インフラの荒廃を防げ!!下水道インフラの持続化へ政治家の使命は(山本幸三)

2013年7月3日 下水道新聞

 戦後、高度成長とともに整備が進められたインフラ設備は老朽化が進行し、下水道設備も例外ではない。下水道の普及によりわが国の衛生環境は格段に改善され、今や下水道は都市機能に必要不可欠なものとなっている。言わば静脈施設であるこの下水道をさらなる普及とともにいかに老朽化を防ぎ維持管理していくかが政治家に課せられた喫緊の課題である。前政権は『コンクリートから人へ』と政策を謳ったが、文明生活を維持するには公共事業は必要である。設備は整備された時から老朽化していき、耐用年数がいつの日か必ずやってくる。今まさにその時を迎えようとしている。

 

 下水道の既存設備の修復・更新投資には多くの財源を必要とするが、下水道設備は循環型社会に向けた多くの可能性を秘めており、エネルギー分野への活用・農業分野への利用といった高度利用を促進すれば、負担を抑えることが可能となる。下水道の高度利用化に向けた技術革新は環境立国としての日本の成長戦略の道導となり得るだろう。

 われわれが利用できる水は地球上に現存する水のわずか0.8 %しかないという。油コップ1杯分(200ml)を安全に海や川に戻す為に必要な水は60t。限られた資源には下水設備の高度利用も不可欠だが、利用者への啓蒙活動も欠かせないということも最後に一言付け加えさせていただきたい。