医療制度改革(2005.11.21)(東京新聞)

東京新聞(平成17年11月21日)掲載記事

医療費の総額管理

――――経済指標に基づく医療費の管理は必要か。 「病気になるかどうかが経済活動と関係するなんて、荒唐無稽(むけい)な論議だ。医療は国民生活を守る重要なセーフティーネット(安全網)。経済論理だけでは語れない。といって、あまり医療費が増えすぎて制度が持続できなくなることがないように、できるだけ医療費を抑える具体策を、中長期と短期の双方で考えていくしかない」
――――具体策とは。 「生活習慣病予防や入院日数短縮などの中長期対策を基本にしながら、所得が多い高齢者の自己負担を三割にするなどの短期対策、それと今回の制度改正の要である高齢者医療制度の創設をしっかりと実現させることが重要だ。それら個別の政策を積み上げた上で、これぐらいは抑制できるという試算が出ている」
――――目標は、あくまで積み上げによって立てるべきか。 「基本的にはそれでいい。厚生労働省の試算も、一定の前提のもとに機械的に出した数字だ。ただ、何年かたった後にその数字を超えた場合にどうするか。経済を無視していいとまで言わないが、そこで自動的に診療報酬を下げるとか、負担を増やすとかするとおかしくなる」
――――医療給付費については、財政上の管理も必要なのではないか。 「給付費を減らすというのは、自己負担を増やすということ。どこまでも自己負担を増やせば、金持ちしかちゃんとした医療を受けられなくなり、平等、高い質、安いコストを誇る日本の医療制度を崩壊させることになる。自己負担は、三年前の制度改正で三割負担にした時に、それ以上は無理だという話にした」
――――自己負担が増やせないなら何で医療費を賄うのか。 「保険料、税、自己負担のバランスをどう組み立てるかが重要。保険料負担は、介護にも年金にもある。では足らない分は税で、という話が当然出てくる。将来的には、消費税率の引き上げは十分考えておかなけらばならない」