中できちっとした水際対策をやらなきゃいかぬ。
 あるいはまた、新薬の世界で、特に製薬業界から言われるんですけれども、そういう新薬をつくるときに、豚などの中大動物、そういうのを使ってやるという実験が必要なんだけれども、旧来の獣医学部の教育ではそうしたものがなされていない、こういうことをこれからやってもらわなければ、つまり、かつての医学と獣医学の中間に入るような分野、そういう分野をやるような獣医師をぜひつくってもらいたい、そういう要請も製薬業界から聞くわけでありまして、そういう意味での、新薬の開発などの先端ライフサイエンス研究が必要だと。
 そういうことをやろうという意味で、これは大変新しい取り組みであるということで、ぜひそういうことをやろうではないかということで、この特区の諮問会議で決まり、そして、その中で、当然、文科省、農水省とも協議をして合意に至ったということであります。

○緒方委員 農林水産省にお伺いいたします。
日本獣医師会というのは既得権益団体ですか。

○細田大臣政務官 さまざまな公益的な活動をされている団体であろうというふうに認識をしております。

(略)

○緒方委員 全体として四国がどうであるかということについてのデータはお持ちでないという発言がございました。
これは、実際に見てみると、全国的に、例えば御地元の北信越の方も、実は獣医学部はないんですね。
そもそも論なんですけれども、大学の立地場所によって獣医師の需給対策になるというふうに、そういう御認識なんでしょうか。では、これは文部科学省に聞きたいと思います、義家副大臣。

○義家副大臣 御質問の趣旨がちょっとわからないので、もう一度お願いします。

○緒方委員 大学の獣医学部を立地する、それがいろいろ、地域の偏在がある、業態によって偏在がある、いろいろな話がありましたが、それはそもそも立地場所によって解決をすることができるというふうに文部科学省としてはお考えですか、副大臣。

○義家副大臣 必ずしも立地場所によってできるものではない、立地場所にとらわれるものではないというふうに考えておりますが、一方で、今回の提案のものでありました教育面においては、国際的な獣医学教育拠点の形成、これは既存のものではございませんし、さらには、ライフサイエンスと公共獣医事に重点を置く獣医学科教育の拠点形成、このために、アドバンスト学科の設置、就業を促すための工夫、国際的な環境づくりなどが具体的に提示されております。
このような趣旨のところは現在ではないということであります。

○緒方委員 そもそも、今回の特区をやるに際して、どの地域にどういう獣医師が足らないのかというリサーチそのものはやられているんですか、山本大臣。

○山本(幸)国務大臣 それは担当の農水大臣の所管でありますから、直接私が答えることはできないと思います。
 ただ、御指摘のように、地域的に偏在がある。そしてまた、その獣医学部の立地状況を見ても、獣医学部のないところが日本の中で幾つかあります。その中の一つが四国であって、そして、そういう中で、そこでしっかり獣医学部をつくりたいということの提案がございました。
 これは新潟からもありましたし、京都からもありました。しかし、その中で、本当に具体的に提案が実現できるかというような意味での熟度の高さを見ますと、それは四国が一番高かったし、しかも四国には獣医学部がなかったということで、一つの大きな要素になったと考えております。

○緒方委員 今、一生懸命、四国、四国と言われましたが、先ほど副大臣が言われたとおり、別に、立地によって今言った問題を解決する、そういう考えを文部科学省はとっておりません。なので、その答弁自体はそもそも、もう通用しなくなっていると思います。
では、農林水産省、振られましたので、質問をしたいと思います。
どの獣医師がどの地域にどういう感じで足らないのかということについて、今回の特区を考えるときにリサーチをされましたか、農林水産省。

○細田大臣政務官 私どもといたしましては、一般的に、先ほど申したような公務員の募集採用実績、あるいは、例えば農業団体が獣医師を雇用するということで、募集採用実績等々データがございますが、このようなデータを分析して、どの地域に獣医師が足りているか、そして先ほど来申し上げているようにどの地域に足らないかという分析を行っております。

○緒方委員 いや、ちょっと不分明だったんですけれども。
どの地域にどういう獣医師が足らないのか、どういう業態が足らないのかについて、別に農林水産省だけじゃなくていいです。
特区でやるということにして、本来、農林水産省は、別に獣医師が足らないと全体としては思っていない、単に偏在があるだけだと言っている。そして、文部科学省も、新しい学科の必要性についてはこれまでずっと否定をしてきた。先ほど自分の担当じゃないけれどもと言われましたけれども、これを推し進めたのは特区の部局であります。なので、私は聞いているんです。
内閣府として、今回、どの獣医師がどういう地域に足らないから、この特区をやることが意義があるのかということについて、リサーチをされましたか、大臣。

○山本(幸)国務大臣 それは、我々は農水省に聞いて、そして、産業動物医に関しては地域的な偏在があって、四国はその一つでもある、そういう話は聞いていますが、内閣府としてリサーチ云々の話は、これは直接やる立場ではないというふうに思っております。担当の部局でやるお話だと思っています。
ただ、私は、これは個人的な意見ですけれども、もともと国というものが、ある財に対して需要曲線や供給曲線を正確に知ることなんかできないというのが私の個人的な考えであります。これは、かつてソ連の国家計画経済がだめになったように、それはやはり、国が需要曲線や供給曲線を見ることなんかできないんですよ。結局それは、何が決めるかというと、いわゆる神の見えざる手である市場メカニズムが決めるしかない、そういうことで、私はずっと経済学を勉強し、そういう考えで来ておりました。
ただ、それでは行政はできませんから、それぞれの所掌の分野においてはいろいろな分析もやると思いますけれども、いずれにしても、私どもは、何らかの規制があって、それが経済社会の発展を妨げる障害になっているとすれば、これをできるだけ突破して、そして活力を得るようにやっていくのが職務であると思って、やっているわけであります。

○緒方委員 既得権益団体と言われましたが、少なくとも当事者の人たちはその必要がないと言っている。そして、先ほどからお伺いしているとおりでありますが、どの程度の獣医師がどのように足らないのか。地域偏在がある、そして業態間の偏在があるというふうに言っていて、農林水産省は、何かこう、直接リサーチしたわけじゃないけれども傍証から見てそういうふうな推察ができるんじゃないかというような答弁に、私には聞こえました。
もし直接リサーチをしているのであれば、どういうリサーチをした結果、今回の結果になっているのか等、詳細に御答弁いただければと思います、政務官。

○細田大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、直接的に獣医師を雇用する公的団体あるいはJAのような団体が募集をし、その募集に対して応募される数字というのが出てまいりますけれども、地域によっては、その募集に対して十分な確保が行われないという地域がございます。四国地域というのはそういう代表的な地域であるという分析を私どもはしております。
以上でございます。

○緒方委員 四国以外に、どこがございますか。

○細田大臣政務官 例えば、北陸等々の地域がございます。北陸、あるいは九州であれば宮崎といった地域が該当するというふうに考えております。

○緒方委員 先ほど山本大臣、何かかなり話が大きくなりましたが、需要曲線、供給曲線を国が判断することはできない、そういうのについてはマーケットメカニズムでという話がございました。
何で一校なんですか。

○山本(幸)国務大臣 これは、おっしゃったように、市場メカニズムが決めるという意味では、全部自由にすればいいんですけれども、しかし、それはなかなか簡単にいかない。やはりそれぞれの懸念というのが当然出てくるわけでありまして、そこについては、まず一校から始めて、そしてその結果を見て、状況を判断して将来を考えていくという段階を踏んでいるということで、とりあえず一校ということであります。

○緒方委員 実際に、京都とか新潟からもこういう要望が上がっているというふうに聞いています。実際の今の告示を見てみますと、一校に限ると、「一校に限り」「申請されるものに限る。」というふうになっております。そもそも、これ自体がおかしいんじゃないかというふうに言っているんです。なぜ一校なんですか。
本当に山本大臣の言っていることが正しいのであれば、別に、少し幅を設けて、熟度が高まったところだけやればいいわけですよ。まさに、こういう一校になっているというのは、その一校に対して特別の便益を図ろうとしているのではないかというふうに聞いているんです。おかしいじゃないですか。
なぜ今回こういった、今治市から出てきたことは、それをよしとするかどうかはともかくとして、理解をいたします。しかし、ほかにも希望がある。確かに今治市は長くやってきた、十五回やって十五回はねられたけれども、今回ようやく指定された。それはそうなんでしょう。しかし、最近、平成二十五年、六年、そういったところで、京都、新潟、そういったところからも希望がある。であれば、山本大臣の理屈が全て正しいのであれば、そこは門戸を開くべきですよ。
しかし、告示に御丁寧に「一校に限り」というふうに書いてあるんです。これは、特定の団体に対して便宜を図る、もうまさにそのものじゃないですか。おかしいじゃないですか。
この「一校に限り」というのは、どういう意図をお持ちですか、大臣。

○山本(幸)国務大臣 特に便宜を図るなんという気持ちは、全く、毛頭ありません。
これは、先般の、医学部の新設を成田で認めましたけれども、そのときも、やはり慎重な意見もあるということを考慮して一校ということでやりました。その前例に従ったわけであります。
やはり、先ほどのお話にもありましたように、私の考えがそのまま全部通ればいいんですけれども、そう簡単にはもちろんいかないわけでありまして、そこは、農水省や文科省とのそういう調整の中で、全体の獣医師についての需要ということについて慎重な議論もございまして、成田の医学部の新設と同様、とりあえず一校でやってみようということになりました。
ただ、この点については、当然、将来のこともあり得るわけでありまして、需要状況を見ながら将来は考えていくことにしておりますが、いわゆる国家戦略特区というのは岩盤規制の突破口でありますから、今回、一校ということで始めておりますが、当然、状況によっては二校目、三校目ということもあり得る、これは総理も先般答弁されたとおりであります。

(略)

○義家副大臣 今治市は、平成十九年から十五回にわたって獣医学部新設にかかわる構造改革特区提案を行っており、かねてより獣医学部新設の特例措置を希望してきたところでありまして、その提案内容に関するやりとりについても公開されてまいりました。
その後、平成二十七年六月には今治市から国家戦略特区の提案がありまして、区域指定がなされたことに伴い、現在のものが出てきたところであります。
平成二十八年十一月に国家戦略特区諮問会議において追加規制改革事項がまとめられたことから、内閣府と文部科学省で共同で告示を改正してきたところであります。
看板のかけかえではなくて、構造改革特区は地域の活性化、国家戦略特区というのは世界に通用する産業、規制を改革して世界に通用する、そういうものを育てていくという趣旨のものでありまして、別の法律で所管されているものでありますので、国家戦略諮問会議で出されたことをベースにして議論を進めてきたということであります。

○緒方委員 いや、まさにそれを看板のかけかえというんです。
構造改革特区で出していた主体が加計学園であって、それが、地域の特性としてはだめだ、けれども全国的な見地からというお題目さえつければ、それが今度はオーケーになる。別に何も変わっていないですよ。メニューだってそんなに変わらないですよ。やっていること、主体、全て同じであるにもかかわらず、看板をかけかえればオーケーになるという理屈は何ですか。単に法律が違うとか、そんなのは通用しないですよ。山本大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 それは、構造改革特区と国家戦略特区の違いがあります。
 構造改革特区というのは地域に注目して行われる特区でありまして、地域の課題を解決する、そういう意味合いが強かったわけであります。一方で、国家戦略特区は、むしろ、そのことによって全国的、国家的な意味合いを持つ、あるいは国際的な意味合いを持つ、そういう意味での規制改革を進めるという考え方ででき上がった国家戦略特区制度であります。
 その中で、そういう意味では、今治市の提案というのは、構造改革特区でやっておりましたけれども、そこは文科省の方で、やはり全国的な見地から考える話なのでそれはなかなか難しい、そういう対応だったと思います。
 一方で、国家戦略特区として今治市が指定されて、この獣医学部の新設ということを国家戦略特区の意味合いを持って上げてきたわけでありまして、それは、先ほど申し上げたように、先端ライフサイエンス研究とか、あるいは人獣共通の感染症対策とか、そういうことの意味合いが大きい、あるいは国際的な獣医学としての意味合いを持つということから認められるようになったということでありまして、構造改革特区と国家戦略特区の違いがそこにあるんだと思っております。

○緒方委員 最後に官房長官にお伺いをいたします。
本件、どう考えても仕組みがよくでき過ぎているように思います。この加計学園に対する特区につきまして、通常の行政プロセスとは違う政治家の関与というのはないということを確約できますでしょうか、官房長官。

○菅国務大臣 特区の指定、規制改革項目の追加、事業者の選定、いずれのプロセスも関係法令に基づいて適切に実施をされた、このように考えておりますので、そうしたものはないと断言いたします。

(略)

○義家副大臣 まず、文部科学省における再就職問題の調査については、一、組織的なあっせん構造に関する調査、二、再就職監視委員会から指摘のあった三十七事案の調査、三、全職員調査、四、退職者調査の四項目について、並行して、現在、調査を行っているところでございます。
二月二十一日の中間まとめにおいては、このうち、一の組織的あっせん構造、そして二の三十七事案について、その時点で把握できた事実を公表させていただきました。現在、二月二十一日に公表した中間まとめで十分に確認できなかった事案を含め、最終報告に向けて、全職員や退職者を含む徹底的な調査を進めているところでございます。
いかんせん、全職員調査の対象は三千人、それから退職者対象も六百人、また、調査班に入っていただいている第三者の皆様もそれぞれ本業もありますので、なかなか時間の確保等も難しい状況の側面もありますけれども、速やかに発表できるように鋭意努力してまいりたいと思っております。

○神山(洋)委員 一点ちょっと確認ですが、では、月内という話ではないという理解でよろしいですか。

○義家副大臣 三月末までに最終報告を取りまとめます。

○神山(洋)委員 それはぜひ、いろいろ大変な部分はあろうかと思いますが、きっちりやっていただきたいと思います。
この案件を含めて、まだこれからもどうなるかわかりませんけれども、決して、もちろん褒められた話ではないわけでありまして、それを根絶しなきゃいけないということであることは前提でありますけれども、ただしかし、それを踏まえて、今回、文科省がここまでたどってきた調査のプロセスというのは、私は、そのことそのものについてはきちっと評価をしていいと思いますので、それはきっちりとこれからもやっていただきたいと思います。
もう一方で、今度は、これは総理からの御指示もあって、山本大臣のもとで、全府省調査というのも一方で行われているという状況かと思います。同じ観点で、今どういう状況にあるでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 今般の文部科学省事案で生じました国民の疑念を払拭するため、安倍内閣総理大臣から私に対して、同様の事案がないかどうか、全省庁について徹底的な調査を行うよう指示がありました。
 現在、鋭意調査を進めている最中でございますが、大事なのは、しっかりとした調査を厳正に行うことであり、スケジュールありきではなく、徹底的に調査を行うことであると考えております。
 当初、三十人強の体制で臨んでいたわけでありますが、余りに膨大だということで、四十人超の体制に拡大いたしまして、今全力を挙げてやっているところであります。
 スケジュールありきではありませんけれども、一方で、調査結果が出次第、速やかに結果を明らかにしていくことも重要であり、私の指揮のもと、スピード感を持って進めていきたいと思っております。

○神山(洋)委員 私、予算委員会で、もう一カ月半ぐらい前になりますか、二月三日に大臣と同じような議論をさせていただいた際も、今の人数の話はともかくとしてですが、ほぼ同じお答えを実はいただいております。もうちょっとやりようはあるんじゃないですかねということを申し上げたいんですよ。
私は、今どういう状況にありますかということをお伺いしました。先ほど、文科省に関しては、副大臣からもいろいろ具体的なお話がありました。一カ月半たった中で、既にできたこと、できないこと、いろいろな変化があるはずですよね。それを踏まえて、この一カ月半の中でどういう進展があったのかなかったのか、現在の状況はどうですかということをお伺いしているんですが、今大臣から御答弁いただいた内容には、私が直接お伺いをした、今どういう状況にありますかということに関してのお答えが全くなかったと思うんですが、大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 先ほども申し上げましたように、私どもは、徹底した厳正な調査をしっかりとやるということが大事だと思っておりまして、今、やっております。体制も拡大してやっております。その上で、結果が出次第、御報告をしたいというように思っております。

○神山(洋)委員 余りにも対比が大きいんですよ。もちろん、文科省は具体的な事案としてもう既に発生をしている。一方で、では全府省の方はどうなんだといったら、そうじゃないからという理由は前にもお伺いをしまして、それはわからないとは言いません。
しかし、なぜこの全府省調査をやっているのか、また総理からそれをやれという指示が出ているのかといえば、いみじくも今大臣御自身がおっしゃったように、国民の疑念があって、それは文科省だけではなくて全体にあるのではないかという疑念があって、それを晴らさなければならないから、この全府省調査というものを大変だけれどもやるということにした。それはそれでいいんだと思うんです。だとすれば、その中身は、そこに向かっての姿勢は、文科省ほどであるかどうかはもちろん差はあるかもしれないけれども、基本、同じ方向感の中でやらなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。
例えば、企業で同じようなことがあったときには、企業というのは厳しいマーケットに、消費者にさらされているわけですから、何か不祥事があったときには、でき得る限り迅速に事の真相を明らかにして、それを広く公表し、ごめんなさいとやる、これは当たり前のリスク管理だと思うんです。
この件も、なかったらそれはそれでいいわけですが、少なくとも疑念を抱かれているという状況においては、企業でいえばこれは消費者ですが、我々であり、これは政府からすれば、国民からそういう視線にさらされているわけですよ。もっと事が深刻であって、誠実に、どれだけスピーディーに疑念を晴らすことができるか、すぐに晴らし切ることができないのであれば、一定の期間の中でこれだけはできたということ、こういうこともやるんだということ、でき得る範囲では情報をきちっと伝えて理解を得ようとする、そういう姿勢に立つべきじゃないですか、大臣。
もう一度ここは、その姿勢を改めた方が、それは政府のリスク管理という意味でも正しいと私は思っていますが、大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 私どもも、国民の疑念を払拭するためにしっかりとやっていきたいと考えております。その意味で、いいかげんな調査をやったのではないかと将来言われるようなことがあってはならないと考えております。その意味で、今、全力を挙げて、体制も強化して取り組んでおります。
そのことはしっかりとやっていきたい、そして、その結果が出ればきちんと報告をしたい、スピード感を持ってやっていきたいと思っております。

○神山(洋)委員 何でそこまでクローズにするのかわからないんですよね。
二月の三日に大臣と議論をさせていただいた際には、その前後でも同じことをおっしゃっていましたけれども、例えばどんな調査をやるのかということを公表してしまうと、その問題にひっかかるであろう方はそれに対しての防御をしてしまうかもしれないので今は言えないのだということもおっしゃっていましたよね。まあ、そこは百歩譲ればわからなくはないというぐらいは言えるかなと思うんですよ。
でも、それから一カ月半経過しているわけですよ。既に調査の先にはいろいろな話も行っていますよね。どういう調査が来るのかということは、もしそれにひっかかると自分でわかっている人からしたって、もうわかっているじゃないですか。今さらそれをここで隠したところで、調査の効果に何らマイナスの作用はないと思いますよ。
どういう調査をするのか、誰に対してどういう確認をするのか、それを踏まえて、いつぐらいにアウトプットを出すのか。調査に膨大な日数がかかるから、大分かかっちゃうというのであれば、文科省がやったように、では、でも国民は知りたい、疑念を持っているというのであれば、一定の期限の中で、このタイミングで中間なり一定の報告はしますという形にした方が、疑念を晴らすという効果が高まるじゃないですか。そう変えたらどうですか。

○山本(幸)国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、いいかげんな調査をやったと言われないようにすることが一番大事だと思っておりまして、その旨に徹底してやりたいと思っております。

○神山(洋)委員 いいかげんな調査と言われないようにということと、中身を開示せず、いつ出すかも言わないということと、全く何の関係もないですよ。大臣、いかがですか。

○山本(幸)国務大臣 それは、私はそういうふうに思いません。しっかりと各省それぞれの調査もし、そしてまた、その中でどういう相違等が出てくるかということもありましょう。そういうものを含めて、全体をしっかりと見ながら、しかも、将来いいかげんな調査だったと言われないようにすることが一番肝要だと思っております。

○神山(洋)委員 そこまでそう言われると、むしろ邪推をしたくなっちゃうわけですよ。何でそこまでクローズにするんだろう、何で後までそんなに引っ張るんだろうと。国民の忘却を待っているんじゃないかというふうにすら思えてしまうわけですよ。
それは、つまるところ、最初大臣もおっしゃっていた国民の疑念を晴らすということと、むしろ逆行するんじゃないですか。逆効果ですよ。早く、きちっと明らかにできることはしたらいいじゃないですか。何をそこまで隠すのかと思うと、何かあるんじゃないかというふうに、これは人間誰しも思っちゃいますよ。余計この疑念を増幅させている効果になるわけですよ。明らかに逆ですよ、やっていることが。
ずっとこの話をしていますけれども、かたくなにその線から出ないですよね。いずれ、これは遅かれ早かれ、そうはいったって公開されると思いますので、国民の皆さんはいろいろな関心事が移り変わるということはあるかもしれませんが、我々はやはりきちっとそこは忘れずにフォローし続けますので、今申し上げたことは、なぜ大臣がそう言えないのかわかりませんけれども、少なくとも大臣の胸には置いておいていただけるんじゃないかなと私は思っていますので、ぜひ記憶にとどめていただければなと思います。
この話だけでまだいっぱい入れたいことはあるんですけれども、もう一つの、では、対応としてどうするんだという話です。
何か問題があった、問題について事実を調べた、事実はこうであった、そこにはこういう課題があった、その課題を踏まえて、では、そういう課題が今後起こらないようにこうしましょう、これが基本的な思考パターンだと思います。今回も、全部ではありませんし、どこまでが全容なのかまだ全くわかりませんけれども、少なくとも、文科省の具体的な事案については、中間も含めて具体的なファクトが出てきている状態です。では、一体どうするのか、ここが問題になろうかと思います。
まず、これは文科省の方に伺いたいわけですが、先ほど三十七、累計のお話はありましたし、今副大臣おっしゃっていただいたように、全職員及び退職者というところまで見れば、もっといろいろな具体的な形があるのかもしれません。今できることと先々やらなきゃいけないこと、いろいろあるかと思いますが、今回の一連の経緯が発生をした以降、文科省内で、この件に対して、再発防止策という意味で、どんな具体的な対応がとられていますでしょうか。

○義家副大臣 先ほど申し上げましたとおり、文部科学省における再就職等に関する調査においては、三月末までに最終報告に向けて、全職員、退職者を含む徹底的な調査を現在実施しているところでございます。
その結果を踏まえて、それぞれの再就職規制違反等の内容や、それから管理監督責任により最終的な決定を行った上で、まずは厳正な処分を行ってまいります。
その上で、これからの再発防止についての具体的な例ですけれども、まずは、職員に対して、何が違法に当たるのかということを、しっかりと改めて実効的な研修を行うこと、それから、営利企業や退職者からの働きかけへの対応方針の策定、どのように対応しなければならないのかという方針の策定、再就職等規制についての関係団体や退職者への、こういうことは明らかに違法になるということも含めた周知等の再発防止策を検討して、着実に実施してまいりたいと思っております。
そして、国民の信頼を一刻も早く取り戻すことができるよう、全力で汗を流してまいりたいと思っております。

○神山(洋)委員 調査の最終結果が出ていない状態ですから、まだできること、できないことはあろうかと思いますし、どこまでが全体なのかという話はまだ確定し得ないと思います。
ただ、現時点でわかっている話の中から、具体的にやらなければならないことという意味で、今大臣がおっしゃっていただいたようなことも、これは最終結果を待たずして、すぐに着手、もしくは既に着手済みのものもあるかもしれませんが、実行できるはずですので、これは即時に着手をすべきだということは申し上げておきます。
もう一方で、大臣、これは同じ質問でありますが、余り期待はできませんが、具体的に今回の問題、最終形にはまだ至っていませんが、少なくとも一定の課題があるということだけは明らかな状態で、こういう問題が、明らかになっている問題が再発しないように、どういう御指示なり具体的な対応を行われていますでしょうか。

○山本(幸)国務大臣 最終的な対策ということについては、先ほどもお話ししましたが、結果が出てから、どういうものが実効があるか、しっかりと検討していきたいと思っております。
 その前に、もちろん、今回の調査については、私から各大臣に、しっかり調査に協力するよう要請をいたしました。その後、国会の質疑等で、例えば、各省が、職員が利害関係のあるところに就職することをやっているときには届け出なきゃいけないことになっておりますが、そのことについて、利害関係であったかどうかチェックができていないというような話が、各省でばらばらなところがありました。これについては、すぐに人事局長から、改めて、そういうことはきちっとチェックしなきゃいけない話なのでちゃんとやってほしいという通達も出しました。
 それからまた、OBに対して、職員やOB等についての情報を組織的に提供するということは一切やってはならないんだということを改めて確認する注意を喚起いたしました。
 また、そういうことについての人事関係者の研修について、文部科学省の事案等を見て、しっかりと遵法の姿勢を改めて確認するようにと、そういうことをやっております。

○神山(洋)委員 再就職の際の届け出のチェックを、各省ばらばらで、やっていないところの方が多かったぐらいで、それは法改正なども必要ないから、今すぐにでも指示してやるべきだと言ったのは、まさに先ほど申し上げた二月三日の予算委員会での私と大臣での話ですよ。それをやっていただいたというお話がありました。それは前向きな一歩だと思いますし、ぜひ、そういう形で、すぐやれることはすぐやるという形でこれからもやっていただきたいと思うんです。
もう一つ、情報提供がだめだということを、これは何ですかね、通達ではなくて、何か別の形でおっしゃったということですよね。
二月の上旬あたりの委員会の質疑の中でも、大臣からも、そういう情報提供というのはもうやらせないという表現もありましたし、それも踏まえて総理からも、OBに対して人事情報というのを提供することは今後させないという表現もありましたので、ここもきょう確認をさせていただこうと思っていました。
それはどういう形で拘束力を持って、だめよというふうに言っているという状態ですか、今。

○山本(幸)国務大臣 これはもう法律、まさにそれがあっせん行為でありまして、そういう情報を出すということは、もともとあっせん禁止の中の重要な要素であります。したがって、それを再確認させてもらうということでありまして、改めて、組織的にそういうことは一切だめだということを再認識してもらうということでありました。

○神山(洋)委員 もう時間がありませんので、また次回の質疑でそこは突っ込んで議論させていただきたいと思いますけれども。
大臣がおっしゃっていただいた、今、法律違反でという話がありました。現行法でも法律違反な、現職からOBに対しての情報提供というのは確かにそれはあるかもしれませんけれども、これは、今回の文科省の嶋貫さんのあの事例だけ考えても、現行法ではひっかからない話があるはずですよ。そこもひっくるめてやるのかどうかということは、これから非常に大事な点になっていくと私は思います。
これは法改正をしなきゃいけないはずなんです、対応を、最終的な累計を見た上で。それをきちっとやらなきゃいけないんですが、全府省庁調査がいつ出てくるのかもわからない、それが出てこなければ対応策も検討できない、その間に、今回監視委員会から指摘をされた法の潜脱行為というのは法的には少なくともそこは塞げない、この状態をいつまで放置するんだということになるわけです。
できるだけ早い段階で、わかったところから何回かに分けてでも手を打っていかなきゃいけないというふうに思いますが、大臣、そこはどう対応されますか。

○山本(幸)国務大臣 まさにそれはその結果を見てみないといけないわけでありまして、ただし、今回の文科省の事案というのは、OBが単独でやっているわけじゃありません。OBに対して文科省が情報を提供するなり、そういう再就職のあっせんを行う枠組みを構築していたというのが最大の問題でありまして、その意味では、その辺をどう考えるかは調査の結果を見てしっかりと判断していきたいと思います。

○神山(洋)委員 調査がいつできるかもわからない、それに対しての対応もそれ以降ですというのは、余りにも危機感が薄過ぎますよ。
我々はこれに対応する具体的な案を出しますから、それも参考にしていただきながら、もっと危機感を持って早くやっていただかなきゃいけないということを最後に申し上げて、本日は以上とさせていただきます。
ありがとうございました。

○秋元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十六分散会