THE WALL STREET JOURNAL 「消費増税延ばした方がいい=自民・山本幸三氏」

 

消費増税延ばした方がいい=自民・山本幸三氏

THE WALL STREET JOURNAL 2014 年 9 月 2 日

 

【東京】消費者の信頼感に低下の兆しが見えるため、日本は来年予定している消費増税を遅らせるべきだ、との見方を安倍晋三首相の盟友、自民党の山本幸三衆議院議員は示した。

 山本氏は1日に行われたウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで「(経済は)回復しているが、ちょっと遅いので、ここであまりマイナス要因を作らない方がいいと思う」と指摘。これまでとは一転、「消費税(増税)を延ばした方がいいと思い始めた」と述べた。

 この山本氏の発言は、4月の消費増税以降、景気が思うように回復していないとの懸念が議員の間にあることをあらためて示すものだ。

 2012年に成立した消費増税法では4月の5%から8%への消費税率引き上げに加え、経済状況が許せば15年10月に再び10%にまで引き上げることが定められている。安倍首相は7-9月期の経済成長を確認した上で、12月頃に2回目の消費増税に踏み切るかどうかを決定すると述べている。

 山本氏は6月に行われたインタビューでは、4月の消費増税が景気回復の大きな障害にはならず、2回目の増税が予定通り実施される可能性はあると話していた。

 しかし、1日のインタビューでは、2回目の増税は17年4月まで延期される可能性があるとの見方を示した。

 山本氏は「そのぐらいになると給料も上がってくるだろう」とし、「またもう一回消費税を上げて景気がぱっと落ちるよりは少しゆっくり行った方がいいだろう」と述べた。

 エコノミストや投資家の一部は、日本は予定通り2回目の増税を実施し、現在国内総生産(GDP)の2倍以上にまで膨らんだ公的債務の抑制に本気で取り組んでいることを示すべきだと指摘する。

 山本氏は、増税先送りに加え、政府が補正予算を用いて景気回復を支援する可能性があるとも述べた。その場合、残りの資金を使用して3兆円程度の予算を組む公算が大きいと話した。

 また、日本銀行が15年いっぱいは現在のペースで資産買い取りを続ける方針をこの秋に発表すべきだとの見方も示した。

 日銀は資産買い取り措置について、14年末までしか目標を示していない。それによると、2%のインフレ目標が達成されるまで日本国債を中心に毎年60兆〜70兆円の資産を買い取るとしている。