平成28年10月05日 参議院予算委員会

平成28年10月05日 参議院予算委員会

○委員長(山本一太君) 平成二十八年度一般会計補正予算(第2号)、平成二十八年度特別会計補正予算(特第2号)、平成二十八年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。
政府から趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。

 

(略)

 

○蓮舫君 厚労大臣、認識共有しています。
これ、面白いなと、面白いと言っちゃいけないんですけど、男性は低収入と未婚率が比例しているんです、収入が低いのと結婚をしない率と。女性は逆なんです。高収入と未婚率が比例しているんです。こういう部分はやっぱり細かく、どういうふうにマッチングをしていってさしあげればいいのかというのを、これ厚労大臣にお願いをしておきます。
とりわけ産む性である女性が非婚化、晩婚化、晩産化という問題をどうやってクリアをしていくのか。とりわけ人口減少社会で消滅都市となるリスクの大きな条件は、二十から三十九歳の女性がその都市からいなくなることです。今生まれている赤ちゃんの九割の親はこの年齢のお母さんから生まれている。だから、この年齢人口の女性が、その生まれ育った地域で働き、結婚し、子育てができる環境を整えることがまさに地方創生になる。その部分では、去年、石破前大臣と安倍総理とも予算委員会でやり取りをやらせていただきましたが、地方創生、とにかくこの数年間、男性より女性の都市流出が止まっていませんので、これをどうやって止めることができるか、これが本当に大事だと思います。
地方創生、総理になって三年目に入りました。期待どおりの進み方になっているという認識をお持ちなのかどうか、まず総理に聞かせてください。

○国務大臣(山本幸三君) お答え申し上げます。
地方創生については、平成二十六年度の補正予算から事業を始めております。これは、地方の自主性、自助努力をまさに重視して、そして地方自身がどうやったら自分たちの地域の課題を解決できるかということでKPIを設定し、そしてPDCAサイクルを整備するという形でやっているわけでありまして、まさに昨年、ちょうど二十七年度中に地方版の総合戦略というのを策定していただきました。ほぼ全ての自治体で策定が終わりまして、これからいよいよ本格的な事業展開ということであります。したがって、昨年度でようやく一年が過ぎたということでありまして、今年度はその実績を踏まえて検証できるところを今やっておりまして、それを踏まえて次につなげていくということであります。
私としては、いろいろ見ておりますけれども、各、いろんなところも回りましたが、かなり積極的に取り組んでいるところもありまして、地方が自分たちでいろんなことを考えてやらなきゃいけないんじゃないかという工夫あるいは考え方は浸透してきているんじゃないかと思いますので、成果もそれなりに出ていると思っております。是非これを本物にしていくように推進していきたいと思っております。

○蓮舫君 成果がそれなりに出ている。
平成二十六年度補正からこの二十八年度の今審議している補正予算と来年度概算も含めて総額幾ら使いましたか。

○国務大臣(山本幸三君) 先生の資料で申し訳ありませんけれども、二十六年度補正から二十八年当初予算で計三千七百億円でございます。

○蓮舫君 二十六年度補正で一千四百億円、これは一都道府県に最低二千万ずつ、一市町村に一千万ずつ、こればらまきました。さらに、先行型として三百億円を上乗せをした。二十七年度補正で千億、二十八年度当初予算で千億、今審議している補正予算で九百億、来年度の概算要求で千百七十億、五千七百七十億円もの予算が投じられて地方創生を進めていこうとする。
費用対効果は、十分に見合う効果が生まれていますか。

○国務大臣(山本幸三君) 二十六年度補正の当初の千四百億円は、これはまだ地方の方で総合戦略ができていない段階でありましたので、おっしゃったように外形基準に基づいてお配りいたしました。それからだんだん戦略ができてきて三百億円を追加していくという形になってまいりました。そして、二十七年度補正、地方創生加速化交付金、それから今年度の二十八年度当初予算ということであります。
これは、効果ということについてはまだこれからでありますけれども、しっかりと評価をして、効果のあるところも確かに幾つかございます。それはまあ、もし具体的に必要であれば若干御紹介もしますけれども、これからそういうことをチェックして検証し、しっかりと効果を出すようにしていきたいと思っております。

○蓮舫君 効果を測る目標設定をKPIと設定して、石破前大臣は大変こだわっておられました。ばらまきとの違いは、事後に効果が検証できるか、その目標数値を定めることだとおっしゃっていました。賛成です。
大臣の認識をお伺いしますが、今この事業全てに掛けられたKPI、目標数値は適切な目標ですか。

○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったように、KPIを持ってそしてPDCAで回していくというこのスキームは非常に大切なことだと思っております。前石破大臣も強調しておられまして、私もそのとおりだと思います。
その際に、KPIについては、これはもう都市部や中山間地といって全く状況が違うところが多いわけであります。したがいまして、地域の課題も異なりますし、目標とすることも異なります。よって、地方公共団体自身が自主性を発揮して地域の実情に応じてふさわしいものを設定していただくわけであります。
ただ、自分の予算も使いますので、決してそれが適当でないというようなことには絶対にならないように自治体も考えていると思います。そういうもので私どもはそういうKPIを作っていただいて、それに基づいて費用対効果分析を明示的にしてもらうように求めております。これも評価要素の一つでありますので、そういうことで審査を行っているところでございます。

○蓮舫君 事業自体は全て私はいいものがあると思うんですが、ある町村では低温プラズマ技術を、二つの大学と連携をして、農水物の成長促進を図り、チョウザメの養殖技術を高めるとしています。一億円の交付金を国から受けました。目標のチョウザメ販売額、その実績も併せて教えてください。

○国務大臣(山本幸三君) これは、おっしゃったのは愛知県の幸田町と豊根村のケースだと思いますけれども、平成二十七年度先行型交付金を活用して、幸田町が低温プラズマ技術を活用した農水産物の成長促進等の機器開発を行い、豊根村が実証フィールドを提供する形で連携することで、付加価値の高いチョウザメ養殖の生産システムの確立ということであります。
ところが、チョウザメは肉が取れるまでに四年、キャビアが取れるまでに七年掛かると言われておりまして、その間の販売収入を得るため、この低温プラズマ技術を活用して、二十八年度は加速化交付金を用いて、幸田町は殺菌効果によるハウスイチゴの減農薬化などの高付加価値化を、豊根村は希少性が高く味が良い高級魚のヒメマスの養殖に取り組んでおるところであります。
これらの取組を踏まえて、更に推進交付金を活用して養殖品種拡大に向けた実証研究、低温プラズマ機器の市場流通に向けた販路開拓、山間地域における養殖モデルの確立など、産業の確立に向けた取組を深化させることとしております。
このように両町村の事業の発展段階に応じていろんな交付金を活用して異なる内容の事業に取り組んでいるわけであります。そういう意味で、チョウザメがまだできていないと、KPIが達成されていないということは、ちょっとまだタイミングとしては無理だと。(発言する者あり)その数字についてはちょっと存じておりません。

○蓮舫君 KPI、目標数値が大切だという認識を共有して議論をしているのに、今目標数値は把握していないってどういうことですか。

○国務大臣(山本幸三君) 失礼いたしました。
実績等の数字はちょっと承知していないということでありますが、目標については、チョウザメにつきましては、参画者四人で、チョウザメ販売がこれは五十万円、平成二十六年はゼロでありますが、販売は五十万円ということであります。

○蓮舫君 一億円の交付金をお渡しして、目標のチョウザメ販売額は五十万円、実績は十四万円です。
大臣がおっしゃったように、チョウザメの養殖って時間が掛かるんですよ、七年、十年。そうすると、この地方創生の事業はそもそも今年度から本格展開をする事業が対象に絞られているのに、七年、十年スパンのそういう事業を入れることが本当にKPIとして適切でしたか。

○国務大臣(山本幸三君) この地方創生交付金は、大体五年ぐらいをめどにやるというのが基本であります。そして、それを目指してやっていくということで基本的にはKPIを作ってPDCAを回します。ただ、おっしゃるように、チョウザメは四年は掛かるということでありますし、キャビアになると七年ということでありますので、その四年後にどこまで行けるかということで、これはその成果を見ながらまた改めて考えていくことになります。

○蓮舫君 ある県では雇用創出をするとして、これを一億円を受け取って会社つくりました。その会社がセミナー等を開いて女性創業を支援をする。これ、目標五件の創業者数が二年後にようやく六件達成しています。ただ、セミナーを受けて創業した目標は半分以下で達成していません。その翌年、また一億円をもらいました。今度は共同のオフィススペースが要るということで場所をつくりました。ところが、これも目標は未達成のうち新たに二十八年度で一億円をまたもらって、目標が女性創業ではなくて学生のUターン就職に変わりました。しかも、女性のみならず、若者、高齢者の雇用促進支援センター設置と、事業内容も大きく変わっているんですね。
KPIを毎年ころころ変えてはいけないんじゃないですか。

○国務大臣(山本幸三君) これは、KPIと予算から見ますと山口県の創業支援事業だと思いますが、先行型交付金、山口県が就業機会の創出に向けまして、平成二十七年度に先行型交付金を活用して、女性創業者の創業支援として地元金融機関や地元企業が共同設立する女性創業応援やまぐち株式会社の設立や創業セミナーの開催などを実施したところであります。さらに、加速化交付金を活用して、顕在化してきた女性創業者のニーズに応えるために、協働ワーキングスペースや共同オフィスを提供するまちなか創業支援施設を設置することで働く環境を整備しようとしております。先行型交付金及び加速化交付金の両事業は、KPIとして女性創業セミナーの受講による創業数を設定しております。
さらに、これらの女性の創業支援事業とは別に、二十八年度推進交付金を活用して、下関市と連携し、働き方改革による就業支援を継続的に実施するため、働き方改革推進支援センターの設置による相談窓口のワンストップ化や、建設業、農業、漁業の職場体験研修、就職セミナー、マッチング支援などの事業を行うこととしており、KPIとしてUターン就職学生数を設定しております。
以上のとおり、先行型交付金と加速化交付金を活用した女性の創業支援と、推進交付金を活用した働き方改革による就業支援は別の事業と言えることから、KPIとしては異なる手法を用いていることで全く差し支えないと考えております。

○蓮舫君 いろいろな事業を見てきました。
今、KPIを変えたことは適切だと言っていましたけれども、基本的な継続をすることによって効果を更に促していって、最終的にはその地域が国の交付金に頼らなくても自立ができることを目標としているのに、設定が余りにも緩いということを私は問題視しています。
例えば、六千万円を交付された、これ、町の再生事業なんですけれども、目標は二十九年に新規起業一件、関連する雇用者一人、空き家、空き店舗活用が一件、これが目標です。実績はいまだゼロです。六千八百万円交付で、二十九年に空き家活用移住者受入れ三十人、里山の講座を二回、健康講座は月に十四回が目標。これも実績はまだ達成していません。町おこしでコンペをして観光客を呼ぶ、優勝地区でモデル事業を実施するけれども、この内容が、まだコンペを行われていませんが、何が活用されるか未定なのに、二十九年には外国人観光客が年間に二十人来る、日本人観光客が年間に百人来る、それで三千二百万円。実績はまだゼロです。これは、全て数値目標は適切だと言い切れますか。
これだけじゃありません。これでもう既に三千七百億使ってしまったんです。一年間で二千件近く、例示する事業が本当にたくさんありますが、これは、数値目標は適切で、地方創生に役立つと確信をされていますか。

○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったものは、岩手県の遠野市の中心市街地の例とか、あるいは鳥取県のある町のCCRC事業とかでございます。あるいは、SATOYAMA MOVEMENT事業とかでございます。
これは、まさにおっしゃったところは、KPIが適切かどうかということでありますけれども、これは先ほど申し上げましたように、KPIは、地域の事情に基づいて、その環境、置かれた状況に基づいて地域が自主的に設定するものであります。
じゃ、甘いものでいいかどうかといえば、そんなことはありません。それは自分のお金も半分使うわけですから、決してそういう目標ではないと思っておりますが、逆にまた、達成不可能の、ただ目標だけ高く掲げればいいというものでもないと思います。その辺は、審議、評価、審査する際に外部有識者のお話も伺いながらやっているわけであります。
しかし、これは、おっしゃったように、若干評価し難いようなこともあります。例えば、観光客、外国人が来るといっても、それはその事業によって来たのかどうか分からないとかいうようなこともございます。これは、観光のまさに統計がそういうことができておりません。その意味では、私は、統計をそろえるというのも地方創生の大事なことだということで議論しているんですけれども。
そういうことはありますが、それは、そうした御意見を承りながら、私どもとしては地域と相談しながら改善していきたいというふうに思っております。

○蓮舫君 済みません、何を言っているかよく分からなかったんですけど、つまり甘くないということですね、数値目標設定は。

○国務大臣(山本幸三君) 私どもとしては、地方が自主的に持ってきたKPIについて、地方が自主的に作り上げたKPIについて、それを審査し、また必要に応じて外部有識者の意見も聞いておりますので、甘過ぎるというようなことでやっていることはありません。

○蓮舫君 今お話しになられました外部有識者の評価を経てこの地方創生交付金は地方の自主的取組と先駆性、先導性を重視して選択をされているんです。
その外部有識者って何人おられますか。

○国務大臣(山本幸三君) 外部有識者は各事項ごとに二名から三名おられまして、農林水産分野で二名、観光分野で三名、農林水産、観光分野以外で三名、それから地方への人の流れ・働き方改革で三名、まちづくり分野で三名ということでありますので、十四名でございます。

○蓮舫君 少な過ぎるという指摘をさせていただきます。
分野ごとに二名から三名がこの申請したものが適切か審査をするんですけれども、その審査の流れを聞きましたら、外部有識者、例えば一つの分野に関して三人だったら、その三人全部に資料を渡して二週間で自己完結で調査をしてくれ、その後、初めて三人で顔を合わせて、自分たちの評価をお互い意見を言いながら決めていく。その会議の時間は僅か二時間弱です。これだけで三千七百億のうちの幾つかが決められてきました。
例えば働き方改革、この事業への申請は二十八年度本予算で二百七十二件ありました。その事業計画、薄くて五ページ、厚くて三十ページ、大体二十ページとしたら、その申請用紙だけでも五千五百枚ぐらいあります。そこに過去の事業の実績の資料、それと数値目標との整合性あるいは実現可能性を、更に資料を取り寄せて二週間でこの三人は全部を審査するんです。その後行われた会議は僅か一時間四十五分でした。一時間四十五分で二百七十二件を審査すると、一件の審査時間は二分三十秒です。一件で交付される平均額は千八百万円です。
どんなに立派な有識者でも、こんな短時間で詰め込みをして見落としが出てくるんじゃないですか。

○国務大臣(山本幸三君) そこは私どもも考慮させていただいておりまして、外部有識者による審査については、いわゆる五年程度を目標にしている先駆性のあるプロジェクトについて評定委員に評価していただいておるわけであります。
それは、例えば、今年度の事業の中では七百九十件ございましたこれまでの事業で百四十二件が外部有識者による対象になっております。それ以外のものについては、横展開などのケースでありますけれども、これについては、そうした外部有識者の審査の評価基準に基づきまして内閣府において作業しているわけであります。
例えば、地方創生推進交付金、一回目におきましては、有識者の審査をいただいた先駆タイプについては、一名当たり、一番処理件数が多い方で最大三十九件程度でございます。したがいまして、審査期間は十分確保できていると考えております。

○蓮舫君 確認します。ある県の観光推進事業、四億円の交付金がこの八月に決定されました。外部有識者がこれを採択しました。今だけ、ここだけ、貴方だけ観光推進事業、これ、どういう内容で何が評価をされて四億円の交付を決定しましたか。

○国務大臣(山本幸三君) これは場所を言わないと話が分からないと思いますので、京都府でありますが、京都府と京都府内の十二市町で広域での連携をすることで国内外の観光客入り込み数を増やし、さらに京都府全域への周遊へつなげることで、観光消費額の増加のみならず地域の正規雇用者創出や産業の創出を目指すものでありまして、平成二十八年度の地方創生推進交付金の採択を受けて事業を実施しております。
事業の申請に当たりましては、KPIの一つとして観光消費額を設定しており、平成二十一年度から二十六年度、五か年の観光消費額の増分を踏まえて、平成二十六年度の実績である八千百三十八億円から毎年度の増加分を各年の目標として設定し、結果として五か年で観光消費一兆円を目指すこととしております。

○蓮舫君 今五か年で観光消費額一兆円を超えるという説明をしましたが、KPI、目標数値、二十八年三月に観光消費額を八千五百十億円と設定しているんです。ところが、二十七年度にこの県が観光消費額を発表しました。その額は一兆二百六十四億、つまり県の観光消費額が公表した後に審査、裁定をしているんですが、もう既に目標額達成しているんです。
何でこんなことが起きるんですか。五年から、今度一兆円にしていくけど、でも申請しているときにもう既に一兆円達成しています。このKPI、数値目標、何で見抜けなかったんですか。

○国務大臣(山本幸三君) おっしゃったように、この件については、事業計画提出後に観光消費額の平成二十七年度の実績が、アジアなどからの海外観光客の増加とそれに伴うインバウンド消費、いわゆる爆買いとも言われたような消費によりまして大幅に増加いたしまして、一兆円を超過したことが確認されました。一時的なブームによるものとはいえ、当初五か年としていた目標が既に達成されたことを受けまして、その後、京都府からはKPIの五年後観光消費額の目標を一・二兆円と上方修正して計画が提出されております。

○蓮舫君 これだけじゃないんです。ほかにもあります。二つの県の三つの市町が協力し、観光推進、しまなみDMO形成推進事業、これ、目標値、適切でしたか。

○国務大臣(山本幸三君) 広島県尾道市のしまなみDMO形成推進事業は、尾道市、愛媛県今治市、上島町で広域での連携をすることで、しまなみ海道地域のサイクリングロードなどの観光資源を軸に国内外の観光客を誘客する事業であります。平成二十八年度地方創生推進交付金の採択を受けて事業を実施しております。
事業の申請に当たりましては、KPIの一つとして観光消費額を設定しており、平成二十七年度の実績である三百十三億円から毎年度の増加額分を各年度の目標として設定し、五か年後に観光消費額三百四十三億円を目指すこととしております。また、そのほかのKPIとして、宿泊客数、外国人観光客数を設定しております。
KPIは、交付金対象事業ごとに設定し、事業目的に照らして実現すべき成果に係る指標を設定することを原則としております。このため、例えば観光事業であれば、当該事業の効果としてどれだけ増加するかという直接的な指標を設定することが理想的でございます。しかしながら、当該事業による増加を捕捉することは統計上なかなか困難でありますし、多大なコストを要することから、現状にある指標で行っても差し支えないということにしているところでございます。

○蓮舫君 これ、一つの市はもう数字を出しています。観光消費額、申請した時点で二百六十四億あります。残る二つの市と町の観光消費額、これ、県の観光消費額を案分して試算すると推計で二百九十億になります。二つを足す、三つを足すと五百四十億、五年たって三百四十三億にするという観光消費額の目標を百五十億上回っています。なぜそれを採択したんですか。

○国務大臣(山本幸三君) 先ほども申し上げましたように、観光に関しては、KPIを作るときは大変難しゅうございます。つまり、このプロジェクトでどれだけ消費が上回ったのかということをはっきりと確定することはなかなか困難であります。そういう統計も今ありません。したがいまして、結果的に消費額が上回ったということもありますが、それは、ほかの要因で上回ったということも考えられますし、そういう意味では、この点についてはまた我々も検討したいと思いますけれども、そのほかに宿泊客数や外国人観光客数を設定しておりますので、そういうことからチェックしていきたいと思います。

○蓮舫君 私が言っているのはシンプルなんです。書類申請そして採択をするときに既に数値目標を超えている数値が出ているのになぜ採択をしたんですかと。だから、外部有識者三人で詰め込みさせて、たくさんの資料を渡して短い時間で採択をしている手法に問題があったんではないですかと聞いているんです。

○国務大臣(山本幸三君) 先ほども申し上げましたように、観光については難しいんです。この事業で増やす消費額というのはこういう金額だということで推定しているわけでありますけれども、そこははっきり分けるような統計がございます、ございません。
したがいまして、その点はこれから検討しなきゃいけないと思いますけれども、しかし、それは地方自治体が自分たちとしてはこうだと考えてきている数字でありまして、その点については有識者の御意見も聞き、また私どもも検討してやったものでございます。そういう意味では、実績が上回ってくるということであれば、これはまた変えていくということも当然考慮しなきゃいけないと思います。

○蓮舫君 済みません。だから最初に数値目標は大事ですねと確認したら、自分も大事だとおっしゃられたから、見ていったら、数値目標なんか全く重視されていない書類審査が行われて採択をされて使われちゃった。その問題を指摘をされたら、数値目標は難しいと言われたら、この税金を払った人たちはどう思いますか。限られた財源を大事に使おうという指摘で私は今伺っているんです。改めていただけますか。

○国務大臣(山本幸三君) 消費額についてはそういう面がございますけれども、KPIについてはそのほかに宿泊者数、外国人顧客数等を設定しておりますので、そういう観点からチェックしているということでございます。

○蓮舫君 済みません、KPIについてはそうかと言っているんですけれども、いいですか、これ、観光消費、最終消費額以外に観光客数の方がむしろ切離しが難しいんです。この交付金事業をやったから何人の観光客が来たかってカウントできませんから、むしろそっちの数値目標の方が怪しいですよ。

○国務大臣(山本幸三君) 地方創生推進交付金の申請事業の中で、過去の地方創生加速化交付金事業を受けて実施したものについては、その申請に当たりまして、地方公共団体がそうした事業を実施した結果を検証した上で推進交付金の申請事業を深化、展開させるかということを私どもチェックいたします。したがいまして、今後の事業採択に当たっては、これらの観点に加えて過去の交付金事業のKPIの実績や実績見込みを明確に求めた上で審査していくことになります。
しかし、おっしゃったように、KPIについては難しいところもございます。特に観光関係はなかなか難しいということはおっしゃるとおりだと思いますが、しかし、それを踏まえて地方の自治体が自分たちのところはこれだけの目標を持ちたいということで上げてきているわけでありますので、その点は、その目標が達成、超過達成されているのであれば、また次の交付金のときにそれを考慮して審査して考えていくということになります。

○蓮舫君 済みません、何を言っているかさっぱり分かりません。
総理に確認します。
今年度の今議論している補正予算案で九百億、来年度の概算要求で千百七十億。二千億円、これ海上保安庁の一年分の予算です。相当なボリュームで地方創生、しかももう時間がなくなってきています。地方の人口が都市部に一極集中するのを止めるためにも、地域で仕事をつくるためにもこの事業は私は大切だと思っています。
だったら、総理は前、私との審議の中で、検証をしっかり行うようにしていくべきだ、今審議をしていて、検証ができない、難しいで逃げる、地方が頑張る、こういう言い訳ではなくて、ちゃんと運用をしっかり見直していただくと約束をしていただけますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 確かに、今、山本大臣から答弁をさせていただきましたように、例えば例として挙げられた観光は評価が難しいわけではありますが、しかし、提出、出した段階で、認可した段階でその目標を既に上回っているというのは、ちゃんと調べてみますが、もしそうであれば、それはまあおかしいですから、そうした御指摘も踏まえまして、これは、KPIはやはり大切な指数でありますから、そうした今御指摘も踏まえてしっかりとこれは対応していかなければいけないと、このように考えております。

○蓮舫君 引き続き追いかけたいと思いますが。
総理、総理の所信表明演説に対して、私は子供の貧困がなかったことに失望しています。その部分で、代表質問において、児童扶養手当、一人親のお子さんの貧困が二人に一人で深刻だから、だからここに対しては所得制限を入れないでしっかりと現金支給で手当てをしてもらいたい、何で二十二億円を削るんですかと伺ったんですが、この私の質問の趣旨は理解していただけているでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 趣旨は理解をしております。

○蓮舫君 我々の政権のときの批判をされるのが大変お好きみたいですけれども、我々の政権のときに私たちが着眼したのは、一人親家庭の子供の貧困よりも、長い長い自民党政権で放置されてきた父子家庭への手当がないというところに着眼したんです。母子家庭のお子さんは児童扶養手当が出るけれども、同じ父子家庭、一人親家庭の御家庭には出ない、だから私たちはここを問題視して、子供は親を選べませんから、母子家庭か父子家庭か、百五十億円年間措置したんです。これを私たちは優先順位として何よりも実行したんですが、このことは理解をされていますか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 制度として父子家庭に対して給付をされたということについては、これは評価をしているところでございます。

○蓮舫君 何もしなかったかのように指摘をされることが私は残念だと思います。
政治は今を見るべきものだと思います。今、私たちが児童扶養手当に所得制限を設けるべきじゃないと答えたのは、食べられない子供たちが出ているとか、貧困の子供たちが本当に問題になっているから、だから二十二億円を削らないで、何とかここの部分は手厚くしていただきたいと言ったんです。
百の言葉より一の行動とか、そういう切り捨てるんじゃなくて、批判ではなくて提案に真摯に向き合っていただきたいということを最後にお願いしますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私は母子家庭について申し上げたわけでございまして、母子家庭について我が党が上げた実績と御党の比較をさせていただいたところでございまして、いずれにいたしましても、いずれにいたしましても、しっかりと財源を得て対応していくということが求められているんだろうなと、このように思います。

○蓮舫君 母子家庭と父子家庭を分けないでください。一人親の子供の貧困が二人に一人だというところで、そこで私たちは提案したんですけれども、そこが届いていないということは、総理は今の政治に残念ながら敏感じゃないということが、指摘をさせていただきます。
今回出されている補正予算も、大型公共事業は目立ちますけれども、大雨とか台風の災害による、そのためのインフラの整備のお金は入っていません。
今に機敏に反応する政治をつくりたいと改めて私たちは主張を申し上げ、質問を終わらせていただきます。

○舟山康江君 しっかり取り組んでいただきたいと思います。
総理にお聞きします。
経済にプラスだろうが何だろうが、やはりやらなければいけないことってたくさんあると思います。安全を守るということです。国を守る安全というのももちろん大事だと思いますけれども、私はやっぱり農業も、経済的にプラスかどうかはともかく、しっかりと守らなければいけない一つの分野だと思いますけれども、総理はいかがお考えでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私はよく自民党の集会等で、あるいは党大会等で申し上げてきたところでありますが、農業には多面的な機能があるわけであります。例えば棚田は、これは生産性においては当然悪いわけでありますが、しかし、地域の景観を守り、水をたたえ、涵養し、そして環境を守り、そして地域を守ってきたのは農業であろうと、こう思うわけであります。そして、文化や伝統も守ってきたと、こう思っているわけでありますが、こうした多面的な機能をしっかりと私は評価するべきだろうと、こう思っております。

○舟山康江君 総理はGDPに非常にこだわっておられますけれども、棚田の価値というのはGDPで測ると幾らぐらいですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これはプライスレスだと思うわけでございまして、ですから、これはお金で測れないものが世の中にたくさんあるんだろうと、このように思っております。

○舟山康江君 まさにそこを守るのが私は農業の役割であって、また地域の役割だと思います。そういう中で、今はとにかく、今後の農政というのは、競争して外国に打ち勝つようなそんな農業を目指すという方向ばかりが強調されておりますけれども、世界の先進国のうちで、特に土地利用型農業で、何らの所得補償制度もなく単に競争原理に農業をさらしている国はあるでしょうか。

○国務大臣(山本有二君) 世界の国で棚田に農業の支援を政策にしているというのは、考えるだけでは我が国のみではないかというように考えております。(発言する者あり)棚田以外。あっ、棚田以外で。済みません。
EU諸国あるいはアメリカ、各国、そういう支援をしております。(発言する者あり)

○委員長(山本一太君) もう一回、済みません、もう一度ちょっと質問してもらえますか。

○舟山康江君 世界の先進国の中で、土地利用型農業に対して単に競争だけでその政策を推し進めている国があるか、何らの所得補償制度的なものもなく競争原理だけで行っている国があるかどうかをお聞きしています。

○国務大臣(山本有二君) 具体的には、EUで、農業者の収入を保障する直接支払と条件不利地域支払の農村振興政策を柱とした共通農業政策が実施されております。
近年、特に直接支払における環境要件の強化が進められておりまして、現在、農家の経営安定を図る観点から、価格の変動に対するセーフティーネット、農業リスク補償や価格損失補償等が北米ではなされているというように理解しております。

○舟山康江君 アメリカの農業政策についてお聞かせください。

○国務大臣(山本有二君) 米国では、おおむね五年ごとに改定される農業法に基づいて各種の農業政策が行われております。
委員御指摘の、あるいは委員の示されました資料にもありますとおり、具体的には二〇一四年に成立した現行の農業法、これでは、農家の経営安定を図る観点から、収入や価格の変動に対応するため、農業リスク補償、価格損失補償等のセーフティーネットを中心とした農業支援を実施しているところでございます。
このように、農産物純輸出国であるアメリカにおきましても国の事情に応じた農業支援が実施されていると理解しております。

○舟山康江君 今御説明いただきましたとおり、あのアメリカでさえほぼ生産費を補うほどの不足払いの制度をいまだにやっているということです。それが、日本においては、所得補償をなくして競争原理にさらすということのみで規模拡大と競争力強化だけが強調されておりますけれども、私の知る限り、そんな国はありません。
どこの国も補助金というのは、直接支払というのはかなりの割合で出されているということであります。EU諸国は、もう国によっては九割ぐらい、相当大きな補助金が出ているということでありまして、日本の方向性は間違っているんじゃないでしょうか。

○国務大臣(山本有二君) 日本の農業、農村の在り方の中で、やはり所得を維持し、営農を継続するという観点から、我が国では農業に対して支援をさせていただいております。
特に私が感心するのは中山間の直接支払交付金という制度でございまして、これにつきましては、急傾斜あるいは緩傾斜、それぞれ地域地域に分けて、なおかつ、また加算で集落への機能維持や小規模・高齢化集落への維持、あるいは超急傾斜に対する保全というようなことが満遍なく、その条件不利に対して、できるだけ競争原理の中から存続できるように配慮されているというように思っております。

○舟山康江君 日本の中山間地の直接支払では、条件不利の補正は不十分だと思います。そして、先ほど言いましたように、直接支払が切られている、こういった状況の中で、まさに棚田のような地方の持つ景観の美しさ、多様性、文化の価値をどう測って、どう守るべきだと、総理、お考えですか。

○国務大臣(山本幸三君) 日本の地方には、豊かな自然、固有の歴史、文化、特色ある農林水産物などの魅力があふれております。地方創生は、それぞれの多様な魅力を生かして若者を引き付ける個性豊かな地方をつくり上げる挑戦でございます。各地の魅力がどのような価値を持つかということについては、国が一律に基準を定めるのではなくて、各地それぞれが判断して地域の活性化に生かしていくことになると思います。
ただ、そうした魅力を維持するためには地方がやはり元気になる必要がございますので、そのために、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立する、地方の平均所得を上げていくという施策も大事だと思っております。特に、地方では農林水産業に潜在力があると思っておりますので、そのポイントは、その地域資源を活用した永続性のある企業化を進めていくことだと思っておりまして、私どもはこうした取組に対して財政的、情報面、そして人材面で支援をしていきたいと思っております。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) もう既に政府としても棚田等の条件不利地について傾斜地等についての支援を行って、これは不十分だという御指摘でございますが、我々も行っているところでございますが、こうした棚田を守る努力、様々な努力も行われているわけでありまして、私の地元の長門市においてはこれを観光の資源として活用しておりまして、多くの人々にこの棚田を守るため、維持をするための協力をいただいているところでございまして、また、棚田を背景に様々なイベントを開催し、成功も収めているわけでございます。そうしたことを行いながら、こうした美しい景観、息をのむほどの美しい景観を守っていきたいと、このように考えております。

○舟山康江君 地域においてはやはり農林水産業が基盤なんですよ。この農林水産業の支援をもっとしっかりと、規模拡大じゃない、地域農業、中山間農業をしっかりと守れるような、そんな予算を考えていただきたいと思います。
先ほどの問題に戻りますけれども、答えは出たでしょうか。お願いします。

○委員長(山本一太君) よろしいですか。塩崎厚労大臣に再答弁を求めます。

○国務大臣(塩崎恭久君) 大変失礼をいたしました。
先ほど申し上げましたように、残留基準の範囲内でなければ輸入それから国内での流通は認められないということで、検疫でこれはチェックをしているわけでございます。
ちなみに、平成十八年から二十八年のこの十年間、牛肉、あるいは豚肉も若干ありますが、主にアメリカとオーストラリアの牛肉の輸入がございますけれども、過去十年間を見ますと、牛肉におけるいわゆる肥育ホルモンですね、これにつきましては、約五千件弱の検疫の中で二件検出をされましたが、基準の範囲内であったということでございます。ラクトパミンにつきましては、千二百件のうち検出されたものはないということで、いずれにしても、輸入をされる際には検疫でこの調査をきちっと確認をしているということでございますので、この設けられている残留基準の範囲内でなければ輸入も認められない、国内での流通も認められないということになっております。

○舟山康江君 こんな簡単な質問に対する答弁が、回答がこれほどできないぐらい、しっかりと調査していないということの表れではないかと思いますので、国内でも使っていないものですから、やはり入ることがないように私はちゃんとチェックをしていただきたいというふうに思います。
それでは最後に、憲法と安保の関係についてお聞きしたいと思います。
安倍内閣は、二年前の二〇一四年七月一日、それまでの全ての内閣が、違憲であり、憲法九条の条文改正以外に手段がないとまで答弁しておりました集団的自衛権の行使を、解釈変更によって可能にいたしました。まず、なぜそれまで違憲と言ったものが可能になったのか、改めて安倍内閣の合憲の主張を確認したいと思います。
フリップを御覧ください。これは、今から四十四年前の昭和四十七年に当時の田中角栄内閣の内閣法制局が作成し、参議院決算委員会に提出されたものであります。お手元の資料九がその原本写しです。
安倍内閣では、この四十七年政府見解の文書の中に、限定的な集団的自衛権行使なるものが合憲と書いてあると、つまり、作成されてから四十年間も誰も気付かなかったけれども、実は合憲だとずっとここには書いてあったと主張されているようです。
では、なぜ合憲だと言えるのかといえば、四十七年見解の中にある外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという文章の外国の武力攻撃という文言に、たまたまこれ誰に対するということが明記されていないために、これが同盟国に対する外国の武力攻撃とも読めると、よし、これで集団的自衛権の局面の文章になると、そういうふうに主張しております。
まず、総理に伺います。
この四十七年見解の中の外国の武力攻撃という文言は、誰に対すると明記されておりませんけれども、安倍内閣はこれを我が国に対する外国の武力攻撃、これ一般的な読み方だと思いますけれども、これという個別的自衛権の読み方だけではなく、同盟国に対する外国の武力攻撃という集団的自衛権の読み方もできると、そう解釈しているということでよろしいですか。総理にお聞きしています。