医療は『セイフティネット』であるべきだ(2008.1月号)(月刊卸薬業)

月刊卸薬業新年号原稿  
  衆議院議員 山本 幸三

 新年明けましておめでとうございます。日本医薬品卸業連合会の皆様方には健やかに新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
 近年の社会保障の充実を求める国民の声は、医薬品卸売業者の皆様方にも大きな影響を与えているのではないかと思います。
 私自身も、社会保障の問題は重要なライフワークの一つであり、高齢者医療制度の創設などの医療制度改革が実現したことには感慨深いものがあり、順調に改革が進んで行くことを期待しております。  改革の内容に関しては様々な御意見もありますが、医療は「セーフティー・ネット」であるとの立場に立った上で、無駄を省き、関係者がそれぞれ痛みを分かち合うということも必要であると認識しております。今後とも、皆保険制度を堅持し、よりよい医療を実現するため、弱い者の視点から、関係者の皆様方と議論を続けてまいりたいと思っています。
 さて、医療品卸業界におかれましては、従前から長期にわたる未妥結・仮納入や総価取引など、適切な医薬品流通を阻害する様々な問題が指摘されてきましたが、昨年、医療用医薬品の流通改善に当たって取引当事者が留意すべき事項がとりまとめられたと聞いております。市場実勢価主義を原則とする薬価制度を維持するためには、未妥結・仮納入の問題の改善が必要不可欠でありますので、皆様や医療機関等を含む流通当事者の方々がこの留意事項を遵守することにより、是非とも改善が進むことを期待しております。
 また、多様なリスクを持つ医療品医薬品の流通においては、安全性やトレーサビリティの確保が求められる中で、外国では、偽造医薬品が大きな社会問題になっており、WHOでも国際的な問題として取組が始まっていると聞いております。これらの問題への対策としてIT化を推進することは効果的であり、卸売業の皆様方も積極的にIT化に取り組んでいることを高く評価しております。
 その一方で、医薬品卸業界においても、近年の医療費の適正化、医薬分業の進展とともに、事業の合理化・効率化が図られ、業界再編が大きく進展し、全国を網羅する卸も出現してきたと承知しております。しかしながら、今後は、各卸が機能分化・機能強化を図るなど特色を出すことにより、発展していく必要があるものと考えております。
 医薬品卸売業界の皆様方におかれましては、国民の生活にかけがえのない医療の一翼を、医薬品の流通という立場から担われておりますが、今後とも、医薬品の効率的で安定的な供給を通じて、国民保健の向上に貢献されることを期待申し上げます。
 それでは、貴会のますますの御発展と皆様方の御活躍を祈念申し上げ、私の年頭の御挨拶とさせて頂きます。