“デフレ・円高の脱却には日銀法改正しかない”―山本 幸三

 

2013年2月19日 エコノミスト
アベノミクス「円安期待維持」の条件 直言③

 

 白川方明日銀総裁が4月8日の任期満了を待たず、2人の副総裁が任期を終える3月19日に辞職する意向を明らかにした.以前から国会において、日銀の金融政策の問題点を指摘してきた立場からすると、白川総裁は「史上最低の総裁」だったと言わざるを得ない。

 1月22日に日銀は政府との共同声明を発表した。デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のため、政府と日銀は政策連携を強化して一体となって取り組むという内容だが、インフレ率(物価上昇率)を2%にする責任の主体が明確にされていない。むしろ、共同声明には「日本銀行は、今後、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた幅広い主体の取り組みの進展に伴い持続可能な物価の安定と整合的な物価上昇平が高まっていくと認識している」とあり、日銀は「幅広い主体の取気組み」、つまり政府などに責任を転嫁しているように受け取れる。

 咋年11月からの円安と株価上昇は、安倍首相が金融緩和の強化や物価目標の導入に言及したことで、期待インフレ率(将来予想される物価上昇率)が上がったことで起きた。これはまさに期待先行の状態で、早急に実体のあるものへとしていかなければならない。その第1弾が共同声明だったはずだ。

 「今のままの日銀ではだめだ」というのが私の認識である。マネタリーベース(日銀が供給する通貨)を増やせば、期待インフレ率は上がる。期待インフレ率が上昇ずれば、そこから1年半ぐらい後に実際のインフレ率も上がり、人々が消費や投資をしようと動きだす。波及経路は確かにあるのに、日銀は金融政策でインフレ率を上げるのは難しいという考えを変えていない。次期総裁で方向転換できればいいが、このままだとアベノミクスは失速してしまう恐れがある。

「まじめに間違っている」

 このような「日銀理論の誤り」を正すには日銀法改正しかない。1月31日に、自民党内で議員連盟「デフレ・円高解消を確実にする会」を立ち上げた。安倍首相の要請も受けて私が会長に就き、現在61人の議員が参加している。また、みんなの党の渡辺喜美代表や日本維新の会の小沢鋭仁国会対策委員長らと超党派でも日銀法改正を議論する。

 現在の日銀法は、「目的」として、通貨と金融の調節を図ることと、金融システムの安定を掲げている。一方、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」は「理念」としている。日銀という組織の目標は金融システムの安定でいいだろうが、金融政策の目標は「国民経済の健全な発展に資する」ことにあるのではないか。理念ではいけない。日銀に少し同情的な立場に立てば、日銀法の通りに業務を遂行しているといえる。今の日銀は「まじめに問違っている」のだ。

 日銀は雇用についても一定の責任があると考えている。その点も議論していきたい。インフレ率と失業率に一定程度の比例関係があることを示すフィリップス曲線をみると、物価上昇率が2%を下回ると失業率は上昇する。だからこそ、最低限2%のインフレ率に日銀は責任を持たなければならない。そこから先は政府の責任どなる。

 次期総裁はインフレターゲット論者に就いてもらわないといけない。さらなる金融緩和を早く実施し、マネタリーベースを増やす人でなければならない。小出しにして時間をかけてはいけない。アベノミクスを確実なものとするために政治サイドもチェックしていく。

(談)