活動報告

山本幸三地方創生探訪記録@山形、秋田 (2017.6.10-11)

今月、6月10日、11日は、山形県の新庄市、鶴岡市、山形市、秋田県の湯沢市、横手市、秋田

市を訪問してまいりました。

一部抜粋し、本HPで報告致します。

 

今回のトップ画は、出羽三山神社の羽黒山五重塔です。出羽神社は、古来から修験道を中心とした

山岳信仰の場として、現在も多くの修験者、参拝者を集めています。こちらは、国宝に指定されて

おり、高さ29.9mで三間五層素木造り、屋根は杮葺き(屋根葺手法の一つで、木材の薄板を用い

て施工する工法)です。創建は、平将門と伝えられ、羽黒山は、会津や平泉と共に東北仏教文化の中

心であっただけに、数々の文化財に富んでいるようです。

ー 湯沢市 ー

・道の駅おがち「小町の郷」

 

湯沢市小野地区に古くから伝わる「小野小町」の伝承をテーマとして、小町の「市女笠」(いちめが

さ)をモチーフとしたデザインの道の駅(写真上)は、湯沢市雄勝地域のシンボル的な存在となってい

るようです。

 

敷地内には小町の郷公園や農産物直売所、観光交流センターが併設されており、「小町」をキーワ

ードとして湯沢市の魅力を全国に発信しています。小町の郷公園では、6月の「小町まつり」をは

じめとした様々な行事等が行われ、市女笠に身を包んだ7人の小町娘が登場すると、多くの見物人

からどよめきと溜息がおこるといいます。上の写真が市女笠姿の秋田小町です。今回は、ご地元の

御法川代議士と鈴木・湯沢市長に駆けつけていただきました。

 

また、農産物直売所では、毎朝、地元の農家から届けられている採れたての野菜や果物がいくつも

並べられており、生産者の顔が見れるように工夫されていて、安心して買い物ができます。

ー 秋田市 ー

・国際教養大学

国際教養大学は、独自の教学概念「国際教養」を掲げ、「豊かな教養」「グローバルな知識」そし

て「卓越した外国語の運用能力」を身に付けた、世界を舞台に活躍できる真の国際人を養成してい

ます。広範な分野にわたる授業をすべて、「英語で学び、英語で考える」ことはもとより、徹底し

た少人数教育、1年間の海外留学義務付け、多文化が共生するキャンパス環境、「三言語主義(母国

語、英語、第二外国語)」により、明日の日本を担うグローバルリーダーに必要な知識・同義・発信

力そして異文化理解の精神を踏まえた外国語のコミュニケーション能力を養っています。主な特徴

として、学生の5人に1人が留学生で、2015年度就職内定率は約100%などがあげられるよ

うです。

(上図書館は、24時間365日開館という素晴らしい環境がありました)

 

(勉強が捗りそうなガラス張りの学習ルームです。鈴木理事長よりお話を伺います。)

 

卒業後の進路ですが、一年間の「義務」留学を経る中で、海外志向が強いのかといえば、最近は意

外にも国内のメーカーへいかれる方がいくらか多いようです。留学をしてみて、日本のものづくり

への危機感と一方でそのプレゼンスを現地で犇々と感じ、戻ってくる学生が多いとの事です(トレン

ドはあると思いますが)。また、多様な人材を集めるべく、AO入試なども多種に充実しているほ

か、秋田県の公立大学法人ということで、県内出身の学生へは、通常よりも低めの学費で門戸を開

いているようです。地方大学の振興にあたっては、総科主義ではなく、こうしたユニークな取組を

行っている大学をモデルとし、より魅力になるよう特色を前面に打ち出していただきたいと思いま

す。

 

 

・あきた文化産業施設 - (株)せん

あきた文化産業施設は、かつて繁華街・川又のお座敷を賑わせた伝統文化を、新しい秋田の観光資

源「あきた舞妓」として復活させた秋田市の(株)せんが昭和初期建築の旧料亭「割烹松下」をリノ

ベーションしオープンしたものです。

(JR秋田駅から徒歩10分であり、秋田の観光名所の一つ千秋公園に併設しています)

 

(長い廊下には、川反芸者が栄えた昭和30年頃の写真が数多く飾られていました。)

 

 

施設の改修には、総務省の地域経済循環創造事業交付金及びクラウドファンディングを活用してい

ます。料亭大広間の佇まいを生かした、舞妓の舞踏鑑賞ができる「劇場」や秋田の酒蔵の酒を取り

そろえた「酒房」、地元産品のメニューを提供する「茶寮」を備えています。

地域の魅力ある資源を活用することによって、稼ぐ力を向上させようとするこうした取り組みは、

地方創生のかたちそのものです。

(「酒房」では、スタンディングの日本酒バーがあり、秋田県内全37の酒蔵の日本酒が揃います。)

(こちらが、併設するお食事処「茶寮」です。水野社長にお話を伺います。)

ー 鶴岡市 ー

・慶應義塾大学先端生命科学研究所 / スパイバー株式会社

 

2001年4月、鶴岡市に慶應義塾大学先端生命科学研究所(センター棟とバイオラボ棟)が開設さ

れています。ITを駆使した統合システムバイオロジーという新しい分野の技術を世界に先駆けて確

立し、生体内の代謝物等を短時間で網羅的に分析するメタボローム解析技術などを用いて数々の研

究成果を上げています。医療・環境・食品など様々な分野での応用研究が進められており、これま

でにHMT社、Spiber社などの慶應発バイオベンチャーが5社誕生しています。このようなITを駆使

した「統合システムバイオロジー」という新しい生命科学のパイオニアとして、世界中から注目さ

れています。

また、地元高校生を対象にした「研究助手・特別研究生」制度などのユニークな研究教育プログラ

ムや市民1万人の健康状態を長時間追跡して市民の健康づくりに活かす「鶴岡みらい健康調査」な

どの取組も行われています。

 

また、今回併設する、そのSpiber株式会社にもお伺いさせていただきました。

こちらは、当時慶應義塾大学の大学院生としてクモの糸を研究していた関山氏らが、強度や伸縮

性、軽量性に優れたクモ糸を「次世代の繊維」として人工的に合成し、事業化するために2007

年9月に設立されました。

(冨田研究所所長に、施設内を案内して頂きました。)

 
THE NORTH FACEと共同開発したMOON PARKA

今回はその関山取締役に取組の説明をいただきましたが(写真)、スパイバー社では、クモ糸を繊維

素材として実用化するため、性能と生産性を両立する分子デザインの解析を行なうデータベースシ

ステム及びバイオインフォマティクス環境、最先端のバイオテクノロジーの研究環境、そして紡糸

検討設備のほぼ全てを独自に開発し、すべての工程を社内で完結できる研究体制を整えています。

このプロジェクトは、修士論文のテーマを決めていた際、飲み会の席で「クモの糸」の強靭さに着

目し、その後クモの糸を採取するためクモを一匹捕まえに行ったことから、すべてははじまったと

仰っていました。

13年5月には世界初の人工合成クモ糸繊維QMONOS(クモノス)の量産化に成功され、14年に

は内閣府の革新的推進プログラムに「超高機能構造タンパク質による素材産業革命」が採択されて

います。また、15年には、ゴールドウィン社と共同でムーンパーカのプロトタイプを発表し、昨

秋のパリモーターショーではレクサスのコンセプトシートにQMONOSが使用されるなど、製品化に

向けた取組が進んでいます。15年10月には、ベンチャーキャピタル等から96億円の巨額な資

金を調達し、現在は、このように産官学と連携しながら、夢の繊維といわれたクモ糸の実用化、世

界初の工業化を目材しているそうです。

意外にも、クモの糸は、鋼鉄の340倍という異次元のタフネスを有するそうで、「クモの糸」の

成分であるタンパク質は、20種類のアミノ酸の組み合わせにより多種多様な素材を生み出すこと

が可能な、まさに素材の「プラットフォーム」といわれているそうです。機能性と環境性に優れ、

テーラーメイドで多品種少量生産でも低コスト化が可能という、とてつもないポテンシャルをもつ

新世代の基幹素材として期待されており、アパレル分野だけでなく、輸送機器分野、医療分野へも

応用可能といいます。遠くない将来、金属やガラス、ナイロンやポリエステルのように、人類がタ

ンパク質を使いこなす時代が到来するかもしれません。

(関山取締役と施設の前で)

 

今回お話を伺う中で、スタートアップの段階で先端生命科学研究所に山形県や鶴岡市から資金援助

があった、というお話が印象的でありました。特に、鶴岡市は決して財政が豊かな都市ではないも

のの、県と市が折半して、先端生命科学研究所に億単位の資金投入を続けてくれたというのです。

リスクを取って支えてくれた、山形県と鶴岡市の期待に報いるために、その実用化とともに、鶴岡

を世界的な技術革新都市として名を馳せることが夢だと仰っていました。また、関山さんが慶應大

学に進学されるときに、この山形の地に先端生命科学研究所が開設され、そのタイミングも転機と

なったといいます。大学誘致に向けた自治体による支援とともに、昨今の都市圏に集中する傾向の

ある日本のアカデミズムにおいて、「ビーチまで15分、スキー場まで30分」という鶴岡市の豊

かな自然に着目し、自然豊かな郊外でこそ豊かな発想を育む、という欧米型キャンパスを目指し

て、慶應大学がキャンパス開設にチャレンジした成果もあります。既存の私立大学ではあります

が、地方でキャンパスを開設し強力な産官学連携を背景に、特色ある地方大学の在り方を確立し、

地方創生に資する取組をされている素晴らしい事例であると感じます。今後の施策を検討するに

あたって是非参考としてまいります。

次回は、山口県にお邪魔致します。

(以上)