デフレ「退治」に日銀は姿勢を示せ(2002.9.2)(西日本新聞)

デフレ「退治」に日銀は姿勢を示せ ~西日本新聞インタビュー記事(平成14年9月2日掲載付)~

   デフレが深刻化しており、これを放置すれば小泉政権の構造改革は進まない。デフレ退治は日銀の仕事。これまでの金融緩和が効果をあげていない以上、金融政策に一定の物価上昇率目標と期限を設け、それを達成するためにさらに量的緩和を進めるべきだ。

 

個人的には、二年後に消費者物価上昇率を2~4%にする、程度の目標が必要。目標達成のための手段はプロである日銀に任せる。目標を数値化することで金融政策の透明性が増し、日銀の仕事が正当に評価できる。日銀の説明責任や結果責任が増す意味は大きい。

日銀は三月に消費者物価の上昇率が「安定的にゼロ%以上」になるまで金融緩和を続けると宣言した。インフレ目標に似ているが、当座預金残高を操作目標にしたため物価目標の位置付けがあいまいだし、期待もない。これでは百年たってもデフレは解消しない。

金融緩和が効果ないのは日銀の対応が小出し、後追いだからだ。これではデフレ懸念を払拭(ふっしょく)し、インフレ期待を高めることはできない。金融緩和を進めれば、必ず物価は上がる。デフレを絶対阻止するという日銀の強い姿勢を示し、行動することが大事。インフレ目標の設定で政策転換を打ち出すこともできる。

日銀は「金融緩和しても資金需要がない」と主張するが、これはデフレで実質金利が高止まりしているから。名目の長期金利は1.3~1.5%程度でも、物価下落を勘案した実質金利になると3%前後になる。米国より高い。物価を上げれば実質金利が下がり、資金調達コストも下がる。そうすれば民間の資金需要を掘り起こせるはずだ。

インフレ目標が物価高騰を招くとの批判は、デフレ阻止に効果があることを認めたのと同じ。デフレが深刻なときにインフレを心配しても仕方ない。それにインフレ目標政策が物価高騰の抑制に効果があることは、海外で実証済みで心配ない。