活動報告

山本幸三地方創生探訪記録@愛媛 (2017.7.26)

先月の26日は、愛媛県の内子町、八幡浜市、大洲市を訪問してまいりました。一部抜粋し、本H

Pでご報告致します。

 

 

ー 内子町 ー

・道の駅・フレッシュパークからり

 

こちらのフレッシュパーク・からりでは、道の駅において、ITを活用し、出荷する地場農産物に

トレーサビリティやPOSシステムを導入しています。これにより、販売情報が連絡され、在庫に合

わせて出荷者が直接納品することで、鮮度向上を追求するといった取組みにより、安全安心な農産

物提供システムを構築しています。

生産段階では生産者が記帳する栽培管理情報の入力と、データ加工・蓄積のシステムを、また、流

通・販売段階では蓄積した栽培履歴情報を消費者に情報開示・閲覧するためのシステムを整備し、

内子町の農家が出荷するすべての地場産農産物を管理しています。まさに、内子町の農家が出荷す

るすべての地場産農産物を管理する生産から販売までの関係者全員参加型のシステムが特徴になっ

ています。出荷された農産物は、生産者による生産履歴の開示をしており、開示された情報は、直

売所にある端末か、「からり」のホームページ上で閲覧することができるので安心です。

また、からりの運営会社の株式の半分を内子町が所有するように、こちらでは、「町民が町内で生

産した品のみ販売」という原則があり、施設内には町外資本のテナントどころか、自動販売機さえ

入っていません。レストランや燻製工場、パン工房や加工場などを備えており、従業員はほぼ町民

だといいます。このように、山間部の中でも貴重な雇用の場としても機能しています。

これらの取組みにより、年間約80万人もの人が訪れる場となり、同道の駅での売り上げは、町内

の農産物販売の約15%を占めるほどだそうです。さらに、国土交通省から、道の駅として地方活

性化に大きな役割を果たす「全国モデル」6駅の1つに選定されています。(私が先日訪れた、群馬

県の「田園プラザ かわば」もその1つです)

(左から、土居好弘・「からり」代表取締役社長、稲本隆寿・内子町長、山本徹・内子町議会議長です。)

 

(売り場の近くに栽培履歴閲覧コーナーがあり、とても便利です。)

 

(JAにしうわより取組状況を伺います。)

 

ー 八幡浜市 ー

・みかんの里宿泊・合宿施設「マンダリン」

 

みかんの里宿泊・合宿施設「マンダリン」は、平成26年3月に閉校した旧舌目小学校の校舎を転

用し、ミカン収穫期のアルバイターや農業研修者の宿泊施設として整備されている施設です。

廃校の他目的への転用は、従来、担当府省への承認を要し、補助金返還が求められるところであっ

たようですが、地方分権改革により概ね10年を経過したものは、報告をもって承認したものとみ

なすこととされ、円滑な転用が進んでいます。

こちらの地域では、農家が長年、ミカンアルバイターの宿泊を受け入れていますが、八幡浜市は収

穫繁忙期の更なる助っ人獲得を目的に、2年ほど前から地方創生先行型交付金を活用しながら、校

舎を大規模改修し、2~4人部屋18室や食堂、浴室を整備し、最大80人が宿泊できるように整

備しており、農繁期における労働力確保、Iターン就農の促進、農村と都市との交流推進などを進め

るうえで重要な施設となっています。昨年度のみかんアルバイターの参加者は、220人を数え(前

年度は179人)、全体のマンダリンの利用状況、宿泊数は5007泊を数えます。(27年度は1

161泊とのこと。) また、農業研修でマンダリンを使用した方が、愛媛や他県に就農した例もあ

るようです。

日本一の柑橘類の生産地である愛媛県の中でも、特に有数の産地である八幡浜市という土地柄なら

ではの取り組みです。なお、ミカンの季節以外は、スポーツ、婚活イベントや合宿参加者らの宿泊

先としても利用されています。

そして、今回JAの方からは、持続的に労働力を確保するためにも、今後は家族経営から企業経営へ

と変えていかないといけないというお話も伺いました。農業の成長産業化のために常々私が申し上

げているのと同じ方向性であり、今後の取り組みを期待したいと思います。

ー 大洲市 ー

・愛媛県立長浜高等学校(長高水族館)

 

愛媛県立長浜高等学校(長高水族館)日本初の高校内水族館として平成11年に誕生した、同校

の水族館部が運営する、入館無料の水族館になります。

長浜高校の隣には、長浜町立水族館がかつてあり、愛媛はもちろん、四国初の水族館として誕生

し、多くの来館があったようですが、赤字や老朽化で惜しまれながら閉館になったといいます。

「長浜といえば、水族館」というその想いを引き継ぎ、町の活性化に貢献すると同時に、長浜の財

産である素晴らしい海と川を活用した教育を行うために、日本初の高校内水族館として誕生してい

ます。地元の川や海に生息する生物や熱帯魚を飼育しており、その数150種2000点で、水槽

は約100個にのぼるといいます。

また、水族館では飼育のみではなく、水槽飼育に関する研究活動の評価も高く、毎年科学研究コン

クールで入賞するほか、平成27年には科学のオリンピックといわれる「国際学生科学技術フェ

ア」(ISEF)において、同校の学生がイソギンチャクとクマノミの共生に関する研究論文を発表し、

動物科学部門の4位に入賞したそうです。なんでも、イソギンチャクがクマノミを刺さないのは、

水中のマグネシウムイオンに関係するとの結果をまとめたものだといいます。こうした活躍もあ

り、今回お話を聞いた学生たちもどこか自信に満ち溢れ堂々と説明をしてくれたのが印象的であり

ました。また、このような世界的な活躍は、「田舎の小さな学校でも世界で脚光を浴びられる」と

学生達にも自信を芽生えさせるとともに、閉館した長浜水族館の復活ができないかと署名活動をす

るなど、住民たちも動かしているといいます。それはまちぐるみの水族館として、長高水族館や復

活する水族館に加えて、商店街にも水槽やいけすが並ぶ、まちを回遊できる水族館であり、高校生

と住民とのタッグでまちを盛り上げます。

これまで、若者が地方に定着するよう魅力ある地方の大学の振興などについて、訴えてまいりまし

たが、大学では遅いと言わんばかりにレベルも高く、高校の頃から先駆的に取組まれている好事例

です。より地域と密接な関係のある高校でも特色づくりが非常に大事でありますので、地域に愛さ

れる水族館として今後もぜひ頑張っていただきたいと思います。

 

※後述になりますが、8月26日から2日間、長浜高校の水族館部が松山市南吉田町の松山空港で

自慢の魚たちを披露する「空港水族館」がおこなわれ、夏休み最後の週末、大勢の搭乗客や地元住

民らが涼しげな水中の生き物たちとの触れ合いを楽しんだとのことです。

https://www.ehime-np.co.jp/article/news201708274351

 

以上。